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ダブルサイココライド2 ―Saga Of Hermitー  作者: KJK
8章 異界衝突2 災厄の後
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4話 待ち人


賢人連盟


ソクラス・シティ


夜、雨足が強まって来ていた。

使われてないバス停前。


雑木林に面している通りで

人のよさそうな褐色肌の眼鏡の男が

黒いこうもり傘を差しながら、困ったような表情でキョロキョロとあたりを見ている。

もうここに来てから、4度も時計を確認していた。


更に2度時計を確認したあたりで

黒い雨合羽を来た人影がやって来た。


―マイケル、すまん。待たせた。


「うん、まぁ… いいよ。」


マイケルと呼ばれた眼鏡の男が、心配そうな顔をしながら

辺りを見渡す。


「じゃあ、こっちへついて来て。正直どれだけ君の期待に応えられるかは分からないけど…」


―いや、無理を言っているのはこちらだ。

こうやって時間を作ってくれるだけで有難い。


「ノートン。君の勢力は… まぁなんといえばいいか… アレだしね。

ともかくついて来て。」


マイケルがいつも通りの困ったような顔で言った。


バス停の奥の藪の中にマイケルが入っていくと、獣道があり

その道に入って直ぐに視界が切り替わった。

先ほどの藪の中ではなく、何処かの山中にいるようだった。

相変わらず雨が降っていたが

2分も歩かないうちに、日本風の家屋がポツンとある場所に出た。


玄関から入ると直ぐに囲炉裏がある。



「ここでいいかな? ノートン。僕ここ結構好きだから。」


―ああ、構わない。


「それでDEADMANの首領が、僕に何の用?」


囲炉裏の前に腰を降ろすように促しながらマイケルが聞いた。



―災厄からドタバタ続きだったが、もう1月くらいか。

こちらも落ち着いてきた、で。

俺たち「デッドマン」もそれなりに強くなった…


「うん。」


―深淵教団は賢人連盟に対して表立って敵対はしていなかったが

中は決して良くはなかった。端的に言えば侵略対象の候補。

俺は違うということだ。


「……」


―DEADMANは賢人連盟と敵対しない。

協力体制を構築したいんだ。災厄だって、完全に消えたわけじゃない。

俺たちは信頼できる仲間が欲しい。


賢人連盟最高指導者の一人。

星見のマイケル、いや

未来視のマイケル殿、この通りです。


ノートンが深々と頭を下げると、困ったような顔でマイケルが耳たぶを掻いた。


「うーん、もうちょっと説明してくれると助かるんだけど…」


世界中で黒いネズミや竜巻に襲われた日から…



・悪魔派が悪魔党と改名。表向きは「救いの党」などと名乗っているが

災厄で多くの勢力が危機に瀕したタイミングで四方八方に大攻勢を仕掛けた。

侵略先の市民に対しては災厄から唯一人間を守れる勢力として

救いに来たといっては滅ぼした勢力の市民を安全な塔の中で暮らすように誘導。


・しかし狙いは、機械兵の素材となる人間の補充。

このどさくさに紛れて悪魔党が獲得した人間は数十万にも及ぶこと。

塔の中では選抜されたものから、順々に機械兵に改造されている。

今どれほど力をため込んでいるかは不明。

以降は満足したのかぱったりと動きが無くなる。



・次に死んだと思っていた堕天主レイの亡骸がいつの間にか

カルロという幹部のものに入れ替わっていた。

亡骸は両者ともに「人形使い」と呼ばれる敵対勢力リーダーによって人形化されていた。


・死んだはずの堕天主レイの召喚獣「小鴉」の痕跡を、いくつか見つけたこと。

消えた堕天主レイの亡骸に何かがあったのは間違いない。


・最近になって暗黒教団旧領を中心に出現するようになった空飛ぶ巨人の化け物。

大量の死体を操って人間を攻撃してくる。



ノートンが疲れた顔でネクタイを緩めながら言った。




―その後は、あなたも知っている通りだよ。ここの近くにも現れたんだろ?

突然現れた堕天使ゾンビのような化け物。

6枚の黒い翼をもった空飛ぶ巨人。

俺たちの調べでは

ソレが謎の伝染病を撒いている。死体ににのみ感染する病。

ゾンビウィルスとも違う。


死体には正常な霊魂は残らず、歪な霊魂かもしくはそもそも霊魂がない魔物たちへと変わる。

死体の魔物はその化け物の尖兵となってしまう。

この伝染病が蔓延る場所は、全ての死んだ者がヤツの軍門に強制的に下ることになってしまう。

全ての魔物を指揮はしていない。恐らくあの化け物いる周囲の魔物のみ。


俺らは、この不死者とも違う何か。

これらを「死物(しぶつ)」と呼んでいる。




ここら一帯ではもうこの伝染病が蔓延している。

仲間だろうが敵だろうが死体は灰になるまで燃やさなければ魔物化するようになってしまった。

アナタのところでもそうなっているだろ?


「えーと、君の能力はどうなるの?」


恐る恐る顔色をうかがうようにしてマイケルが聞く。


―俺の勢力内ならこの死物どもは俺の死霊術で支配下に入れられる。

コスパは恐ろしく悪い。

それに、堕天使ゾンビの指揮下に入っている死物の指揮権は奪えない。

あちらも、俺の配下の指揮権は奪えないが…

ただし規模が違い過ぎる。この伝染病にかかった死体は物理的にあの怪物の軍勢にはいったも同然。

怪物に支配されてないときは、予備役みたいなものかな。


もうかなり遠くまで広がっている。


「その堕天使って…」


―ああ、恐らく教祖レイの成れの果てだろう…


「いやぁ、あんまり関わりたくないなぁ… ハハ…」


―未来視のマイケル、あなたの能力は凄まじい。

力を借りたい。

其方は大規模な防衛魔法で災厄を乗り切ったようだが

ここにもし悪魔党が攻め込んでくれば…

あの化け物と死物共も。いつまでも相手にしてられないだろう。


・DEADMANなら両者に対して盾になれる。

悪魔党には好きにさせないし、この付近の死者の指揮権はあの怪物には渡さない。


・その見返りとして賢人連盟と友好関係を築きたい。

他の2人は深淵教団、いや暗黒教団を嫌悪しているのは知っているので。

あなたと是非話したかった。





話が少し見えて来たとマイケルは思った。

確かにノートンの言うとおりだった。

他の2人の指導者はこのカルト教団を嫌悪しきっていたし、交渉はまとまらないだろう。

自分だって別に好きではないが、教団は本流も摩天楼派ももういない。

ノートンが仕切る新しい勢力としてなら、関係を再構築出来ると思ったのだろう。


こちらとしても

同じ指導者の一人「賢者」による大規模魔法で災厄は乗り切ったものの

悪魔党の攻めに特化した力は恐ろしい。

しかも彼らは、よりによって防御に特化したような力まで手に入れてしまった!


でも…

悪魔党は多分ここを攻めないと自身は踏んでいた…

それは未来視の力でわかっているからだ。

正しあの化け物。堕天主レイの成れの果ては別だった。



あれは襲う勢力に優先順位をつけている。

悪魔党、賢人連盟、魔女、新世界、謎の勢力ANKH。

この並びの勢力はより優先的に死物の攻撃対象になっていた。

そしてデッドマンは優先順位が低い。

生前のレイの認識の影響だろうか。



正直判断に迷う…

どうしようか…


迷っていたマイケルだが

最後にノートンがデッドマンは教団のように悪にこだわることはない。

仲間は仲間としてみなす。

我々のヴィジョンはシンプルに強くなること、勝つことです。

そしてそれは我ら一人が勝つということを意味しない。



と言った。


マイケルが頷いて、

家に置いてあった黒電話のダイヤルを回してどこかへ連絡を始める。

その後、親指を立ててノートンの前まで来て

賢人連盟指導者 マイケル・モス

の印と紙を出した。


―これは?


「えーと友達の証? 持っておいて。」


―いいのか?


「まぁ、でも僕は理由あって簡単には動けないし。緩やかな関係じゃないと無理。

何かを実行しないことに理由を求められても言えないからね? 

あ、ちなみに未来についても言えることはほぼないよ?」


―それでかわまない!


「デッドマン」「賢人連盟ーワイズマン」 

対悪魔党及び堕天使型モンスター

連合結成。




マイケル・モス


型 予言者 ― プロフェット

サブ  投資家


・未来視

・霊的投資

スキルにも人物にも。

(対象、賢人連盟、セーレム、セレン)


・本当に良い話(WinWinな契約を結びやすくなる)

・最高の投資(回収したマナを自分に投資)


*ダークヒーローのスーツ レベル2

真っ黒なヤモリのデザイン。

1日、限られた時間のみ使用可能 所有者 強化 

強化内容(身体能力強化、マナ強化、)

機能…ホバリング、着用者回復。


・マイコレクション

マイケルの宝物コレクション 強力なマジックアイテム多数



------


ノートンを雨降りのバス停まで見送った後、蝙蝠傘片手に

溜息をつく。


このくらいはセーフだと思うけど…

どうなるやら…

小声でつぶやいて踵を返そうとした時、近くの木の枝から

尾が二つに分かれた三毛猫がひょいと降りて来た。


真っすぐにマイケルを見ながら、やって来て

挨拶するように口元をマイケルの足にこすりつけて来る。


少し困った顔をしてから


「やぁ、どうしたのかな?」


とマイケルが言うと


―あちらとの話の後、たて続きで申し訳ないのですが

約束の日が来ましたので返事をもらいに来ました…




3人の男が夜の暗闇から現れ、そのうちの一人がそういった。



「ああ… そうだね。君たちは僕が面倒見るよ。 其方もそれでいいんでしょ?」


再度困った顔を見せてマイケルが言うと

3人は頷いて、臣下の礼のようなものをとった。


マイケルの身体から天体望遠鏡が出現。

眼鏡の形に変わりマイケルの眼鏡と同化する。

それが光り輝くと今度はVRヘッドセットのようなデザインに変わる。


「それじゃあ、いくよ。 どうか僕の力になってね。」


3人を光が包んだ。


その後少しその場で言葉を交わして

3人と別れた。


漸く一人になれた。

少し気が楽になる。


時計を見るとまだ9時。

どこか屋台でも行こうか…

とりあえず、この連合結成は大丈夫。

ワイズマンとしてもそろそろ領土拡張したいし、しても大丈夫。


あの三人も大丈夫。


後は…

あの認識できない彼は、大丈夫かな?


合流は出来るみたいだけど…

認識されないし、記憶も忘れたりしていくのわかってるのかな?

忘れられちゃうの、忘れてないよね?


まぁ、いいや。

僕もしばらくはまた大人しくしてないとまずいし。



 

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