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ヴィリジアン  作者: 千月志保
第12章 王のいない城
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ソードの正体

「だが、失敗した」

「でも、僕がヴィリジアンやヴァンパイアのことを知っていることを突き止めた」

「そこで、グレンの部下から何か引き出せないかとクレッチを捕らえてその記憶をのぞいた。そのときは判断がつかなかったが、やはり〈追跡者〉は最初からお前の部下を狙っていたんだと思う。クレッチもがんばってくれたが、私とのラインが引き出された。次は私の番だと思い、覚悟は決めたが、相手の出方が読めず、結局あのような形で敵を迎え入れることになってしまった」

 出方が読めたとしても相手が上級ヴァンパイアでは手の施しようがない。

「〈追跡者〉はソフィアたちの攻撃を受け、一旦退いたように見せかけた。だが、実際にはすでに陛下の部屋に忍び込んでいた〈告知者〉が〈追跡者〉を城内に瞬間移動させ、計画通り私を拘束した。〈追跡者〉は私から全ての情報を引き出し、シャロンがヴィリジアンを持ってスアに向かい、ヴァンパイア化した人々を浄化しようとしていることを知る。それをアウグスティンに行っているように見せかけて実はロソーの近くにひそんでいたソードに伝え、すぐにスアに行き、ヴィリジアンを確保するよう指示する」

「ソードはテルウィング王の配下の者だ。ムーンホルン国王陛下がパイヤンを訪れたときに連れてきたのは覚えているだろう」

 ウィンターに指摘されて部隊長たちははっとなる。

「ソードはワイバーン型の魔獣を使って先回りして僕より前にスアに入った」

「私がスアに到着すると、もうすでに人の姿もヴァンパイアの姿もなくて」

 シャロンが口を開いた。

「ソード将軍が現れたのです。そして、急に攻撃を仕掛けてきて」


 シャロンはスアに着いた。スアはすでにヴァンパイアの町と化しているはず。ヴィリジアンを鞘から抜いて、いつものように駆け出そうとする。だが、何かがおかしい。ヴァンパイアの気配さえしない。まるで誰もいないような、廃墟のような静けさしか感じられない。

 不審に思い、シャロンはヴィリジアンを手にしたまま辺りを見回しながら歩き出した。すると、急に光弾が飛んできた。シャロンはとっさにヴィリジアンで弾いた。光弾は地に落ち、爆発して煙を上げる。煙が消えると、そこには一人の男が立っていた。

「それがヴィリジアンか」

 男は無表情に口を動かした。

「あなたは?」

 シャロンは男の腕に王騎士の紋章を見つけてはっとする。

「まさか」

 その男――ソードは眉をひそめたが、すぐに二つ目の光弾を放ってきた。シャロンが地を蹴って飛び上がり交わしたと見るや否やすさまじい速度で次の光弾を、そんなやりとりが何回か繰り返された。

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