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ヴィリジアン  作者: 千月志保
第12章 王のいない城
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会議終了

「私は新たな拠点はパイヤンなのではないかとにらんでいる。パイヤンを拠点にする理由は十二分にある」

 パイヤンはテルウィングとの行き来が最もしやすい場所。セレストの命とあれば、結界を自由に張ることもできる。他にも町の中がどのような状況になっているか分からない以上、敵に有利に働く要素を多分に含んでいる可能性が高い。

「では、パイヤンに参ります」

 ソフィアが毅然と言い放つと、エストルも真剣な表情でうなずいた。

「しっかり準備をしていくように」

 最後に、エストルは部隊長に告げた。

「各部隊でどのように情報を伝えるかは各部隊長に一任する。何もなければ以上で終わる」

 部隊長たちは席を立ったが、すぐには部屋を出なかった。何となく部屋の隅に集まってどのように対応するか話し合っている。

 エストルが書類を片づけていると、ウィンターが声をかけてきた。

「エストル、この後の予定は?」

「クレサックには先ほど伝えたのだが、夕食は今晩はみんなでと思って用意させている。無論、私が勝手に決めたことなので、休みたい者は部屋でゆっくりしてもらっていい」

「その後は空いているか?」

「ああ。空いている」

「一度あなたとゆっくり話がしてみたかったんだ」

 すると、エストルがにやりと笑った。

「奇遇だな。私もそう思っていたところだ」

「だったら、僕の部屋に来ない?」

 後ろからひょいとグレンが顔をのぞかせる。

「お前は早く休んだ方がいいのではないか?」

 心配してエストルが言う。まだ体が回復しきっていないはずだ。

「疲れたら先に横にならせてもらうよ」

「お前がそう言うなら」

「いいでしょ、ウィンター」

「分かった」

 やれやれといった表情でウィンターとエストルが顔を見合わせる。

「では、また後ほど」

 エストルはてきぱきと残っていた書類を重ねてそろえた。いつもながら手際がいいと見取れていると、どくん、と胸が異常な鼓動を打った。

「どうかしたのか、グレン?」

 エストルが急に顔を上げてグレンに聞いた。書類に集中していたとばかり思っていたのに。

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