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第4回

SmileyAzazel&九条 蓮十朗 の二人がお送りする、テーマとジャンルを決めて一ヶ月で完結を目指すリレー小説。

【ジャンル】恋愛【テーマ】四季

今回は【SmileyAzazel】がお送りします。

「ごめんね~、二人とも。委員会活動で遅れちゃって」

深山さんが、遠野さんの隣の席に腰掛ける。

遠野さんと同じ制服を着ているということは、二人は同じ学校に通っているらしい。


「ううん、秋垣さんとお話してたから」

遠野さんが深山さんに微笑みかける。


「え?あの冬花が?珍しいわね。知らない人とはあまり話さないのに」

「ふ~ん?」

ニヤニヤ顔でこちらを見つめてくる深山さん。

あ、この人夏丘と同じタイプの人間だ。


「ゲームのデザインについて話していただけだよ」


「こんな美人とお近づきになるなんて、やるな秋垣」

夏丘が真顔で僕の隣に座る。

「だから違うって!」


助けを求めて遠野さんの方を見てみるが

「あ、あの…」

顔を真赤にしてうつむくばかりだった。




「よし!それじゃあ本題に入ろう!」

「昨日徹夜で企画書を書いてきた!」

夏丘がカバンの中から冊子のようなものを取り出す。


「ええ!たった一晩で!?」

こういう時の夏丘は本当にすごいと思う。


「ああ、こうやってみんなに声をかけたんだ。俺も頑張らないと」

「でも…、褒めてくれてもいいんだぜ…?」

片方の手を顔に当てて謎のポーズを取る、これは称賛しろということなのだろうか。


ズズズ、とアイスコーヒーをすすり無視を決め込む深山さん。

遠野さんだけがパチパチと小さな音で拍手をする。


「ありがとう…、遠野さん。涙が出そうだ…」

夏丘が腕を顔に当て泣くフリをする。


「今回制作するゲームなんだがコンセプトは【四季を追体験する】ことにしたいと思う」

急に真面目な顔に戻り、本題を切り出す。

「と言うと?」

深山さんが夏丘の方をじっと見つめる。


「咲き誇る春の桜や、真っ白く輝く冬の雪達をゲームをプレイしてもらえる人たちに届けたいんだ」

キリッとした表情でそう語る。


「本音は?」


「冬の厚着した女の子の胸の膨らみや夏の短いスカートから伸びる美しい足とか最高じゃないか!!」

またしても店内に響き渡る声で叫ぶ。

そろそろ僕達入店拒否されるんじゃないだろうか。

「す、すいません」

カップを磨いている初老のマスターに対して謝る。

「いやいや、構わんよ。しかしキミ」

「よく分かってる」

マスターが夏丘に対して、グッジョブ!と言わんばかりに親指を立てる。


「ああ、ありがとうマスター。いつも美味しいコーヒーをありがとう」

夏丘もマスターに対してグッジョブポーズを返す。

どうやらよくわからない同盟が誕生したようだ。


しかし、たった一言で夏丘の建前を崩壊させてしまう深山さんの恐ろしさを感じた。

どうやら深山さんのほうが、夏丘より一枚も二枚も上手のようだ。


「そんな下心満載のゲームを作るためにあたしに声を掛けたわけ?」

深山さんがヤレヤレと言わんばかりに呆れた顔をする。


「ああ、春は昔から絵を書くのが好きだったからな」

どうだとばかりに頷く夏丘。


「でもあたし、人物はあんまり上手くないわよ。風景画ばっかりだったから」


「ん、なに?それは困ったな。それじゃあ美しい女の子たちが見れないじゃないか」

言ってることはふざけてるみたいだが、本気で困っているらしい。

癖で出てしまう腕組みを始めた。


「そうね…、背景はあたし達が書くにしても誰かキャラクターを書いてくれる人を探さないと…」

「う、うん…」

顔を見合わせる深山さんと遠野さん。

「弱ったな」


ん?話がおかしな方向に行っているような気がする。

「あれ?二人とも知らないの?」

思わず口にしてしまう。


「ん?なにがだ?」

「なにが?」

夏丘と深山さんがこちらを見つめる。


「わわ、秋垣さん!ナイショにしててください!」

遠野さんが口を塞ごうとこちらに手を伸ばしてくる。

「どうしてさ!あんなにかけるのにもったいないよ!」

先程まで心にあった熱い気持ちが戻ってきた。


「僕にはあんなにイキイキとしたキャラクターたちは書けないよ!せっかく持った才能は活かさなくちゃ!」

心の底から思いの丈をぶつける。


ハッと我に返る。

随分と大きい声を出してしまっていたようだ、またしても店内の注目を浴びる。


「あ、ありがとうございます…」

遠野さんが赤面した表情でこちらに礼を告げる。


「なぁ」

「あの…」


「二人だけで急に盛り上がられても私達ついていけないんだけど…」

そこには唖然とした表情でこちらを見つめる深山さんと夏丘の姿があった。


「あ、はは…、ごめん」

つい熱くなってしまったようだ。




「遠野さん、二人に話してもいいよね?」

「は、はい」

どうやら決心がついたようだ、緊張で顔がこわばっている。

「さっき言ってたデザインの話っていうのは、実は遠野さんが書いたキャラクターのイラストを見せて貰ってたんだ」

「一つ一つのキャラクターはよく書き込まれていて、

それぞれのキャラクターについてを話してる遠野さんはキラキラ輝いて見えて、

ああ、この人は本当にキャラを書くのが好きなんだなぁって思ったんだ」

「だからキャラクターは遠野さんに書いてもらったらどうかな?」

思っていたことを正直に話す。

「もし良かったら二人にも見せてあげなよ!」

「う、うん…」

カバンの中からさっき僕に見せてくれたノートを取り出す。


「これなんだけど」

遠野さんが机の上にノートを広げる。


「わあ、すごい!冬花、キャラクターも書けるのね!どうしてだまってたの?」

深山さんがノートを覗きこみ、初めて会った時にみせた輝いた瞳を遠野さんに向ける。

「こんな歳にもなって、って思われるんじゃないかと思って…」

いまにも恥ずかしさで泣き出しそうな表情で遠野さんが答える。


「そんなことないわよ!これは立派な作品よ!誇りに思いなさい!」

腰に手を当て何故か胸を張る深山さん。

「ありがとう」

遠野さんが照れた笑いを見せる。


「おお、これはすごい。こんな女の子たちのあんな姿やこんな姿が…」

ノートを見つめ、またしてもものすごい表情になる夏丘。


「ハッ、いかんいかん」

夏丘が首を横に振り我に返る。


「よし、それじゃあどうだろう遠野さん」

昨日僕にしたようにズビシッと指を遠野さんに向かって指す。

「ひとつ我々、四季オリオリのキャラクターデザイナーとして活躍して頂けないだろうか?」

「は、はい!ぜひお願いします!」

遠野さんが満面の笑みで頷く。




最初は面倒に思っていたゲーム制作の話だったけど、今は何かしたくてしたくてたまらない。

今すぐカメラを持っていろいろな場所の写真を撮りたい。

僕が撮った風景の写真の中に、遠野さんの書いたキャラクターが登場するのだと思うと何故か胸が高鳴った。

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