「なろう系は終わった」って、本当に? そもそもあなたの言う「なろう系」って何?
さて、以前も書きましたがKADOKAWAが大きな赤字を出したことで、
このニュースを見て、
「なろう系も終わったのでは?」
という意見を見かけることがあります。
そして私は、**KADOKAWAが赤字になったことだけで、「なろう系が終わった」と考えるのは少し違うのではないか**と思っています。
KADOKAWAは、なろう系だけを扱っている会社ではありません。
それなのに、
「KADOKAWAが赤字になった」
↓
「なろう系が売れなくなった」
↓
「なろう系は終わった」
とつなげる。
さすがに、そこまで単純な話ではないでしょう。
……ただ。
今回この話について考えていて、もっと気になったことがあります。
**そもそも「なろう系は終わった」と言っている人たちは、同じ「なろう系」を見ているのでしょうか?**
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## 「なろう系の代表作」は、人によって違う
例えば、
「なろう系の代表作を挙げてください」
と言われたら、何を思い浮かべるでしょうか。
「転生したらスライムだった件」。
「Re:ゼロから始める異世界生活」。
「この素晴らしい世界に祝福を!」。
「オーバーロード」。
「なろう系にも面白い作品はあるよ」
という話なら、こうした作品が代表として挙がることがあります。
ところが、
「なろう系って、こういうところが嫌なんだよね」
となると、今度は、
「スマホ太郎」。
「デスマ次郎」。
といった、いわゆる「太郎系」が出てくる。
……あれ?
同じ「なろう系」という言葉を使っているのに、代表として挙がる作品が違います。
もちろん、どちらかが間違っているという話ではありません。
でも、
**ここで一度、「そもそも同じものを見ているのか?」と考えてみる必要があるのではないでしょうか。**
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# なろう系が好きな人と、嫌いな人では見えているものが違う
ぶっちゃけ、私はここがかなり大きいと思っています。
なろう系が好きな人からすれば、
「主人公が活躍する」
「強い主人公を見るのが楽しい」
「ストレスなく読める」
「異世界の世界観を楽しめる」
といったところが魅力になる。
一方で、なろう系が嫌いな人からすれば、
「主人公に都合が良すぎる」
「最初から強すぎる」
「周囲が主人公を持ち上げすぎる」
「また同じパターンだ」
となる。
つまり、
**同じ作品を見ても、評価が真逆になることがある。**
これは別に不思議なことではありません。
そもそも、読者が作品に求めているものが違うからです。
そして、もっと重要なのは、
**好きな人と嫌いな人では、頭の中にある「なろう系」の範囲そのものが違う可能性があることです。**
好きな人が思い浮かべる「なろう系」は、転スラやリゼロ、このすば、オーバーロードかもしれない。
嫌いな人が思い浮かべる「なろう系」は、スマホ太郎やデスマ次郎のような作品かもしれない。
だから、
「なろう系は面白い」
と言う人と、
「なろう系はつまらない」
と言う人が、同じ作品群について議論しているとは限らない。
**そもそも、見ているものが違う。**
これなら、話が噛み合わないのも当然ではないでしょうか。
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# そもそも「なろう系」という言葉自体が広すぎる
さらにややこしいのが、「なろう系」という言葉そのものです。
私は、大きく分ければ三つくらいの意味が混ざっていると思っています。
一つ目は、
**「小説家になろうなどのWeb小説サイトから生まれた作品」**
という意味。
これは作品の出自です。
二つ目は、
**「Web小説で発達したジャンルや物語形式」**
という意味。
異世界転生。
追放。
ざまぁ。
スローライフ。
無双。
ダンジョン。
悪役令嬢。
こうしたものです。
そして三つ目。
ネット上で広まった、
**「異世界でチート能力を手に入れた主人公が無双し、周囲から称賛され、ヒロインにも好かれる作品」**
というイメージです。
この三つ。
似ているようで、実際には違います。
ところが、
全部まとめて「なろう系」と呼ばれている。
だから、
「なろう系は終わった」
と言われても、
**「どの“なろう系”の話ですか?」**
となるわけです。
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# 「なろう系終了論」は、実は一つの話ではない
例えば、
「異世界転生の流行が落ち着いた」
これは一つの話です。
「昔ながらの俺TUEEEに飽きる読者が増えた」
これも別の話でしょう。
「スマホ太郎のようなテンプレート作品が、以前ほど受けなくなった」
これもまた別です。
でも、
「小説家になろう発の作品全体が終わった」
となると、話が変わります。
さらに、
「Web小説市場そのものが終わった」
となれば、もっと大きな話です。
つまり、
**「なろう系は終わった」という一言の中に、いくつもの別の話が詰め込まれている。**
だから、本来は、
「何が終わったのか?」
を分けて考える必要があります。
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# 「小説家になろう」にある作品は、もっと幅広い
当然ですが、「小説家になろう」発の作品が全部、
異世界。
チート。
無双。
ハーレム。
というわけではありません。
主人公が失敗する作品もあります。
努力する作品もあります。
主人公に大きな欠点がある作品もあります。
戦闘ではなく、
政治。
商売。
農業。
料理。
ものづくり。
領地経営。
などを描く作品もあります。
だから、
**「なろう系」という一言では、実際の作品の中身まで分かりません。**
転スラも。
リゼロも。
このすばも。
オーバーロードも。
スマホ太郎も。
デスマ次郎も。
全部「なろう系」と呼べる。
でも、
**それだけでは、作品同士の違いは何も説明できない。**
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# 「なろう的な要素」は、異世界だけのものではない
もう一つ、面白いと思うことがあります。
「なろう系」と呼ばれてきた作品には、
**主人公だけが持っている知識や能力を使って、状況を変えていく**
という構造が見られることがあります。
未来の知識。
歴史の知識。
専門知識。
特殊な能力。
現代人としての経験。
こうしたものが主人公の武器になる。
必ずしも剣や魔法である必要はありません。
異世界である必要もない。
転生すら必要とは限らない。
もちろん、だからといって、こうした作品を全部「なろう系」と呼ぶわけではありません。
ただ、
**テンプレートと、そこで支持された面白さは、分けて考えたほうがいい。**
私はそう思っています。
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# 流行が終わることと、要素が消えることは違う
異世界転生の流行が落ち着く。
俺TUEEEが飽きられる。
ハーレム展開が古く感じられる。
それ自体は、十分あり得ることです。
どんな流行でも、永遠には続きません。
でも、
**一つの流行が終わることと、その流行で使われていた要素まで消えることは別です。**
異世界を現代に変える。
魔法を科学に変える。
戦闘での無双を、経営やものづくりの成功に変える。
特殊能力を専門知識に変える。
形を変えて残ることはあります。
だから、
「異世界転生が下火になった」
という話から、
「なろう系は終わった」
と結論づけるには、もう一段説明が必要なのだと思います。
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# もしかすると、古くなっているのは「なろう系」という言葉なのかもしれない
ここまで考えると、私は別の可能性もあると思っています。
もしかすると、
**作品の変化に、「なろう系」という言葉のほうが追いついていないのではないでしょうか。**
「小説家になろうから生まれた作品」
という意味だった言葉に、
「Web小説で流行したジャンル」
という意味が加わった。
さらに、
「異世界チート無双」
というネット上のイメージまで加わった。
その結果、
一つの言葉にいろいろな意味が詰め込まれてしまった。
そして、
「なろう系の代表作は?」
と聞いたとき、
転スラを思い浮かべる人と、
スマホ太郎を思い浮かべる人がいる。
好きな人と嫌いな人で、
**最初から見ているものが違う。**
そう考えると、
「なろう系は終わった」
という議論が噛み合わないのも、そこまで不思議ではありません。
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# だから、KADOKAWAの赤字だけでは「なろう系終了」とは言えない
ここで、最初のKADOKAWAの話に戻ります。
KADOKAWAが赤字になった。
これはニュースとして重要でしょう。
しかし、それだけで、
**「だから、なろう系は終わった」**
とするのは難しい。
KADOKAWAは、なろう系だけを扱っている会社ではありません。
そして、
「なろう系」という言葉自体も曖昧です。
さらに、
**なろう系が好きな人と、なろう系が嫌いな人では、思い浮かべている作品まで違う可能性がある。**
この状態で、
「KADOKAWAが赤字になった」
↓
「なろう系が売れなくなった」
↓
「なろう系終了」
とするのは、あまりにも話が単純すぎると思います。
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# 「なろう系は終わった」と言う前に
だから私は、
「なろう系は終わった」
と言われると、
「本当に?」
と思ってしまいます。
異世界転生が終わったのか。
俺TUEEEが終わったのか。
太郎系が終わったのか。
小説家になろう発の作品が終わったのか。
Web小説市場が終わったのか。
それとも、
**「なろう系」という言葉そのものが古くなったのか。**
ここを分けなければ、本当のところは分かりません。
そして、もしかすると一番単純な答えは、
**なろう系が好きな人と、なろう系が嫌いな人で、最初から見ているものが違いすぎる。**
ただ、それだけなのかもしれません。
だから私は、
**「なろう系は終わった」**
と言う前に、
**「あなたが言っている“なろう系”って、いったい何ですか?」**
と聞いてみたいのです。
もしかすると、
終わったのは「なろう系」ではなく、
**何でも一括りにして語れた時代のほうなのかもしれません。**
そんな気がしています。




