白露
「授業めんどい~」
教室の机の上でぐちって教科書を立てて遊んでいるのは、陽遇雅だ。
「そういっても、しゃあないだろ。高校なんだから授業はあるさ」
「幌はいいよな、頭いいんだから」
雅の友人である井野嶽幌が、雅の机に手を置いて、教科書を倒しながら答える。
「ま、そりゃ毎日の復習を怠らないからさ。分からないところは、自分でつぶす。それが鉄則さ」
「そっか、そりゃそうだよな。最近は涼しくなってきたから、勉強しやすそうだし」
「白露過ぎたしな。ここからは涼しくなっていくさ」
「もう秋だもんな…」
雅は、高い青空を眺めながらつぶやいた。