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ダブルサイココライド2 ―Saga Of Hermitー  作者: KJK
13章 大脱走 囚人、怪物、呪われし大森林
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サージ・アームストロングと封印されし多頭の大蛇



呪いの地下大森林 アンリの繭の森


アンリが目覚めた、いや正確には体の一部を取り戻し

動き出したとの報告。

聖種の長【恋人】エリー・メイがセイクリッド・スピーシーズ最強を誇る

ケンタウロス族長サージ・アームストロングをアンリ討伐へ任命。


狩猟奇兵団ハンター・コープスを引き連れて幽霊人馬が出撃する。


=ハンターコープス=狩猟奇兵団=死霊奇兵団=狩人骸=幽霊兵団=


エリー・メイとサージ、そしてケンタウロス属の盟約に従い

死した半獣の狩人達は骸、幽霊とかしても狩猟奇兵団に所属し続ける。

サージの一族の死したものは全てがサージ直轄の部隊に属し

族長と共に魂の滅却される時まで戦う。



サージの狩猟奇兵。

常にこの死者である骸の死兵達が従い、

足音を介して彼らは繋がっている。


そしてサージは今回存命隊員は連れず、単騎で森へと入った。

アンリの能力で仲間を取り込まれないように、というのが主な理由だった。

そしてサージが着く前には森は火の海になった。

とある拳闘士の囚人が脱走し火をつけたらしい。サージはあまり存在を知らないが

今は眠りについているカドゥケウスが捉えたもの。確か名前はマンフリードだった。





***




燃える森でヒュドラが吠える。

毒の瘴気を撒き散らし、巨大な9つの首が木々を薙ぎ倒す。

天空からは矢の雨が降っていたが、

激しさを増し、ついには隕石まで降り始める始末であった。


ヒュドラ。いやアンリは焦っていた。何とか封印が解けたものの、ここまで早く

サージが駆けつけるとは思ってはいなかった。

あの愚かな脱獄囚がここに火をつけて目立ちすぎた。

ソレさえなければ、バレずに逃げる時間があっただろう。


サージがここに来てしまうのは問題だった。

自身も聖種最強を自負しているものの、自称でしかなかった。

最強はやはりこの幽霊人馬であり、どうにも敵わない。


他の連中ならばどうにかなったのに。


「口惜しいぃ。悔しぃ。うぅ。」


高い声質でそれでいて響くような声。

アンリは自身の不運を呪う。

何故自分はこのようなゴミクズに粘着されるのか。

何かの呪いなのか。

少し自分の欲望に従って些細なことをしただけで、

何故ここまでされなければならないのか。


アンリにとっては聖種のクズで卑怯な

ミュータント共は全て等しく最低の存在だった。

同じミュータントなのは別にいい。

アンリに実害を与えるのが許せない、それも仲間のくせに! 


ただセイクリッド・スピーシーズ。

聖種の名を使い人間やら、エイリアンの集団を脅迫したり

戦争をふっかけたり、争わせ合ったり、バレればヒュドラ族の配下のものに責をなすりつけ、

仲間や敵をさらって拷問し、約束を、契約を破り、脅迫し、殺害し。

ただただ、そんなことをしていただけなのだ。

他にも色々あった気もするが。覚えていない。


アンリの悪行を密告したものたちの家族を皆殺しにし、見せしめに

使ったり、あとは…

そうだ。


他の族長の配下の家族などを犯し、殺し、人質にとって脅し、

内部から崩壊させてやろうとしたのも途中でバレた。

それからはサージやカドゥケウスが動き始め、

他勢力とともに聖種を攻撃しようとした所で

なんの因果か、数で攻めてくる卑怯者者共に

返り討ちに会ってしまったのだ。


たったそれだけ、たったそれだけの事で。

このゴミどもは自身を追い詰めるのだ。


要するにアンリはただ、仲間を裏切り、殺し、拷問し、

敵を増やし、中立勢力を襲い、倒せたならば手柄にし

倒せなければ、誰かになすりつけ、押し付けたりしていただけなのだ。

そんなことはその辺のボンクラだってやっているだろう。

なぜ俺がやると許されない? まぁここまでのやつはいないけれど。


この森だってアンリが虫系ミュータントの一族の長を

騙し討ちしたから聖種は好きなように使用出来るようになった。

さらに虫たちもアンリ憎しでエリー・メイの言うことをよく聞いているのではないか。

まぁ、ミュータントは結束固く、

別段そのような必要などないが、ソレでもアンリのおかげでは無いか。


「しかし、失敗してしまった。またこの森に閉じ込められることになる。

今度は閉じ込められるだけでないかもしれない。何せこいつらには散々やってしまったから。」


と9頭のヒュドラは思った。

何をされても文句しか湧かないが。

おかしくは無いのだ。何をして来ても。このクズどもは。


また隕石がヒュドラの9つの首の一つにあたり、首がちぎれ落ちそうに。

すでに1本の首が落ち、もう1本も千切れてはないが

地面に力無く寝そべっていた。これで3本目だった。


真っ赤に燃える森の中で、足音に囲まれる。サージのやつだ。

こいつだけは殺してやりたいが、力が足りない。

別段嫌いではないが、いつもこいつが自分を倒しにくる。

あまりの理不尽さに泣きたくなるのだ。いつか見てろよ、とも思う。


最強なのだからいいではないか、アンリは最強を自称するが。

本当にアンリより強いやつを標的にはしない。

甘っちょろい非暴力主義者でもない限りは…


そしてサージはそうではない。だから非道いと思うのだ。

自分はアンリの標的にはならないくせに、散々見逃してやってきた

大恩あるアンリにこんな仕打ちをするのか? お前は狙われてもいないのに!

お前に攻撃したことは無いのに! いや、嵌めたり殺そうとしたことはあるけれど。


被害者でも無い奴がなぜアンリを殺しにくるのだ。

あまりにも酷い。天に向かって9頭の蛇はさめざめと泣く。

鳴き声は空気を揺らし、それに答えるように、矢が雨のように降ってくる。


アンリが自身の境遇を嘆いていた時。

足音の中から一つ、拍の違う足音が出てきて、姿を現した。


上半身が人間の男。下半身が馬の怪物だった。

夜空のような藍色の鎧の上に茶色の外套を羽織っている。

下半身にもプレート。


髪は後ろに流すように。無精髭はそれなりに整えられていて

歳の頃は人間ならば40くらいだろうか。

人間の方も馬の方もどちらも身体は筋肉質で

よく鍛え上げられてた戦士のものであった。

男が口を開く。


ー……お前か、また… やったのか。カカカ。


ー何もやってないぃー! 封印も勝手に解かれてしまったのだぁ。

何故信じないぃ! 俺は最初からそう言っているのに! お前らは奴らに乗せられているのだぁ!


周囲に淡く発光する人型の靄。

幾百の霊兵が出現。ユラユラと蠢く、幻想的な儚く淡い光の物言わぬ兵士たち。

それが一斉に矢を引き絞るような動作をした。


アンリの渾身の演技の途中、四方八方から

矢が飛沫を上げる水の如く浴びせられた。


ーギャァァアァア!!


ヒュドラの絶叫。わざわざ人間の口をヒュドラの首に作り出して叫ぶ。

蛇よりも人間の悲鳴の方が可哀想に聞こえるし、悪趣味なことが好きだからである。

そしてこの邪悪なる多頭蛇がそんな事をしていられる余裕の原因は…


まず1つ。一族の全てを人質にとっていること。

アンリはヒュドラ族と一族一心同体の呪いの盟約を終結している。

結束を高めるために必要だと嘯いて(うそぶいて)結んだ契約。


これによりアンリが死ねば一族が全てドミノ倒しのように絶命する。

聖種は仲間を非常に大切にする種族。人質は弱点でもあった。

そしてヒュドラ族はこのせいで聖種のお荷物になり果てた。

未来永劫こいつらはアンリの命を保証する落伍者であればいい。

アンリはそう思っている、バカで無能だからだ。仲間意識?

あるわけなかろう。個人主義こそ至高。アンリは賢いのだ。


そして2つ。

アンリの体がサージのように半分霊体であること。

邪悪妖精。この蛇の体の半分はそのような存在なのだ。

体を滅しても封印が緩くなるだけで逃げられてしまう可能性があった。


そして1つ目の盟約をむりやりに終結させたアンリは一族を人質にとり、

さらにはもう一段階の保険をかける。

アンリの死で発動する呪いはアンリの”肉体”の死で発動するように。

呪いの内容はヒュドラ族の霊気の強制徴収。


アンリを物理的に殺すことはヒュドラ族だけを殺し、

アンリは生き残りパワーアップする結果で終わるようになっている。

それらは聖種を躊躇させるのには十分で。

これらが今まで聖種がアンリを殺すに殺せなかった理由である。


だからこそ、アンリはふざけている。

どうせ、この俺を殺せまい。聖種は家族だからだ。

家族を殺すなどできない。ミュータントだからだ。

そして俺は逆にお前らを仲間だと思わない。賢いからだ。


アンリは熟知していた。どれだけミュータントの中で

同族殺しが禁忌、嫌悪されるのか。

そしてこの人でなしの畜生どもが決して出来ない

賢い方法を選べるのがアンリであることも。


矢の雨を降らせながらサージが話しかける。


「森が燃えてしまっているな、兄弟。カカカ。」

「兄弟ぃぃぃ? ククク、気色悪い事を言うようになったなぁ。お前が俺を兄弟とは! 」


「ああ、最初からお前のような糞を兄弟だと思った事はなかった。

なのに今日は自然と言える。いい気分だ。」

「うふふ、聞いてやろう。それはなぁーぜ、かなぁ?」


ーカカカ、それは秘密。お前は知らなくて良き事。



この時アンリは思わず唾を飲んだ。


何かが起きている。サージは真っ直ぐなやつだ。コイツ、何か重要な情報を知っている。

なんだ? なぜこんなに余裕なのか。何か俺様にとってまずいことが起きている。

そう思い始めた時、また隕石が落ち、直撃。

避けられなかった。今度は首が一気に千切れた。


「この千切れた首も持って帰るか。お前に地獄を見せたいもの達も喜ぶ。」


サージは教えなかったが、すでにアンリを再封印する準備はできていた。

封印を施した後は、脱走したマンフリードを連れ戻し違う牢に移す。

サージの屋敷の牢にあの死人幹部の囚人は置いておこう。

そうすればもう脱走など出来まい。


そして奴がこの迷いの森から脱出する前には、

アンリに再び封を施していてでも十分お釣りがくるほどマンフリードを見つけ出し

捕らえ、連れ帰る事ができる自信があった。


サージが最高の狩人だからだ。

過去視で見たマンフリードの痕跡も仕事としてはEasy。


サージの気分は上々。何故ならエリー・メイが魔女やANKHと会議中に

解呪の専門家が魔女の配下にいることが判明した。

早速一族からアンリの呪いについてどうにか出来ないか打診しては、という提案があり

エリー・メイも了承。


楽園の呪術師という男。

魔女領に張り巡らされている超強力な魔防壁の構築の指揮をとった男。

あの魔防壁は強力だった。聖種の間防壁よりも。

そうとしか言いようが無いような代物。

通常の魔防壁ではない効果も付けられていた。


最初に間防壁ないに入った瞬間から、霊気で呼吸をすることをやめなければいけなくなる。

場所によって濃度に差はあるものの、要するに息ができなくされる。

ガスボンベで息をするように自ら調節しなくてならなくなる。


そして力を出そうとすると瞬間的に毒や中毒症状に侵され

意識を手放す羽目になる。試してみようとすると途端に

ガスボンベからは酸素ではなくガスが送られてくるのだ。


あの領土。魔女の土地はまさしく魔境。

ひょんなことから味方になり、同盟まで結んだが

敵対しなくて良かったとエリー・メイも言ったほど。


その魔女の呪術師からの返答では。呪いは解ける可能性が高いと来た。

魔女もアンリについては興味を持ち、情報を共有。

一族の恥ではあるが、隠さずに話したことが幸いした。


最初サージは反対であったが

種母の判断は正しかった。


サージも当主と共に顔合わせはした。

ケンタロス族の長はその時のことを思い出す。


同盟を正式に結んだ際は魔女領と

聖種領双方で式典を簡易的に行なった。

ANKH領ではまだだったので、少しして懇親会と共に

ANKH領にて改めて顔合わせも。


Qという街がANKHの領土だった。

黒く濃密な漆黒の霧に囲まれていた。絶海の孤島のように隔離された土地。

人外の領域。普通の人間でもミュータントでもなし。


人間か怪しい住人たちは稀に

こちらを襲うので注意喚起された。

統率が取れていないようにも見えなかったが、

確かに住人は土地と同様に奇妙だった。


そして夜が明けない。時が止まったかのような街。

不思議な世界に迷い込んだような感覚。


そこでANKH3代表のマチルダ・ベルモンテ女史と会う。

幹部であるエレーニ嬢。

アイン・ショービル卿などと対面。

少年の見た目だが年齢は見た目とは違うらしい。


Qで招かれた屋敷は魔女領にあった屋敷や、

聖種の大樹と混ざる城に比べるとこじんまりとしていた。


数十人がくつろぐには十分すぎる広さではあるが。

ANKHに招待されたのは趣のある

個人的な邸宅のような屋敷。


馬の下半身が邪魔なので、一度下半身を変形させ

二足歩行の山羊のような獣の下半身に変化。

人間と狭い場所で過ごすために工夫して過ごした。


使用人やメイド達。自動人形。それ自動人形とは何か違うもの。

マチルダ女史が傀儡と呼んでいた。ANKHの長は【傀儡師】と呼ばれるものらしい。

見たことのない円卓の領主では【愚者】や【隠者】などがいるが。これも初耳。

人間や魔獣、エイリアンによく似た人形のようなもの。無造作に転がっている場合もあれば

電柱にかかっていたり、マネキンのようにショーウィンドウに飾られていた。


屋敷の中には確実に巨大な魔力を宿した

存在がいたのだが、よく覚えていない。


最初は会議室に通され、そこでしばし談笑。

メンツは聖種から3名。魔女と他2名。ANKHからマチルダ、エレーニ、アインの3名。

9名で行われ、すぐに一度会議を閉めた。


その後は懇親会、と同盟祝い。

君主同盟結成祝いということで騎士団代表としてドレイクという男も。


印象は……

魔女について。

強い。見ただけでわかった。自分より強いかもしれない。

まともにやり合えば、だ。殺し合いならどうなるかな、などと思った。

エリー・メイもこの女からは何か感じ取っていた。

侮れないが味方。見た目のいい女で、その上強い。身体のどこかに獣の要素があれば

求婚してもおかしくなかった。


魔女の横にいた男。ヴィクトールだったか。

長髪の三十代後半の男。キリッとした顔立ちで美形。ポーカーフェイス。

肌は白く、オーラのある男。魔女領楽園自治区の長であり、魔女の片腕だという。


もう一人の男。呪術師アムス。この男も楽園の人間らしいが。元、と言っていた。

今は楽園でなく魔女の預かりなのか? 

ヴィクトールとの関係は良さそうに見えた。

背が高い理知的な男という印象。


この男がアンリの問題を解く鍵になるとはこの時はわからなかった。


ANKH

マチルダ女史。

鉄仮面のような表情。それでいいのだがビジネスライクな雰囲気を出す女だった。

さっぱりしている。およそ必要なことしか喋らない。見た目は美しい。

艶のある一本一本がしっかりと太い黒髪を後ろに纏めている。

大きな茶色い目に長い睫毛。

黒縁メガネに整った鼻筋。ややオリーブ色の肌。他の雌が羨むようなカラダ。

いや雄が見惚れるような、かもしれない。紺のスカートスーツ。


背は175程度。胸は不明。Iカップくらいか?

ウエストは引き締まり、ヒップは理想的、

足は長く綺麗なふくらはぎに引き締まって贅肉のない足首。

人間にしておくにはおしい雌だった。

どこか3分の1程度でも獣の部位でもあれば求婚したのだが…

惜しい。最悪耳と尻尾だけでも… 獣であれば…


エレーニ嬢

カドゥとは面識があったようだが、俺はない。

と言ってもこの女はロビンの誘拐犯がいた場所で見かけた。

ユニコーンと共にいた女だった。

正確には誘拐犯が化けた姿だと後に判明。


誘拐犯の老人はシェイプシフト系能力者であることがわかって来ていた。

実在する人間の姿になるのなら、この女が犯人を

知っているかもしれないと思ったのだが。問い合わせると

ANKHはそのような能力者は知らないと返答。

嘘をついているようにも見えなかった。

アインが何やら考え込んでいたが、やはり分からないと返答。



エレーニ嬢は車椅子に乗っていて終始心ここに在らず。

ぼーっとしていて、うたた寝しているようにも見えた。

本当の意味で眠りが必要なのだ。自身を癒すために。

魂まで届くような傷を負っているのが見てとれた。


何が起きたのかはなんとなく話には聞いていた。


3Faith。

あの日。死人の領土にて謀られた。

外交交渉会議で起きた惨事。報告では、、、


エリー・メイの代わりにカドゥが出席。

クラーケン族代表、宰相、ヘルマンが付いていた。


==

クラーケン族:海棲生物人系ミュータントの総称。

==


奴の秘密特殊部隊もつけていた。


途中で災厄が起こり、外に。

死物が湧き、戦闘中死人の当主が仲介役のANKHを襲撃。

これに待ったをかけた自由騎士団。


騎士団と死人が戦闘に入り竜も加勢。ここでエレーニたちが撤退。

撤退中に待ち伏せされていて負傷。命からがらなんとか逃げ帰った。


その間、シンシティに現れたのが、

スケアクロウ当主。

「3信仰の3Faith」と西方騎士団長「英雄ルーベン・ナイトレイ」


ルーベンがスケアクロウ入りを表明。

裏切り、彼の軍勢が東方騎士団に侵攻。


カドゥ、ヘルマンの特殊部隊に、ドラゴンが6匹。

3Faithに敗北する結果となった。


俄には信じ難い話であった、そんなことはエリー・メイにも俺にも出来ない。

カドゥだけでも俺に近いほど強い。潜んでいた特殊部隊も精鋭揃い。

姿を表す前半数が死亡、表した後に全員死亡。


それにドラゴンは霊重量だけ見れば俺を超える。

単純な戦闘なら負けないつもりだが、

それでも2匹もいれば話は変わりはじめる。


3匹いれば燃料切れで負けるかもしれない。

霊気を宿す者同士の戦いは、能力や相性だけでない。

ウェイトも無視できないのだ。

ドラゴンを満足に倒すために使用しなければいけない霊量

は高くつく。無理して2匹。領土内なら話は別だが。

外なら尚更燃料の有無が生死を分つ。



話を戻そう。

アンリについて

ANKH3の代表者マチルダというのは反応しなかった。

蛇、ということにだけ反応していた。能力で霊蛇を使役するからだと言う。


ANKHという組織もよくわからん組織だ。

エリー・メイとも話したが、謎が多い。仕方ないのはわかるが

代表者がコロコロ変わり当主が一度も出て来ない。


魔女は当主と知り合いだとか、結婚するかもだとか、伴侶だとか。

まだ正式には付き合ってないし、デートもしたことないけど。

などと言っていることがコロコロ変わる。意味不明すぎる。

この女もまた狂っているのかもしれない。そう思った。

別に奇妙はいいことなので、問題ないが。



そんな他2つの同盟勢力との邂逅を思い出していたサージが

今現在に意識を戻す。


アンリが崩れ落ちたところだった。

(そうだった、今はこのゴミに集中せねばな。)


サージが犬歯を剥き出しするように笑い手を上げると

3つの隕石が正確な狙いを持ってヒュドラの首を貫いた。


地に伏す、多頭の巨蛇が恨みの目でサージを睨む。

まるで意に介せず。ケンタウロスはただ嗤う。

左手で腰の弓を取る。


サージの左手、悪魔の左手。漆黒の異形の腕。

炭化したかのように黒い腕は肘から指先までが人間と違う生き物のもののよう。


その左手でサージが同じく黒灰色の弓を掴む。

穴だらけの細長い筒のようなものを取り出し、

それを矢として打ち出した。奇妙な音を出しながら

それは恐ろしい速度、威力を持ってアンリの胴を貫いた。


それに貫けれた時にアンリは理解する。

何か碌でも無いことになったと。


この左手と矢によりもうサージの隕石を避けるのは難しくなったこと。

ロックオンされたこと。弱体化が始まったこと。。

全てをアンリは理解していない。効果が隠蔽されているからだ。

しかし、この歪な矢は自身に仇なす枷であり、杭なのだ。

それだけは理解できた。


==

悪魔の左手:害を与える霊気を生成。対象を選択。

霊気を練る際に潜伏、ロックオン、弱体化の性質を強化、効果を付与。

この手から生成された霊気で攻撃されたものはロックオンされる。

矢を抜かない間弱体化する。

筒抜けの矢:矢の中に注がれた霊気の性質を隠蔽する。

==


アンリはここで捉えられれば終わると直感で理解した。

そしてアンリが出来ることは反攻ではなく逃亡だった。

死に物狂いの逃走。




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