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乙女ゲームで存在しない悪役令嬢の双子の兄に転生してしまった【第二章◆進行中】  作者: かみながあき
第二章◆初等部編

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十三話◆少しでも早く

おぼえてろよ……!

 

 合同学習の余韻も冷め切らないうちに夏季休暇に突入し、僕はというと、目に付いた魔法書を片っ端から読み漁っていた。

 もちろん読書だけじゃなくて軽い筋トレも続けているし、今では(たまにしか付き合ってくれないけど)Jから体術の手解きも受けたりしている。

 

 一度アリシアとKの秘密の訓練に混ぜてもらったけど、あまりにも教えを乞う時期に差があり過ぎて、何一つついていける気がしなくて諦めた。

 まあ、そもそも素質がないのかもしれないけど……!


 あと、身長も伸ばしたいから早く寝ようとは思ってるんだけど……。

 やりたい事が多過ぎて、前世でいう低学年の理想の睡眠時間からするとちょっと夜更かし気味かも。

 

 学園の図書室にも何回か行ってみたけど、初等部のエリアの図書館にはそこまで興味を惹かれるような本は置いていなかった。

 今はガルブレイス邸の図書室にある魔法に関する本から読み進めている最中なのです。

 何年かかるか分からないけど、目指せ図書室の本、読破!って感じ。

 

 と言いつつ、ダリルさんが来た日には一緒に書庫の方に籠ってるけど。

 

 

「やっぱり魔石の色、変わらないよなぁ」

 

 もしもまた魔力回路に異常が生じたら……と、事情を知ってる各方面から心配されて、発作対策の魔道具は外してもらえなかった。

 物心ついた時から左腕にずっとあるから、僕にとってももはや身体の一部みたいな感覚だけど。

 

 魔法を使っても、魔力循環のトレーニングをしてみても、こっそり魔力圧縮に勤しんでみても、腕輪の魔石は透明なままだった。

 

「わざと魔力を送るのって、できるのかな」

 

 一度気になると、なんだかどうしても試してみたくなっちゃうのはしかたないよね?

 まずは循環から始めようと、ベッドの上であぐらの体勢になり。目を瞑って、僕は意識を集中させた。

 

 ◇    ◇    ◇


 結果として、魔力を魔道具に送ることは、出来た。逆に腕輪の魔石から魔力を吸い取ることも。

 その際にいろんな事が分かった。

 

 まず初めに。

 この魔道具は、軌道を外れて肉体を侵食しようとする魔力を強制的に吸い出していたこと。

 体内で漏れた魔力は微妙に変質して濁ってしまうことなど。

 

 次に、強制的に吸い出される以外の方法で魔石に魔力を送ったり、父上のように魔石から魔力を回収するためには、魔道具に施された術式を活性化させなきゃいけないことが分かった。

 言ってしまえば、スイッチのオン・オフかな?

 

 ちなみに、魔石から回収した魔力はなんとなく異物感があって、しばらく循環させて馴染ませるまでちょっと気持ち悪かった。

 父上もそうだったのかな…………。

 

 そして最後に。

 検証のために自ら発作状態を起こしてしまったわけなんだけど。

(絶対に誰にもバレるわけにはいかない……)

 

 もう完治してるから確かめようはないけど、おそらく僕には、詰まったり歪んだりした回路自体をどうにか出来る力は無い。

 これはきっと聖女固有の《完全治癒(トータルヒール)》にしか出来ない偉業なんだと思う。

 でも、侵食された身体を癒すだけなら、聖魔法でもなく水魔法の《治癒(キュア)》でも充分だった。

 

 

 ◇    ◇    ◇


 体調も戻って証拠隠滅もバッチリ!と意気込んで、今日も図書室へと向かう。

 

 自室に持ち込んでいた本を返すために奥の棚に向かうと、ちょうどアリシアが本棚を吟味しているところだった。

 

「この時間に居るなんて珍しいね。今日はアリシアも寝る前に本読むの?」

 

「アシェル?ちょうど良かったわ。あとであなたの部屋に行こうと思ってたの」

 

 振り返ったアリシアが、にこりと笑う。

 

「そうなの?ちょっと待ってね……これ戻したら何冊か選ぶから」

 

「貸して」

 

 アリシアはそう言って、僕の抱えていた本の、上から二冊を手に取った。

 タイトルと中身をさらっと確認すると、その内の一冊を本棚のあるべき場所へと収める。

 

 どうやら手伝ってくれるらしいと判断して、僕も手元の本を元の場所へと戻していく。

 そのついでに、次に目星をつけていた本を借りるのも忘れない。

 

「お待たせ…………って、あれ。その本は……」

 

「わたしも読んでみるわ」

 

 戻す場所が分からなかったのかな?と思ったけど、違ったみたい。

 

「そっか。それ面白かったよ!」

 

 完全詠唱の必要性の是非がテーマなんだけど、それに付随した短縮詠唱についての見解が深くてめちゃくちゃ良かった!

 できれば手元に置いておいて読み返したいけど、次の本を借りるならやっぱりちゃんと返さないと良くないよね……と思って返却したんだ。

 

 そんなことを考えていたら、もう自室の前だった。

 アリシアを中へ通し、扉を閉める。

 

「……《…………》あっ」

 

 と同時に、習慣付いてきたせいで無意識に遮音の結界を発動してしまった。

 

「どうしたの?」

 

「いや、なんでもない……」

 

 まあ別に困るものでもないし、このままでもいいよね。内緒話もしやすいし。

 

「アシュが変なのはいつもの事だし、まぁいいわ」

 

 え、ナチュラルにディスられたんですけど。

 そもそも遮音結界がクセ付いたのも『ひとりごと対策』だから反論もできないんだけどさ。

 

「ねえアシュ。あなたは今、何に焦ってるの?」


「え?」

 

 急になんの話かと対面に座るアリシアを見返せば、真剣身を帯びた瞳が僕を注視していた。

 

「合同学習があった日から、とっても変よ」

 

「…………そう……なのかなぁ」

 

 あまりにもピンポイントに指摘されて、片割れの鋭さにビビりながらも曖昧な返事を返す。

 

「そうよ。いつも変ではあるけど、いまはとっても、とぉっ…………ても変なの!」

 

 めちゃくちゃ溜めるじゃん……。

 あんまり変を連呼しないで欲しいんだけどな。

 地味にへこむ。

 

「まるで何かに追われるみたいに、急いで学びを得ようとしているのはどうして?」

 

「どうして、って、言われても…………」

 

 一日でも早くダリルさんに追い付きたいから……なんて、言えないよ。

 

 僕がもだもだと言いあぐねていると、突然アリシアが両手で顔を覆って俯いた。

 

「…………うぅっ、ひどいわアシュ…………わたし、アシュのことが心配なのにっ、話してくれないなんて……」

 

「わーっ!?ごめんリシュ!話すっ、ちゃんと話すから泣かないで……!」

 

 まさか泣くほど心配かけてたなんて思わなかった。

 慌てて謝罪して、オロオロと無意味に辺りを見回してしまう僕。

 

「…………っ……ほんと?」

「ほ、ほんとだよ。だから、もう泣かないで?」

 

 そう宥めるように言って、アリシアの震える肩にそっと手を添える。

 

「………う…………ふふっ………………」

 

「えっ?」

 

 これは、もしかして。

 

「初めから素直に話しなさいよね?」

 

 顔を上げたアリシアは、涙とは程遠い勝ち気な笑みを浮かべていた。

 

 

「嵌められた………………」

 

 恨みがましく呟く僕に、アリシアは追加で衝撃を与える言葉を返した。

 

「文句ならわたしじゃなくてJにお願いね?アシュが最近またなにか秘密にしてるって話したら、『アシュ坊ならお嬢の泣き落としで大概のことは吐くでしょ』って教えてくれたの。わたしは助言に従っただけよ」

 

「くっそ…………なんて的確なアドバイスを……」

 

 絶対いつかJに意趣返ししてやるんだからね!

 と……結果的には、学びに向けてさらに燃料が投下されたのだった。

 

 

ここまで読んでいただきありがとうございます。

(度を越した検証はいけません……)

よければまたアシェルに会いに来てくださいね!


☆乙兄の更新は週2回(火・土 20:00)の予定です。

________

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