第4話『身の程知らずの後悔』
萌果と美結を助けるためバケモノに挑む陽菜。しかし返り討ちにされてしまいダメージを負った。
そこに陽葵の知り合いだという藤吉芭那が駆けつけ、バケモノを退治した。芭那が言うには、死後の魂や負の感情から生まれるもので、怨霊と呼ばれるらしい。
予防のために御札を渡された陽菜。
そんな陽菜のもとに突然姉のLINEアカウントから《たすけて ひなねえ》とメッセージが送られてきて───!?
「日陽ちゃん!!!」
叫ぶ陽菜。
「陽菜!どうしたの!?」
美結がそれに反応した。
「日陽ちゃんから何かSOSが!もしかしたら危険かもしれない。萌果と美結は関係な………えと、もし危険に巻き込まれたらいけないからここにいて。」
「う、うん………」
頷く美結。
「あ。でもわたしたち………ていうかみんなで外に行く予定があるんだ。」
予定があると告げる萌果。
「そっか。外出が危険ってわけじゃ無いはずだからいいんじゃない。歌恋は………歌恋はここにい」
「わたしは行くよ。」
「歌恋!どうして!?」
「もし陽菜ちゃんに何かあったら!わたしがそばにいない時に陽菜ちゃんがいなくなっちゃったら!わたしはきっと後悔する!」
陽菜の肩をつかみ、必死に訴える歌恋。
「………じゃあ、危険にならないようにわたしの後ろにいて。」
「うん………!」
「それじゃ、行ってくるよ2人とも。」
部屋を出る陽菜と歌恋。
日陽は陽葵のスマホを借り、メッセージを打っていた。日陽は同世代より知能が高いため、スマホを殆ど使いこなせていた。
日陽はスマホを使ってみたいと言い、陽葵にスマホを貸してもらっていた。
「陽葵姉!陽葵姉は何か打ってほしいメッセージある?日陽が打つよ………陽葵姉?」
陽葵は日陽に背を向け、何かをしていた。
「つッ………」
陽葵が、とても小さく苦しそうな声を上げる。
「………あはは………」
「陽葵姉?」
「あ、ああ。なあに?」
「陽葵姉は陽菜姉に伝えたいことなにかある?」
「………その取り消しましたは何を?」
「えへへ。ちょっと間違えちゃって。」
苦笑いする日陽。
「ふふっ、かわい。」
日陽を撫でる陽葵。
「っ、ふあぁぁ〜………」
陽葵は口を大きく開いた。
「陽葵姉?」
「ううん、なんでもない。今は特に伝えたいことは無いかな………」
陽葵はそう言い、今いる部屋とは別の部屋に移動した。
「陽葵姉───」
スマホを返そうと陽葵を追おうとした時、床に赤い雫が落ちたような跡を見つけた。
パリン───
皿が割れる音がした。日陽が駆けつけると、割れた皿の前に陽葵が立っていた。
「陽葵姉!大丈夫!?いたいのいたいのとんでけ!」
陽葵の背中を優しく撫でる日陽。
「大丈夫だよ、日陽ちゃん。」
ほうきとちりとりで皿を片付ける陽葵。
ピンポーン───
今度はインターホンの音が鳴った。
「!」
日陽は音を聞き、おびえている。
玄関に向かう陽葵。日陽は角からこっそり玄関を覗いている。
「陽菜姉!!!」
開いた扉から見えた陽菜の姿を確認し、角から飛び出して陽菜に抱きつく日陽。
扉が開き、聞こえてくる蝉の声がより大きくなる。
「日陽ちゃん!何があったの!大丈夫!?」
陽菜は日陽を心配している。
「え?なにが?」
陽葵はきょとんとしている。
「え?日陽ちゃんがたすけてって───!」
陽菜ははっとした。
(しまった!完全にミスった!メッセージをすぐに消した理由はわたし以外に見られたくない内容だったから!)
「日陽ちゃん、どうしたの………?」
日陽を心配そうに見つめる陽葵。
「ぅ………っ!」
家を出て逃げ出した日陽。
「待って!」
日陽を追う陽菜。それに続き陽葵と歌恋も日陽を追う。
日陽の脚力では陽菜たちから逃げ切ることはできなかった。
「ねえ日陽ちゃん!何があったの!?」
日陽に聞く陽葵。
「うぅ………っ。」
涙目で俯く日陽。
「待って、姉さん。日陽ちゃんを問いただすのはやめよう。日陽ちゃんが言いたくなるまで待とう。わたしがバラしたのが間違ってた。」
「でも助けてって言ってたんでしょ?大丈夫なの?」
「大事なことは本人の口から言った方がいい。それでも言えないことがあるから、優しいやり方で言いやすいようにする。日陽ちゃん………わたしたちは日陽ちゃんの言葉で怒ったりしないから。」
陽菜が日陽の頭を撫でる。
「陽菜ちゃん………」
「歌恋?どうしたの───んッ!」
陽菜に抱きついて口づけをする歌恋。
「んッ♡んーッ!!!ちょ、歌恋!いいの………?」
「いいからいいから。」
「ん!んッあん!」
歌恋のことが好きな陽菜は、口同士のキスをするだけであそこが火照ってしまう。頬のキスであれば照れるくらいで済んでいただろう。
「ねえ、日陽ちゃん………わたしたちもこうやって秘密くらいあるんだよ。秘密を全部喋れって訳じゃ無いけど、つらくて助けを求めたいんだったら、勇気を出して相談してみよう?すぐにとは言わないけどね………あ、一応このことは秘密だから言わないでね?」
日陽は歌恋の言葉を受けたが、
「うぅっ………悩み、言えないよ………」
日陽は俯いて理由を言おうとしなかった。
「困った………下を見ると安心する理論で行けると思ったんだけどね。いや、別に下ってわけじゃないか………この理論で合ってたかなあ?」
歌恋は手を頭に添えながら悩む仕草を見せた。活発で元気な陽菜に対し、歌恋は『通常時では』おしとやかで、美人というべき見た目。
「バラし損じゃん………」
そういいつつも、嬉しそうな表情の陽菜。
「日陽ちゃん。だからね、まあ………歌恋の言う通り、本当にだめになっちゃう前にわたしに相談してね。」
「うぅ………」
日陽は悲しそうな顔で俯いている。
「………そうだ!それなら楽しいところ行こう!?村のみんなに挨拶の続きとかしてもいいかも!日陽ちゃん!行きたいところある!?」
陽菜がこれからの行動を提案した。
「陽菜姉といっぱい遊びたい………」
声を絞り出す日陽。
「日陽ちゃんッ………かわいいッ♡」
日陽のかわいさにキュンキュンしてしまう陽菜。
「そ、それじゃあさ!ゲーセン行かない!?」
陽菜は大のゲーム好きである。
「ゲーセン!行きたい行きたい!」
飛び跳ねながら喜ぶ日陽。
「ふふっ。陽菜ちゃんはゲーム好きだもんね。」
くすくすと笑う歌恋。
陽菜たちは、陽菜が知っているゲームセンターに向かうことになった。
「………姉さん?早く来て〜!」
「あぁごめん!待って〜!」
靴紐を結び、左腕を抑えながら立ち上がる陽葵。
「姉さん………もし何かあったらさ。姉さんも、わたしを頼ってね………姉さんがいなくなったら悲しいから………姉さん、大好きだよ!」
陽菜は陽葵の左腕の異変に気づいていた。その異変の真意を分かっている訳では無くどうすればいいかはわからなかったため、陽菜は姉の陽葵に大好きの気持ちを伝えた。
その気持ちに嘘偽りは全く無い。
「え?うん………」
しばらく歩き、陽菜たちは村を出たところの近くにあるゲームセンターに着いた。
「うわぁ!懐かし〜っ!」
きらきらした目でゲームセンターの外観を見つめる陽菜。
陽葵と日陽がゲームセンターに入る。
「陽菜ちゃんのお姉さん、ちょっと待ってていただけませんか?トイレに行ってきますね。」
「うん。あと、あたしの名前は月城陽葵よ。」
「あ、姉さん。わたしもトイレに行ってくるね!日陽ちゃんは?」
「ううん、大丈夫!」
「そっか。じゃあ姉さんと日陽ちゃんはそこで待っててね!」
トイレに向かう陽菜と歌恋。
トイレには誰もいなかった。
「かわい。」
「歌恋………」
個室の中に入る2人。
歌恋は陽菜のズボンの中に指を這わせる。
「あっん♡♡///」
陽菜は慌てて手で口を抑える。
「陽、菜、ちゃん♡ふーっ。」
陽菜の耳元で囁き、息を吹きかける歌恋。
「ひゃあッ!」
「可愛すぎでしょ………」
歌恋は陽菜のズボンのチャックを開け、パンツを下げた。
陽菜と歌恋は囁くような小声で喋っている。
「ほら、ほらほらほらほら。」
陽菜の陰部がぐちょぐちょと音を立てる。
「あ!あっ!気持ちいいっ!」
陽菜と歌恋は所謂『お盛ん』なカップルであり、1日〜2日に1回はセックスをしている。
「ねえ陽菜ちゃん。どこかの研究によると、性欲がマッチしてるよりも単に性欲が強い方が恋愛関係の幸福度が高いんだって。」
「そ、そうなの………?」
「だったらわたしたちずっと安心だね………ほらっ!」
陽菜と歌恋は今まで意見が割れたりセックスレスになったりすることが無かった。要するに、相性がとても良いということ。
緩急をつけて陽菜の陰部を刺激する歌恋。
「あン♡あんっあんあんっ///」
陽菜の陰部を刺激した後、歌恋も陽菜と同じくズボンとパンツを脱ぎ、互いの陰部を重ね合わせる。
「んーーーッ!」
陰部から潮を吹く陽菜。重ね合わせていたため歌恋の陰部が濡れ、擦り合わせる時のぬるぬるとした快感で陰部が火照る。
「あっ陽菜ちゃっ///潮吹きすぎっ♡♡ふーっ!ふーっ!」
激しく腰を動かす歌恋。口を離し、陽菜の腋と鼻を舐め回す。
「んぶぶぶぅぅーーーっ!」
歌恋の唾液が鼻につき、変な声を出してしまう陽菜。
「そっそこ♡イイッ♡はっあっ♡イクッ!いっイくぅっ!」
「れろぉっ───陽菜ちゃん!イッ───」
性癖である『腋舐め』『鼻舐め』をされ、快感に支配される陽菜。
「「あっイクッ──────イックゥゥゥッッッ♡♡///」」
絶頂した2人。陽菜は情けない雌の顔になっていた。
「んーッッッ………あへ………」
「やっぱり相性いいね、わたしたち。」
「う、うん………」
トイレの外で待っていた日陽と陽葵と合流する陽菜と歌恋。
「陽菜はなんのゲームがしたい?」
「うーん………ホッケーとかはどう?」
「そしたら陽菜勝っちゃうじゃん?」
「ふふっ、そうかもね姉さん。」
小さく笑う陽菜。
「ならみんなでマリカーでもしない?」
「する!」
陽葵の言葉に笑顔になる陽菜。
そして、4人はしばらくマリカーを楽しんだ。
「ありがとうございます………!」
歌恋は陽葵にお辞儀をした。
「………」
陽葵は無言でお辞儀を返した。
「かわいいね〜!日陽ちゃん!」
日陽の頭をなでなでする歌恋。
「でしょでしょ歌恋〜?あ、別に嫉妬はしてないからね〜!」
陽菜は友達、家族、恋人、ほぼ全員のことが大好きなため、大好きな人同士が仲良くなっていても嫉妬はしない。そして、陽菜の明るく親しみやすい性格は歌恋に浮気の気持ちなど起こさせなかった。もともと歌恋に浮気性など存在していない。
陽菜と歌恋の、楽しい会話。
「ひ、陽菜姉!あのね、日陽………」
「ん?日陽ちゃんどうしたの?」
「………うぅっ。」
言い淀む日陽。
「大丈夫、ゆっくりでいいんだよ。」
日陽を優しく撫でる陽菜。
「じゃ、じゃあさ!姉さん!もっといろんな人のところ回らない?前の続きでさ!今の日陽ちゃんには人の繋がりが必要だと思うんだ!」
「そうだね!日陽ちゃん、行こっか?」
「………うん。」
「それでさ、姉さん。どこに行く?」
「まずは村長さんの家に挨拶に行こっか?」
村長の家に来た4人。
ピンポーン───
「出ないね………」
呟く陽菜。
ピンポーン───
もう一度インターホンを押すが、出なかった。
「だめだね………陽菜ちゃん。ここの村長さんは忙しいの?」
「さあ?」
その直後。
「陽葵と………陽菜か!?」
後ろから声がした。
「希万里さん!会いたかったですよ!」
希万里に抱きつく陽菜。
「こんにちは、希万里さん。」
陽葵が希万里に挨拶した。
「そちらの子は?」
「桜歌恋です。陽菜ちゃんの友達です。」
「よろしく。わたしは神崎希万里だ。」
「お綺麗ですね、神崎さん。」
「どうも。」
歌恋と希万里の会話。
「うぅぅ………」
日陽はぷるぷると震えている。
「陽菜、久しぶりだな。こんなところで会うなんて。」
「村長さんに挨拶しようと思ったんですよ。」
「それでみんなで来てたのか?仲良し姉妹だな。わたしも………仲良し姉妹が羨ましいよ。」
にこやかな表情の希万里。
「姉さん。わたしの姉さんでいてくれてありがとう!姉さんとずぅっと一緒にいたいな………」
「でも、医者を目指すと言った手前、ずっとここで暮らすとなると………ね。」
「うん………」
陽菜はしょんぼりとする。それを見た陽葵の表情も陽菜につられる。
「陽菜………」
希万里が心配そうな表情で陽菜を見つめる。
「わたしじゃ無理だったんですよ、医者は………テレビドラマで見た医者はカッコよかったなぁ………あはは………」
村長宅にはたくさんの木が生えていて、陽菜たちが立っている場所には影ができている。
「あは、は………ぁ………………………」
上を向き、日差しを遮る木の葉を見る陽菜。
「あぅ………えぐっ………」
涙をこぼす陽菜。悲しさに耐えきれず、地面に膝を着く。
「陽菜ちゃん!」
「陽菜!」
「陽菜!」
陽菜のもとに駆け寄る歌恋、陽葵、希万里。
「わぁぁぁぁ!うえぇぇぇん………」
「陽菜………ごめんな、傍にいてやれなくて。」
陽菜の背中をさする希万里。
「びえぇぇぇ………ひくっ………希万里さぁぁん………」
「いいんだ、いっぱい泣くといい。村に帰ってきて溜まってたものがいろいろこみあげてきちゃったんだな。」
しばらく泣いていた陽菜。
(泣き虫なんだ、陽菜ちゃん………辛いことがあったみたいで可哀想だけど、なんか泣き方が可愛いな………)
歌恋は陽菜のことを可哀想だと思っていたが、同時に泣き姿が可愛いとも思っていた。泣かしたいと思っている訳では無い。
「それで、日陽。ここで何をしてるんだ?」
希万里は日陽の方を見た。
「希万里ねえさん………」
「日陽。早く戻るんだ。」
希万里は少し厳しそうな表情になった。
「どうしたんですか?希万里さん。」
陽菜が聞く。
「日陽を連れ戻しに来た。」
「………………………え?」
少し沈黙してしまう陽菜。
「儀式の準備を手伝うように言われてたのに………抜け出したよな。みんな探してたぞ。儀式を手伝わなきゃいけないってそう教えたはずだよな?」
「………ちょっと待ってください希万里さん。日陽ちゃんは遊んでもいいって泊まってもいいって言われたって………」
「それは嘘だな。その様子だと儀式の準備をすっぽかして宴会に行ってたのか?陽菜。日陽はな………8月10日、自分の誕生日と儀式が被るのが嫌で抜け出したんだ。ちゃんと手伝うように伝えたはずなのに。」
「そんな………はっ。姉さん。姉さんはそのことを」
「知ってたわ。あたしは参加するように言われた人ってわけじゃ無いから、内容を詳しくは知らない。だから黙ってたのよ。」
少しの間の後。
「ふえぇぇぇ………うえぇぇぇん………」
日陽が泣き出した。
「日陽ちゃん───」
陽菜が日陽を慰めようとした時。
「だめだ。これは儀式の準備に参加しなかった日陽が悪いんだ。儀式はとても重要なことだ。ここで甘ったれるのは許されない。だれかがやればいいやという思考ではだれもやらない。わたしはその思考が嫌いなんだ。」
希万里がそれを止めた。依然厳しい表情の希万里。
「いやいや、ちょっと待ってくださいよ………儀式?何を言ってるんです?」
陽菜がそれに対抗するかのように喋る。
「まさか、儀式のことを忘れたと言うんじゃないだろうな?」
「いいえ、忘れてませんよ。そういう信仰があっても良いでしょう。ただ、小さい子供を泣かせてまで無理強いするようなものだったんですかそれは?」
陽菜は生まれて初めて希万里に怒りを覚えたような気がしていた。
「文化があるのはいいと思いますし、わたしはその雰囲気が大好きです。でも、日陽ちゃんを泣かせていたなんて知りませんでした。最低ですね、それ。」
「………陽菜!陽菜はなんてことを!」
希万里が少し大きな声を上げた。
「たかが村の風習のためだけに、そんなことのためだけに日陽ちゃんは泣かされてたってことですか。日陽ちゃんが可哀想です。」
「陽菜ッ───」
「もしかしたら儀式の日、みんな儀式に参加するからまともに誕生日を祝われてなかったんじゃないですか?わたしもなんとなく参加してましたけど………日陽ちゃん、どうなの?」
「あ、ぅ………」
日陽は泣きべそをかいている。
「ほら、やっぱりそうなんですよ。希万里さん。さっきから痛いです。腕を離してください。日陽ちゃんが泣いてるんで。」
希万里のような陽菜にとって大好きな人相手だったとしても、大好きな人を傷つけることを何も言わずに見逃すことなど、陽菜にはできなかった。
「陽菜!いい加減にしてくれ!」
希万里は半ば乱雑に陽菜の腕を離した。
「何もわかって無いんだよ、陽菜は。何も理解できない陽菜なんかに話しても意味は無いさ。」
「わたしなんかに?その言い方は無いでしょう。わたしだってバカじゃ無いんですよ。」
「志半ばで夢を諦めて逃げ帰ってきた陽菜がそんな主張をするか?少しは成長してると思ったが、成長していないな。」
いくら希万里相手とはいえ、陽菜も苛立ちを隠せなかった。
「そんな人だとは思ってませんでしたよ。」
「こっちの台詞だ。わたしには使命があると言うのに………日陽のことを分かってやれてないのは陽菜だ。陽菜なんかより、わたしの方が余程分かってやれる。わたしも昔は関わりづらかった問題児だったがな………」
希万里は一呼吸おき、
「さあ、来るんだ日陽。」
「あ、あぅ………」
半ば強引に連れていかれる日陽。
「意味がわからないよ。なんであんなに怒るの。」
陽菜はムスッとしていた。