表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヴィリジアン  作者: 千月志保
第11章 真相
105/170

王騎士になった日

「すごく面白いというか……実は最近クレサック将軍の任務についていってばかりで、その……」

「上級兵士の通常業務はよく分かりません、か?」

「いや。うん。そんなこともないんだけど」

 困惑した様子のグレンを見ていておかしくなったのか、エストルは笑い出した。

「で、どうだ、クレサック将軍の補佐は?」

 すると、グレンの緑色の瞳がぱっと明るくなった。

「今まで経験したことのないことばかりで。魔獣は今まで会ったことのないような強い魔獣だし、ヴァンパイアも噛みつかれたらおしまいだからすごい緊張感で。毎日学ぶことが多くて、すごく刺激的なんだ」

「そうか。それは良かった」

 エストルはグレンの話を聞いて嬉しそうな顔をして席を立った。

「実はな、グレン」

 書類が束ねて置いてある机の方に行くと、エストルは一枚の紙を手にして戻ってきた。

「今日はこれを渡そうと思って」

 目の前にその紙を置くと、グレンが目を通し始める前に言った。

「グレン、お前を今日づけでムーンホルン王国王騎士に任命する」

「は? 王騎士?」

 グレンは急いで紙に書かれている文字を読んだ。確かにグレンの名前だった。国王のサインもある。

「なんで?」

 王騎士は三人いる。これまでずっと三人だった。

「クレサックが引退したいと言っているんだ。そろそろ体力的にきついらしい」

「まだあんなに切れのいい動きをされるのに」

「あの状態を維持するために努力してきたが、それがもう限界なのだと言っていた。王騎士の任務はあの状態以上でなければ危険だ」

「そうなんだ……」

 厳しい現実を突きつけられてグレンは納得せざるを得なかった。

「とにかく」

 エストルはグレンの方に歩いてきて両手を握った。

「おめでとう。そして、紹介が遅れたが、私は宰相のエストルだ。任務の説明をしたり、報告を聞いたり、お前たちの任務の手伝いをさせてもらっている。グレン、これからは一緒に仕事をしていくことになる。よろしく」

「こちらこそ。また、よろしくね」

 エストルと仕事ができるということは嬉しかった。これほど頼もしい上司はいない。エストルがどれくらい優れた人物かということはよく知っている。士官学校で散々見てきた。

 グレンは笑顔を返しながら、エストルのしっかりとした手の感触を確かめた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ