信奉者
なし
駅員との交渉は
疲れたが
きたるべく
ヨーロッパ旅行に
想いをはせ
楽しい気分で
大学に戻ってきた
慣れない場所に行って
時間がかかったからか
いつも
行列する大学食堂も
今日は
第一波は解消され
すばやく食事ができる
くらいの
列となっている
食後にコーヒーでも
飲みながら
日本からの郵便物にでも
目をとおそうと
自分のメールボックスを
のぞいてみる
ピンクの封筒に
香水がかおる
こちらが
この国に慣れていないので
手紙をだすことができないでいたが
日本を離れる際に
事前に
住所と手紙の書き方だけは
教えておいたので
彼女から先に手紙がきた
はやる気持ちも
あったが
食後にしようと
おもい
食堂の扉を開く
もう17時もだいぶすぎての
30分なので
列もまったくなく
いつもの
大混雑が嘘のよう
しかしながら
同じ食べ物を
食堂のおばちゃんが
一生懸命
大量に作っているのに
みな
なぜ17時前から
並ぶのだろうか
昼食を軽めにとるから
食べたらすぐにでも
中心街に飲みに繰り出すから
そして
ときどき食べたいものが
売り切れる
夕食終了時間
ぎりぎりだと
食べ物がない
食堂のおばちゃんも人の子
食事の後片付け
食器の洗浄を終えて
19時には
家に帰れるような配慮なのだろう
そんな理由からか
17時信奉者が多い
ご飯も
日本のササニシキ
コシヒカリは
もう遠い幻想で
タイ米や細長いコメに
もう慣れた
ぱさぱさのチャーハンの
ようなもの
それと
ビーフをとる
夕食をとるには
早い時間だが
この食堂では
遅きにいたり
もうほかのテーブルは
コーヒーでの語らい
もしくは
席をたって
次の行動にうつる人が
多い
食事の後に
水泳、ジョギング、エクササイズも
多いし
沈むまでの太陽が高いことや
サマータイムなどの
影響も多い
もう人もまばらな
食堂で
もそもそと
食事をとり
コーヒーを
とりにいって
ひといきついて
封を切った
いつもどおりの
はずだった
人生とは
いろいろなことが
あるもので
ましてや
異国で
そのようなことに
遭遇するとは
自分にも
けちがついたものだ
今となっては
食堂に
人影が少ないことに
感謝した。
なし




