表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
丘陵のさき 世界の先 Ⅲ  作者: 玲於奈
40/50

信奉者

なし

駅員との交渉は

疲れたが

きたるべく

ヨーロッパ旅行に

想いをはせ


楽しい気分で

大学に戻ってきた


慣れない場所に行って

時間がかかったからか

いつも

行列する大学食堂も

今日は

第一波は解消され

すばやく食事ができる

くらいの

列となっている


食後にコーヒーでも

飲みながら

日本からの郵便物にでも

目をとおそうと


自分のメールボックスを

のぞいてみる


ピンクの封筒に

香水がかおる


こちらが

この国に慣れていないので

手紙をだすことができないでいたが

日本を離れる際に

事前に

住所と手紙の書き方だけは

教えておいたので

彼女から先に手紙がきた


はやる気持ちも

あったが

食後にしようと

おもい

食堂の扉を開く



もう17時もだいぶすぎての

30分なので

列もまったくなく

いつもの

大混雑が嘘のよう


しかしながら

同じ食べ物を

食堂のおばちゃんが

一生懸命

大量に作っているのに

みな

なぜ17時前から

並ぶのだろうか


昼食を軽めにとるから

食べたらすぐにでも

中心街に飲みに繰り出すから


そして

ときどき食べたいものが

売り切れる


夕食終了時間

ぎりぎりだと

食べ物がない


食堂のおばちゃんも人の子

食事の後片付け

食器の洗浄を終えて

19時には

家に帰れるような配慮なのだろう


そんな理由からか

17時信奉者が多い


ご飯も

日本のササニシキ

コシヒカリは

もう遠い幻想で

タイ米や細長いコメに

もう慣れた


ぱさぱさのチャーハンの

ようなもの

それと

ビーフをとる


夕食をとるには

早い時間だが

この食堂では

遅きにいたり

もうほかのテーブルは

コーヒーでの語らい

もしくは

席をたって

次の行動にうつる人が

多い


食事の後に

水泳、ジョギング、エクササイズも

多いし

沈むまでの太陽が高いことや

サマータイムなどの

影響も多い


もう人もまばらな

食堂で

もそもそと

食事をとり


コーヒーを

とりにいって


ひといきついて

封を切った


いつもどおりの

はずだった



人生とは

いろいろなことが

あるもので

ましてや

異国で

そのようなことに

遭遇するとは


自分にも

けちがついたものだ




今となっては

食堂に

人影が少ないことに

感謝した。



なし

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ