強制送還
なし
大学を追われ
語学学校に
強制送還される前。
「それでは
あんまりでしょう。」
と
同情だか
哀れみだが
もって生まれたカインドネスの
精神による
親切だが
よくわからないが
副学長が
これから私が通う語学学校に
私を連れ
自ら
手続きを
一緒にしてくれることに
いつのまにか
なっていた。
時間がメモに書かれ
指定された
大学駐車場で待つ。
年期のはいった屋根のような
だいぶ落ちた
赤もしくはレッドともいう
車が
一台止まった。
副学長は
動じず
明るかった。
私も
「はーい」
と明るく言ってみた。
大学のある住宅街を
下り。
ふもとの
それこそ
私は田舎ものだったので
見たこともないような
大きなショッピングセンターの
脇を通り、
環状線が交差する道を
中心街に向かおうと
した矢先に
それはあった。
川沿いに広がる校舎。
こう書くと
きこえはよいが
内心
全部平屋で
ひたすら驚いた。
しかしながら
そんなことより
来てもらって本当に助かったのは
事務手続き。
私が懸命にしゃべれど
まったく
会話は通じず。
だまって
副学長が
書類をかいてくれた。
情けなかったが
ありがたかった。
授業料の手続きも
副学長が交渉してくれたが
値段は安くならなかった。
というか
授業料を支払うとは
聞いてなかった。
たぶんに大学側の
事前説明で
事務方が
説明してくれたの
であろうが
英語難民の
私には
とうてい理解もできず
そもそも
英語を
理解していなかった自分に
さらに
情けなくなった。
がっくり
肩をおとす私に
ここは
日本の工業系の高校に
類似です。
みたいなことを
やや
日本語が話せる
副学長が教えてくれた。
たしかに
それで
納得。
男子のヲタ度。
女子比率の少なさも
納得した。
納得することの
たいせつさ
言葉が理解できないのは
暗闇をただひたすらに
歩くもののようだと
本当に実感した。
それを聞けば
故郷の
工業高校は男子の進学希望が多かったし
女子は商業が多かった。
そう日本に
望郷をもちながらも
いつのまにかすすんでいる
流れる車中の景色を
眺めながら
どうやったら
副学長に
ベアーズデンの
パン屋によってもらえるか
そればかり考えていた。
なし




