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第一話 幽霊は平穏を望まない


 日の光が眩しい春の朝、とある小さな村で黒髪、黒の瞳を持つ少年が目を覚ました。ということで俺はいつも通り元気よく挨拶をする。


『good morning!今朝もまた気持ちの良い朝だね!』


 いつも通り少年は驚いて体をビクッと震わせ、そして......華麗に無視をするッ!

 これが地球の日本にて生きていた幽霊、すなわち俺の日常である!



ーーー



 幽霊の大敵とは「暇」である。


 なんと言っても肉体がないので基本的に何もできないのだ。

 某ホラーの貞○さんみたいにテレビとかを使って姿を現すことさえできない。そもそもテレビなんてないし、どうやって幽霊パワー的なものを使用すればいいのかさえもわからない。

 できることはただ傍観すること、そしてこの少年に話しかけること位だ。


 そう、なんとこの少年は俺のことが見えるし、俺の声が聞こえる。この状態で過ごした11年から推測すると、俺はこの少年に憑いているらしいのだ。だから、俺はこの少年から5メートルも離れると死にそうになるし、この少年の考えていることが少しはわかる。


 ただ問題があるとすれば、この少年が俺のことを何か悪いもののように考えて関わり合いになりたくなさそうなことだ。


 そうなると見物する位しかやることはない。

 しかし、ここは電気もガスも水道も、もちろんインターネットもないなんていう正直こんなところが地球上にあることが信じられないくらいの田舎だから、見物していてすごく面白いってわけではないんだよなあ。


 まあ、心配はご無用!だって俺は魂の目(ソウルアイ)を持っている!

 ...ちょっと厨二すぎたかもしれない。だが、これ自体は非常に便利なものなのだ。

 俺は幽霊になったせいか生物のオーラ的なものが見えるようになった。要するに半径数キロにいる生物が常時光って見えるのだ。しかも壁貫通で。そのため、普段は目に悪いことこの上ないが、見物するにあたってはこれがとても役に立つのだ。


 ほら今、隣の家のおばさんが何かをこぼした、旅芸人が森で木の根に引っかかってる、農家のこどもがつまみ食いした、お金持ちの一家が旅行に出かけようとしてる。


 お、そして少年は狩りにいくみたいだぞ。

 狩りは最近の唯一の楽しみってやつなんだ。

 ゲームのプレーを見てるみたいで面白い。これで実況でもつけてくれたら完璧なんだけどなあ。


 折角なので少年の目の前に立って話しかけてくれオーラを出してみる。しかし、少年は見事なスルーを決めて、妹ちゃんに話しかける。

「7hitdるegbい:9t」

 相変わらず何いってるのかわからないなあ。しょうがないから妹ちゃんのかわいい顔でも見てますよーだ。本当に言語くらいは覚えたい。


 少年は妹に何かを告げて、森へと走った。

 妹ちゃんが手を振り見送る。本当に妹ちゃんは健気なんだよな。子供二人だけの暮らしだっていうのにいつもニコニコして家事とかもやってるし、俺もこんな妹がほしいよお。


 一方、少年は森で道具を広げる。今日は罠を設置するだけみたいだ。


 ...つまらないなあ。


 狩りは戦略とかをきっちり立てて追い回しているのを見るのが楽しいんだよね。

 なんかハプニングとかが起これば楽しいんだろうけど、まあ村も平穏そのもの...







 え?






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