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ヴィリジアン  作者: 千月志保
第13章 魔術研究所
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意志の疎通

「私が考えているのは、その変換した魔力を逆に抽出して結晶化できないかということだ」

 エストルの説明を聞いて初めてウィンターは納得する。

「なるほど。確かに手法としてはありだな」

 ウィンターも魔術師の一族に生まれ、基礎は叩き込まれている。魔力を結晶化するという技術は昔から伝わる技術で、魔術師が自分で使うことはないが、魔力のない者が護身用に携帯したり、簡単な魔法武器を作るために使われてきた。また、応用として魔獣などの生物兵器に使われることもある。

「ヴィリジアンが認めてくれたら、できるような気がする」

 ヴィリジアンを見つめるグレンは真剣な表情だ。

「ヴィリジアンが認めてくれたら、か」

 エストルはつぶやいた。

「不思議だな。剣と意志の疎通ができるなんて」

 ウィンターがかすかに笑った。

「なんでだろ。分かるんだ。何となく」

 そう言うグレンは少し嬉しそうだった。

「お前が魔力に対して感受性が高いからというのもあるだろうが、それ以上にヴィリジアンと波長が合っているような感じだな」

 ウィンターの言葉を聞いて、そうなのかもしれないとグレンは思った。

「お互いいい相棒にめぐり会えたということだな」

 エストルも自分のことのように喜んでくれている。グレンはまっすぐエストルの目を捕らえて言った。

「明日、試してみる」

「体調は大丈夫なのか?」

 エストルが心配する。

「うん。さっきの拒絶反応のあと、すごく体調が安定してきているのが自分でも分かるんだ」

 それは、つまり、グレンの体が上級ヴァンパイアの血を受け入れたということだ。受け入れるまでの過程を見てきたエストルは素直には喜べなかったが、ただグレンの言葉を信じて一言事務的な口調で言った。

「分かった。明日、研究室を一室取っておこう」

 ロソーの城の地下には、魔術研究所がある。その名のとおり、宮廷魔術師たちが様々な魔術を研究している。魔術の中には危険なものや周りの環境に影響を及ぼすものもあるので、あらかじめ結界を張った部屋など目的別に様々な部屋が用意されている。

「だが、その前に手合わせ頼むぞ、ウィンター」

 ウィンターはにやりと笑った。

「いいだろう。お相手しよう」

「僕も相手してよ」

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