並木道の角で…
構想2分。純愛ものです。
枯れ葉の季節は恋の季節と言ったのは誰だったか。舞い散る葉が二人の時を止めて、ずっと一緒にいられたらと、そう思いつつ、愛を確かめ合う。燃え上がる恋の炎は迫り来る寒さなど気にしないで、お互いの心、一つに溶かす。そうして求めるばかりの愛のなんと絵になることか。まさに借景、恋人たちは長い冬を越えて、春の祝福を受け、暖かく育まれる愛。そして運命は彼らを迎える…末永くお幸せに。
ここにもそんな、恋人たちがいた。
「ミズキ…好きだよ」
柔らかで絹のような髪を撫でると、まるで猫のようにいたずらっぽい笑顔を浮かべ、体をすり寄せてくる。ユウはミズキの肩にそっと手を回し、自分の方を向かせる。言葉がなくとも伝わる心と心。だんだん二人の瞳が近づいていく。星が瞬いて綺麗だ。魂が昇華して、縒りあわされたハーモニーが無限とも思える甘さで響く。
「だめだよぉ、ユウくん、ここ学校なのにっ…」
「そんなことを言う口は、ふさいじゃおうかな…」
流れ込む旋律、震える喉が、ヒバリのように歌って、そのまま唇を重ね続けた。大好きが、愛が、何物にも代え難い大切なもの…いつしか二人、涙を流さずにいられない。
このまま二人で…ううん、もっと長く、遠くまで。愛して。愛して。愛して。
「よう、どうしたジェームズ、真っ青だぞ」
「あ、事務の寺井さん…あれ、見てください」
「あれは、2年の堀田と青島か、ずいぶんと仲睦まじいじゃないか」
「そうみたいですね、でももう完全下校過ぎてますし…ちょっと言ってきます」
「いや、よそうやジェームズ。あの二人の間に水なんて差しちゃいけねえ」
「…さすが寺井さん、”粋”ですね!」
すでに寺井は歩き出していた、少しジェームズに手を振りながら。そして振り返ることもなく言った。
「まあ、ここ男子校なんだけどな」
寒空に寺井の哄笑がいつまでもこだましていた。
純愛(True LOVE)…恋人たちよ、末永くお幸せに!
もう吐きそうです