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ダブルサイココライド2 ―Saga Of Hermitー  作者: KJK
9章 霊魂衝突ー 傀儡師と円卓の領主たち
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7話 新しい人形  / ラヴァーズ 報復流星群



残骸都市

JOHN・SMITH

坊主に黒縁眼鏡の男。



州立図書館 駅前 S通り



死の匂いが充満していた。

多くの強力な存在の死臭。

物理的なと、いうよりは霊的な意味での。



半人半馬の狩人が立ち去った後、

倒れていた死体と思われていたモノが動き出す。



よろよろと立ち上がった体は穴だらけで

片腕、片足がなく足を引きずりながら歩く。

身体は透明でもあり、ノイズが走っているようにも

消しゴムで消されたようにも見えた。

時折本来の姿も見えるがソレを見たものは直ぐに忘れる。


白い蓮の華が召喚されるとどんどんと体の傷が癒えていき

目には生気が宿った。

左手を上げると指先が微かに光る。

付近の破壊されたコートを着た人型エイリアンの躯に

煌めく細い糸を刺した。

が、それを動かそうとしても反応が返ってこない。


無理やりに、それを操作するように左手を動かすと何とか傀儡が動いた。

足を引きずりながら

中央駅前通りの魔物を狩る。


通りは1ブロック以上に渡って焦土と化していた。

ビルは焼けた跡、穴が空き、崩れ、瓦礫の山がそこかしこにある。


男は傀儡の素体を集め始めた。

またより良い獲物を探し。

頭上にあった、ねじ切れた連絡通路に跳躍して、そこから

デパートに入る。


建物からは強力な魔物の気配。

デパート一階の吹き抜けから地下通路が見えた。

靴屋の前。

クラゲ人間のような見た目の魔物が体から赤い触手を出して狼魔獣を捕食している。

朱い触手に触れられた場所から霊気を吸い取れらているようだった。


見えない男が霊気を込めショートソードほどの斧槍をクラゲ男に投擲。

靴屋の店先とそこにいた魔物が吹き飛んだ。

一息で靴屋の前に降り店の奥へ足を踏み入れ、

胴体の半分を失っているゼラチンのような魔物の頭部に斧槍を振り下ろした。

魔物を傀儡化して分解。

コアを抽出。


男は靴屋で足の修復作業をしてから

デパートを出て図書館前の向かいのビルの外壁に開いた大きな穴。

探し物の匂いを感じ取ったかのように入っていく。


黒い河馬型エイリアンの亡骸。

恐らくはこの魔窟でも指折りの大物。

体中破壊光線を撃ち込まれたような痕があった。



死してもなお、

ひと際大きな霊気が宿っていた亡骸に煌めく糸を刺しハンカチに仕舞う。

そして

州立図書館と州都中央駅に挟まれるようにしてある、

坂になっている路地。見覚えのある

黒い狼魔獣の長の亡骸。





「見えない男」は最後の探し物が見つかったようで、それの前で立ち止まり

自らのものとした傀儡を軒並み解体、改造を始めた。

丁寧にパーツを選別し失った自身の四肢を作る。


残りの物を使い、新しい傀儡の素体も。

これには先ほどの

クラゲのようなヒト型の魔物の核と

3体の強力な魔物の核を混ぜて使用した。



そうして一つの傀儡が出来上がった。


それは

特殊な鉱石を彫って作られた河馬の置物のよう。

表面は大理石のように艶やか。

だが特有のマーブルの模様はなく

色は紫がかったピンク色と青に緑に白。



「見えない男」が指先を動かす、

と河馬の像のような傀儡が動きだし形が変化する。


河馬の形から今度は違和感のある狼の形。


先ほどのような艶やかな質感は消え、鋼のように硬そうな毛が体中をびっしりと覆う。

河馬のように巨大な顎はこの化け物が容易く子牛を丸吞みしてしまう光景を想像させた。

一目見たけで感じる異様さの原因は

手足や、骨格が全くもって普通の狼ではないこと。

二足歩行の怪物が中にいるような。

悪魔が狼の毛皮を着ぐるみのように来て中に入っていると言われた方がしっくりとくる。

体躯は河馬並みの大きさ。目は大きく、何か獣とは違う生き物の目が

不気味にキョロキョロ動いている。この毛皮をきている何かの眼だった。


全くもってこれは

実際の狼とは似ても似つかない誇張された狼の化け物のような姿であった。

色は赤と紫と緑が何処か混じったような黒。



男が指を動かす。


狼の毛皮を着た化け物が変形していく。

骨がゴキゴキと動いていくとびっしりと生えた鋼の毛は溶けて消える。

すくっと立ち上がり

二足歩行のヒト型の傀儡に成った。


アルミニウムのような色の身体に暗い紺のコート。

コートは、光の加減によってピンク、赤、青、紫、緑の色が微かに見える。

背は見えない男より少し大きい。頭にはハットを被っている。

目はなく、口と耳だけがあるが。時折のっぺらぼうの顔に目が浮かび上がり

外を覗き見するように見ては、中に潜るように消えていく。

質感は生き物というより人形。

エイリアンというには凡そ生命体らしさを感じられないような気配。

しかし自我が存在しないかと言われれば、自我を持っていそうにも思える

奇妙な存在だった。





3つの形態すべてが

男のように周囲に溶け込む能力を持つ。





可変型 超傀儡 

LAST PIECE‐ラストピース



3型

河馬 クロカヴァ  技: 反射・ヒッポ砲・雷の化身 

魔狼 マグロウ 技: 超丸吞み・超噛みつき・黒い霧の加護

ヒト型 シャドウ2‐エニグマ  技: 憑依・同化・部分変形・銃化



見えない男は傀儡を魔狼に変え、頭を撫でる。 

魔狼の中の物は目を細めて喜んでいるようだった。






======



自由都市フリーダム


「自由の足音」


街の中心から少しはずれたところにあるカジノ。

ビルは3階以上はホテルとなっている。

そのホテルの地下搬入口から

町はずれにある森の入れ口へと

向かって馬を移動するための馬運車が出ていく。


奇妙な見た目のロバが森の中護送されていた。

ロバは衰弱していて息も絶え絶え。

馬運車が森に入って5分ほどで停車。


既に護送車のような車両。

横に運転手らしき男が待っていた。


馬運車の運転手ともう一人が挨拶をすると向こうも頷く。

カタツムリの殻をもつ奇妙なロバを馬運車から、

より小回りの利く護送車へと3人で移し始める、とその時。



何処からともなく足音が聞こえて来た。

野生馬の群れ。

この森に野生馬などいない。



その日、自由都市フリーダムにて

それぞれの車両の運転手ともう一名のスタッフが死亡。

何者かに殺害された。

両者ともに通常の人間やチンピラ程度にはまず殺される可能性はない

能力者であった。


そして輸送中の魔物は不明。

捜査はされなかった。

自由都市フリーダムを仕切る黒羽商会が

この事件に気付いた時には、既に星は動き始めていた。



日中の出来事。

曇り空。


流星雨が

この街に降り注いだ。



落ちた隕石の数は数えきれないほど。

この街の全てを破壊する指示を与えられたかのように星が降る。

街のいたるところには馬の足音。

すすり泣くような声や、魔獣の鳴き声なども混じっていた。

何処からその音が聞こえてくるのかは、

逃げまどう市民の誰に一人として分からなかった。


建物が隕石の一撃で破壊され、人々が叫ぶ。

魔獣の鳴き声や騎馬の足音が通り過ぎると火花が散ったような光の後

強力な矢の雨が市民を襲う。

幽霊の足音だ、鳴き声だと生き残った市民は証言した。

流星が街を襲う間ずうっと音が聞こえていたのだと。



街の外に逃げた市民は霧に飲まれて死に、

集まって来ていた死物に喰われ、

何処からか放たれた大量の矢によって貫かれ、瓦礫の弾や炎に巻き込まれた。

概ね自由都市民の多くはこのいずれかによって死亡した。



黒羽商会が取引先であり、商会の大株主である3つの勢力。

賢人(ワイズマン)死人(デッドマン)自由騎士団(ナイツオブリバティ)に救援要請を出した。

「賢人連盟」が拒否、「DEADMAN」と「KNIGHTS OF LiBERTY」が承諾。

しかし、DEADMAN首領ノートン・ヒューズ・ウォーカーと

自由騎士団長ドレイクがやってきた頃には街はもう滅びていた。


自由都市フリーダムのカジノ前広場の壁に

SACRED SPECIES‐聖種のサインと

メッセージが残されていた。


「仲間を傷つけるもの共に死を」



「DEADMAN‐死人」及び「KNIGHTS OF LiBERTY‐自由騎士団」が

「SACRED・SPECIES‐聖種」に抗議。


それと誤解を解くための外交交渉に入る。

和平と誤解の元の捜査について主に話したい二つの勢力。

デッドマンは断固としての措置をとるべきという姿勢だったが

勢力規模としては自由騎士団≧聖種>>死人であるのが判明し慎重になる。


聖種は未だ見つからない誘拐犯の引き渡しと、領土内捜査権を要求。


領土内捜査権について賢人、死人、騎士団が拒否。

また3勢力とも犯人の心当たり無しの返答。

交渉は荒れる。


結局それぞれの勢力が一度捜査をするという流れに。


デッドマンが共に捜査に乗り出すため自由騎士団に接近。

が、自由騎士団がデッドマンを知るにつれ嫌悪感を持ち始め。

特にデッドマンの死霊やアンデッドたちに不快感をあらわにした。


「KNIGHTS OF LiBERTY」東方騎士団長ドレイクは既にデッドマンを悪とみなし始める寸前。

二つの勢力に溝と不信感が生まれただけであった。



さらに形だけ行われたフリーダムの捜査中に

騎士団が秘密の研究所にて、死物を支配している堕天使ゾンビの身体のサンプルや

そのもととなった人間のクローンの一部らしきもの。

到底存在を許容出来ない悪魔崇拝者たちと自由都市の科学者たちが関係している

可能性が濃厚に。

この科学者たちは黒羽商会と深く繋がっており

彼らが作成した薬品やアイテムなどを商会は主に取り扱っていた。


そしてその団体にデッドマンが関わっている可能性も。

研究所の捜査を当初拒否しようとしたことからドレイクは怪しみ始める。

「KNIGHTS OF LiBERTY」が正式にデッドマンとの友好関係の見直しを発表。

しかしここでもう一人のリーダー。

西方騎士団長ルーベン・ナイトレイが西方騎士団はデッドマンとの友好関係は続けると

発表。騎士団内で激しく意見が割れた。

連日にわたり自由騎士団内で怒声が飛び交った。


最終的に東方騎士団は

この情報をSACRED SPECIESに売り中立を宣言。

さらにワイズマンに対しても不信感を露わにした。


―このような如何わしい勢力と親しくする。

本当に賢人連盟とは信頼できるのだろうか。


ワイズマンは一貫して中立姿勢を保った。


デッドマンがもう一度話し合いの場を持つことを提案。


中立勢力として賢人連盟に仲介に入ってもらおうと提案するも、聖種が拒否。

他の円卓の勢力が仲介する流れに。

候補として魔女率いる「WITCHERY」、死神と煙人の支配する「新世界」、

悪党の「悪魔党」の名が挙がった。


「DEADMAN」が「新世界」と「悪魔党」を敵対勢力という理由で拒否。

「聖種」が悪魔党領内にも犯人の痕跡があったとして「悪魔党」を拒否。




「Witchery」からは

魔女不在を理由に提案された日程には来れるか怪しいとの返答。

その後も返答が遅れた。


「聖種」はこれ以上待つ気はないと「DEADMAN」に通達。

まずは「DEADMAN」領から勝手に捜査させてもらうとの言葉に

「DEADMAN」が強く反応。

円卓に座を持つ勢力たちの初めての接触は混沌の渦に。


最終的に魔女自体は来れるかもしれないが

魔女からの紹介によりWitchery同盟勢力であり

悪魔党と敵対中の円卓の勢力「ANKH」に白羽の矢が立った。

これは魔女の返答が曖昧過ぎたためでもあった。






@@



DEADMAN 領内


死霊都市 ニュー・シンシティ



満月の夜。

月が驚くほど大きく輝く夜であった。



二つの人影が郊外の丘の上にぽつんと立ち

背の小さいほうの影が眼下に広がる死霊蠢く都市を眺めている。


普段はとても死霊以外が安心して入れるような都市ではないが

今回はデッドマン首領ノートン・ヒューズ・ウォーカーにより

都市は整理され、贅の限りを凝らしたホテルで勢力の代表者達が一堂に会する

ための準備が万全の状態にされていた。


女性らしいシルエットの影は月の写真を携帯で撮っている。


―あぁ、全然上手く撮れないわね。

夜のこういう綺麗な景色上手く撮れたことないんだけど、コツとか無いわけ?

まぁ、どうでもいいけど。眠いし。ふわーあ…

そりゃ欠伸が良く出るはずだわ。


餓鬼ンチョ、あたしはこの話を受けはしたけど全く興味がないから

アンタがちゃんとしててね。


「あの一応言っとくけどこの集まりって多分滅茶苦茶大事だからな?

うちら全然他の勢力と親しくしてないし、他の勢力って皆かなり強いっぽいんだぞ。

今日次第で今後の方針が全く変わることもある。絶対馬鹿なこと言うなよ?


―チッ… 何をキョドってんのよ。

ただ、旨くやりゃいいの。

この喧嘩ばかりしているバカ共に乗じてウチが得すりゃいいだけなのよ。



―バカはお前だっつーの!

俺らは自分のボスともまともに連絡が取れないんだぞ。

何の意味もなく敵を増やすようなマネは出来ないからな!


―だから、得すりゃいいんでしょ? 何で敵を増やす前提なわけ?

敵を作るとも増やすとも言ってないじゃない。

あんたさ、好戦的なのはいいけど。会議ではそういう所抑えるのよ?



―この! まぁいい。

あと魔女からの紹介でもあるから

魔女の顔を潰すようなマネも絶対やめろよ!


―はぁ? 何で上司でもない

魔女とかいうクソビッチの顔色伺わなきゃならないわけ?

その魔女とやらがいつアタシにチップくれた?

チップくれる客にすら何の感謝もリスペクトもないのに…


―お前なぁ…

ヤバい、お腹痛くなってきた…

もういいや、送迎車が麓の駐車場に来るからもういくぞ。


―ていうか、あたしが媚びるのは時給を上げてもらう時だけだからね。

おい、ガキンチョ聞いてる?





二人を乗せた高級送迎車が街の中心地にあるホテルへと出発した。



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SACRED SPECIES 対 自由都市黒羽商会株主

外交交渉会議


参加 勢力 代表者


SACRED SPECIES    エリー・メイ / カドゥケウス・アンダーソン

DEADMAN        ノートン・ヒューズ・ウォーカー

賢人連盟       マイケル・モス

KNIGHTS OF LIBERTY  ドレイク・スティング

WITCHERY       ルネー・リプリー

ANKH         エレーニ・ルッソ / アイン・ショービル



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