5話 帰還
SINシティ 万魔殿跡地
地下迷宮
迷宮の地下室の中に似つかわしくない
不自然な部屋が一つ。
間接照明の奥に本棚。
棚にはふてくされたキューピッドの像。
ビキニモデルのようなポーズをとっている30センチほどの妖精の銅像。
部屋の隅に置かれているカプセルが開くと
頭部のない大男がのっそりと起き上がる。
首無しの男が
部屋の壁にダストシューターのような蓋がありそれを開けた。
中には郵便受けのような物。
無い首をかしげたのか、一瞬動きを止めてから
郵便受けの中に手を突っ込む。
すると中から篭手とメイスを取り出した。
首無しの男はそれを装備して
外に出ていく。
石畳の通路にグール。
メイスで頭を潰して倒す。
ソレは大きな体に似つかわしくないほどの速度で
戦闘をする。
メイスを叩きつけると、大抵の死物の頭は爆ぜた。
途中、見たことのない変わった動く死体を見つけて戦闘すると
グールとは比べ物にならないほどの強さ。
にも関わらず
異様なほどタフな首無しの戦士はこれを何度も殴りつけ
ついにはこの敵も打ち殺してしまった。
それは不死者の王が作り出した、ドラヴグという強力な不死者であったが
首無しはそれを知らなかった。
死物を倒したときと違うのは
篭手とメイスが蛍のように明滅したことだった。
ベルシモック
自走型 怪人傀儡 デュラハン系統
不死の怪人(首を落とされても、心臓を潰されても死なない)
再生 怪力 ヘッドハント(クリティカルダメージ補正 大)
暗黒属性耐性 大
首実験(敵の首を自分の物にする、その首の持ち主の個性やスキルをまれに得られる)
肝試し(恐怖のエネルギーを力に変える。対象は敵でも自身でも)
―ANKH・Rからのギフト
マチルダのメイス -----破壊力抜群 成長する。
マケンナの篭手 -----凄く頑丈。
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迷宮で何度かモンスターを倒していると、首無しは
胸から輝くANKHを取り出して自身の主の縄張りを主張した。
階層を半分ほど手に入れたところで成長。
ベルシモック
自走型 怪人傀儡 デュラハン系統
不死の怪人
再生 怪力 ヘッドハント
暗黒属性耐性 不屈
首実験
ダンジョンマスター
能力
・勇気の種が発芽
自勢力ネットワークの芽がでました。
マチルダのメイスが成長
斧形体が追加されます。
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Witchery領
太陽の広場
ネフィリム軍を下した魔女は
その後急速に勢力を拡大。全てのゾンビを領内から完全に駆逐。
それはゾンビウィルスを検知するマジックアイテムを開発して徹底的に行われた。
領土西側へと拡大していったWitcheryは
魔窟と化している州都を目の当たりにする。
おびただしい数の魔物が血で血を洗うような争いが行われていた。
特に目立って大きな力を示していた魔物。
黒いカバのような魔獣は
まるで雷を自由自在に操る戦車であった。
このカバ以外に強力な群れや縄張りを持っていたのは
キリンのエイリアン。能力を無効化するようなフィールドを作れる。
次に狼型エイリアン。
数百頭規模の群れを作っている。
そのほかに確認できたのは見たこともないような怪物。
四本足で蝙蝠のような羽、西洋のドラゴンのような骨格。
しかし鱗ではなく哺乳類のような毛皮。
首は長く顔つきはオットセイにハイエナを混ぜたような顔。
カギ爪は鋭く、動きは素早い。
カバよりもひと回り大きいのにも関わらず空を飛ぶ。
見えない毒のブレスを吐き。地面に溶ける様に潜っていく能力を持つ。
黒いカバとは離れた都心北西に縄張りを持っていた。
魔女は竜もどきと名付けた、それは魔物達の中では積極的に都心の外に出ては
他の生き物を襲っていた。
州都西側の勢力「EDEN」がたびたび襲撃され被害が拡大。
エデンはシャーマンの結界によって守られていたが、この竜もどきは結界の弱いところを
見抜いては街を襲うのでエデンの幹部たちはほとほと困っていた。
そんな折、領土を拡張していた魔女と楽園がファーストコンタクトをとる。
いくつかの話し合いが行われ楽園側は喜んで魔女と対魔窟同盟を終結。
そんなある日。
魔女の領内に椅子が現れる。
椅子に座った魔女の元に2枚のカード。
魔女がそれを手に取ると自然と椅子は何処かへ消えた。
「太陽」「女帝」
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ジョン・スミス
死者の都と化したSINシティから脱出。
比較的新しそうな死体を無理やり傀儡化。
―日蝕はいつ起きた?
「アウ、一月以上マエ…」
他の死体も傀儡化して聞き出そうとしたが
あまり記憶が残っていない。
まぁいい。
それよりも一月ほどもあのセーフルームで寝てたのか。
まだ昼間
SINシティ郊外から、ポータルを通って
山の中へ出る。
ここからハイウェイ沿いに西へひたすら行けば州都。
思わず気を抜いて息を吐く。
ただ元の場所に戻るだけでどれだけ大変なんだ。
チッ、愚痴ってても仕方ない。
それに戻って来れたんだ。
さっさと行こう。
問題なのは霧。
ハイウェイを隠形を掛けつつ高速で駆けていくと
霧が少しずつ出てきていた。
避けながら行かないとダメか。
ん、なんだ?
遠くから何か生き物の気配。
戦闘だ、人間同士の戦闘が発生している。
ファストフード店に百近い数の魔物の死体。
店で籠城している人間のグループとそれに火炎瓶などを
放り込んでいるグループ。
どちらも力に目覚めているようだった。
こんな世界になっても人間同士の争いはどこもかしこも終わらないのか。
ファストフード店には大きな3つのクレーンが生えていて
それが威嚇するように敵対グループに向けて振り回されていた。
屋上から投石を行っているグループも。
お互いかなり疲弊している。
攻めている側が特に苛立たしそうにして、店から引いていこうとする。
撤退するやつらに屋上から容赦なく投石の雨が降り注ぐ。
店のガラスが割れ、人を抱えた人影が店内から飛び出して来た。
顔中血まみれの女。
2人の女性を人質のように拘束していた。
―てめーら、あたしを置いて逃げんじゃねぇ!
おら! 人質を無理やりとって来たよ!
店の入り口に見せつけるようにその鼻ピアスの女がナイフで
若い方の人質の顔に軽く切り付けた。
籠城している側が優勢に見えたが、一気に雰囲気が変わる。
店の前にいた大男が叫ぶ。
「やめてくれ! 頼むから!」
―ジェイソン!
もう一人の弓矢を持った男が熊のような男に声をかける。
―トニー!! 娘まで失えない!! 俺はぁ! もう家族を失えない…
熊のような大男が号泣していた。
弓を持った男が、両腕をだらんと落とした。
顔中血まみれの鼻ピアスの女がニヤリと笑って降伏を促し始めた。
屋上から一人の小柄な男が怒鳴る。
―ダメだ! 絶対降伏するな!
「あ? なめんじゃねぇよ!」
人質をとっている女が、もう一人の女を見せしめに
刺し殺そうとした。
もう十分だった。事情は知らないが。
鼻ピアスの女の前に一瞬で飛び込んだ。
腕を切り飛ばし殴りつける。
女が吹っ飛んでいき、何度もバウンドする。
隠形を解く。
―この場は俺が預からせてもらう。
女を傀儡化して事情も調べるか。と思った時
鼻ピアスの女が何かの液体をぶちまけた。
強烈な匂い。なんだこれは?
「アッキャッキャッキャ! 死ね! 全員死ね! おい、アンタ達さっさと逃げるよ! アハハハ!」
「おい! ダニエレ! 俺も協力しちまうぜぇ! ギャハハ 」
ここを襲っていた10数人の後方にいた金髪のチリチリ頭が
同じく何かの液体を地面に撒いた。
そいつらが一斉に逃げ始める。
ハルバートに霊気を込めて、投擲する。
金髪の頭が消し飛ぶ。
手元に戻って来た槍を今度は、女の方へと投擲。
女は体が上半身と下半身で別れ、そのまま死んだ。
熊男が二人の女性を抱きしめながら、こちらへ大声で
ありがとう! と叫んできた。
「それはいいけど、この地鳴りのようなものは…」
「アイツらの力だ、魔物を呼び痩せる液体。
多分とびっきりのやつを… もうすぐここに魔物の群れがやって来る!」
弓の男が答える。
鳥型傀儡を飛ばして、周囲を確認させる。
何かが大量に近づいてきている。
イヌ型エイリアンや、シカ型。
いろいろいるが、見覚えのないような妙な個体がチラホラと混ざっていた。
百近い魔物に囲まれる。
店の中には、非戦闘員。
この数の魔物自体は問題ないが
守りながら戦うのは、初めてだった。
「俺が積極的に外の方で戦うから、サポートと店の方を頼む。」
―わかった! 俺はトニー!そして俺たちは風鈴!
この恩は一生忘れない! あんたの名は!?
「……ジョン・スミス。 覚えられるかは知らないけど。」




