幽閉
なし
最上階から
みわたす夜景は
わるくない
2週間も前から
あまりの階下の
寒さに
ついに
意を決して
掃除のおばちゃんに
直談判
ちょうど
夏休み後の
ショートの留学生が
帰って
空きになった
最上階に
めでたく
お引越し
家電製品もなく
荷物の少ない
私には
あっという間の引っ越し
まさに
スーツケース一つ
そんな浮世です
直接は
となりの部屋には
行けないが
きがつけば
となりの塔は
ずっとこちらで
暮らしている本科の皆様
いつも
あわただしく
中央フロアの電話に
降りてきては
電話を取り次いでくれる
私にも
一度か二度とりついでくれた
そして
みんながみんな
行きつくところは
やはり
最上階なのか
しばらく住んでみて
そのあたたかさの
あまりの違いに
驚いた
まったくの
別世界
そして
いつも授業に出ず
ふて寝をきめこむ
大先輩
そんなことなら
わたくしが
本学に通っても
よさそうなところ
何がどうあろうと
あいかわらず
先輩は
談話室に一番近い
出入りが楽な
入り口近く
そして
私は高い塔の
てっぺん
下に降りる時も
地下室かと
思ったけれど
最上階への
階段も
よくまあこんな階段を
作ったな
これもこれで
何か囚われ
幽閉かとも思わせる
今日はこのまま
幽閉したい気分
部屋にもどれば
19時すぎで
夕暮れ
10月も近いのに
夜の7時が夕暮れとは
日が長い
広いしばふ
そのひろい大学構内の先に
ランプがともる
2、300mくらいの
ちいさい山
なんとそこは
スキー場だそうで
いよいよ
きたるべく
冬に備えて
リフトや照明の点検
オレンジのライトがいくつか
ついている
その向こうには
100万とも
いわれる
グラスゴーの夜景
さすがに
熊の巣といわれる
土地柄だけあって
いまでこそ
開けて大学が誘致されたが
やはり小高い山
さらには
幽閉の
最上階
ここからの夜景は
とてもきれいだ
そういやと
思い出し
こないだ
ショートの
アメリカの留学生が
免税で
買ったターキーのウイスキー
お別れ会で
残ったものを
グラスにそそぐ
日本の方に
グラスを
かかげたかったが
どちらの方角かわからない
しかたなく
夜景に完敗
ぐっと飲むと
胃に熱いものがくる
ウイスキーの本場に
いるのに
地場でない
ウイスキーを
はじめてのんだ
なし




