第四十九話 少年は共闘するかもしれない
「どべええええええええええええええええええええ」
青年は悲鳴を上げながら板ごと後ろの壁に叩きつけられる。
「よし!」
彼女はそう言うと、炎を回り込んで、青年に近づき、手を縛る。
そして、彼女は青年を引っ張って、こっちに来た。
「ご協力、ありがとうございましたあ」
(...すごいな)
『やばくないか?』
(うん、あの力はやばいな)
『いや、そっちのことじゃなくて、聖都のすぐそこに集団がいるんだけど』
(え?どのくらいの?)
『大体1万くらい?』
(......え?)
「神の像を投げるなど言語道断です!今後このようなことはやめてください」
隣から声が聞こえたので、そこを見る。
すると、いつ現れたのか、緑のマントを羽織った男がいた。
小柄な女性に説教をしている。
「はあい」
「まあいいです。実は聖都に帝国軍が訪れになりました」
「ええ?」
「は?」
それを横から聞いていたノアが口をはさむ。
「帝国が攻めてきたってことか?!どうやってよりによって聖都まで来れるんだよ?」
「そんなことを私に言われましても」
「......南領主が手引きしたら可能なんじゃないか?」
僕はそうつぶやく。
「あなたは...まあいいです。その可能性が高いでしょうね。そうならば、南領主がデキレスに出ず、適当な聖職者をよこした意味も分かります」
「南領主がなんで...?南領主は善政をしく、立派な人物じゃないのか?」
ノアが問いかける。
「まあ南領主は政治上手な人ですけどお、若くて野心が強い人でもありますからぁ。大司教は基本、年功序列で決まる要素が強いですし、不満を持ってもおかしくはありませんねえ」
彼女はそう言うと、緑マントの男に向き直る。
「保護会はどうするのですかあ?今まで通り、いせ...異国人だけ捕まえる感じで?あ、帝国も異国人ですねえ」
「内輪もめなら傍観するところですが、他国からの干渉はだめです。仮にも我らは大司教ひいては聖教会に仕える者ですから」
「わかりましたあ。でも私たちが協力したところで、何とかなるんですかあ?」
「何とかなりませんね。でも行くしかありません」
「俺も連れて行ってください!ここは、第二の故郷みたいなものなんです!」
ノアが割り込む。
僕も間髪入れず、言う。
「僕も行かせてください。役に立つと思います」
女性はそれを聞いて、緑マントの男に目線をやる。
「ええ、いいですよ」
彼はそう答え、走り出す。
僕らは慌ててそこについて行こうとする。
ただ、彼女は立ち止まっていた。
そして、つぶやく。
「デキレスが早く終わればいいんですけどねえ」
彼女は遠く、暗闇の中の大聖堂を見ようと目を凝らした。




