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シニガミノミカタ  作者: 有葉薫
1章 満月は知っている(上)
2/2

満月は薄気味悪く笑っている


「今日のデートは楽しかった。また一緒にどこか行こうね。」


満月は薄気味悪く笑っている。


日はずっと前に沈み、時計の針は子の刻(11時頃)を指している。

夜も遅いというのに高校生のカップルらしき二人組が閑散とした電車の座席に座っている。


車内はとても暖かく、何か喋らないと寝てしまいそうな空気が充満している。

「……やっぱり俺、家まで送るよ…こんな時間だし…」

そう言いながら俺は窓の外を眺めた。

二人とも疲れきっていて、沈黙の時間が長い。

「………大丈夫だよ、駅から5分もかからないから。」

そう言うと優奈ゆうなは黙々と膝の上に置いていたカバンから何かを取り出した。

「ハッピーバースデイ!!秀成しゅうせい!!」

優奈はそういうと俺に可愛く包装されたプレゼントを渡してきた。

昨日まで定期考査で忙しくて俺もすっかり忘れていたけれど今日は俺の誕生日だった。

「ありがとう」

俺もすっかり忘れてた誕生日を優奈は覚えてくれたって考えると

感動して涙が溢れてきた。


『次は柳神社前やなぎじんじゃまえ。柳神社前です。』

人が感動しているというのに車掌による車内アナウンスが車両内に響き渡る。

電車が駅に到着すると優奈は立ち上がり首にマフラーを巻いた。

「本当に一人で帰るんだな?」

「秀成の家ってここから1時間はかかるでしょ?少しでも早く帰ってくれないと心配して私眠れないよ」

そういうと優奈は電車から降りて俺に手を振ってこう言った。

「今日のデートは楽しかった。また一緒にどこか行こうね。」

優奈の笑顔は今日の中で一番の笑顔のように感じた。しかし何故だろう。

それを見て俺はとても嫌な予感がした。


最寄り駅に到着して、改札口を抜けると一番に曇った夜空が飛び込んできた。


曇り空の隙間から覗いている満月は

狂ったように気味悪く笑っている。


俺はマンションに住んでいる。

自宅のあるフロアは最上階、

安いマンションのためエレベーターなど到底ない。

階段をやっとの思いで登りきり、鍵穴に鍵を挿した。

自宅のドアノブはいつも以上に冷たく感じた。

「ただいま~・・・」、と言っても、俺は一人暮らしなので家には誰もいない。

靴とコートを玄関で脱ぎ、リビングと廊下を区切っている扉を開けた。

誰もいなくて真っ暗な部屋の奥から何やら視線を感じた。

鳥肌と震えが止まらなかったがおそるおそる部屋の電気を付けた。

全身から力が抜けて俺は大事に持っていたプレゼントを床に落とした。

「嘘・・・だろ・・・?」



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