2話
世界各地を
ネズミやイナゴの黒い津波が去った後も
散発的に、黒い竜巻が発生しては猛威を振るった。
人の時代が終わった日。
その日に匹敵する災厄。
生き残った人々はそれをセカンドトライアル、第二の試練と呼んだ。
意識ある動物で生きのこったものの多くが
力に目覚めた。
と言っても個性化が進んでいないものが大半で
系統と適性も曖昧なものが殆どではあったが。
それでも生き物たちは少し強くなった。
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「DEADMAN」首領
ノートン・ヒューズ・ウォーカー
パンデモニウム内部を本棟から入念に捜査していく。
万魔殿深部にはいなかった。
暗い廊下のタイルから幾つもの黒い水たまりが湧き出す。
それが立ち昇り数体のスケルトンと一体のリッチになった。
リッチ:
上位アンデッド
魔術により蘇った霊魂を宿した死体。
見た目はミイラ、もしくは骸骨。
生前の人格と能力を持つ。
記憶と能力がどの程度残っているかは死亡状況と復活状況次第。
霊魂が無い場合はリッチにはならない。
スケルトン:
下位アンデッド
骨人
安全を確保してから、堕天主の亡骸を
スケルトンに運ばせる。
深部にオブジェとしてあった棺桶に入れ
近くにあったマナが織り込まれたシーツで棺を覆う。
息を深く吐いて、黙とうを捧げる。
堕天主レイは近接戦闘タイプではなかった。
それでも強く
殆どの刺客は返り討ちには出来るだろうが
奴なら堕天主を殺害可能だろう。
今ここパンデモニウムに潜んでいる可能性がある男の能力は身をもって知っていた。
まずは、ヤツがまだここにいるか…
それとも、もうここを去ったかだ。
奴の目的は恐らく復讐…
いや、魔女とも連携しているなら
むしろこちらを嘲笑っているのかもしれない…
まんまとしてやられた! こちらのボスがまさか…
災厄か、暗い火で亡くなったのだと思い込んでいた。
まさか、殺し損ねた男にまんまと襲撃されて
王を獲られたとは…
血が上った頭を冷やすために煙草に火をつける。
待てよ…
前にも確か…
そうだ、ネフィリムの本拠地にもいきなり攻めて来たのだった。
魔女も同様の報告があったはず。
いきなり敵本拠地を襲撃するのはいつもの通りか。いつものやり方…
前と同じ…
あの時のように増援を呼ぶか…
ヤツがどこで透明になってこちらを見ているかわからん。
出来るだけ読まれやすい行動はしたくないが。
むしろ呼ばないほうがいいか?
あの時は増援を呼んだ俺たちがギリギリ勝った、しかし今回は?
増援を呼ばれることは織り込み済みだろう…
だが状況は混沌としている。分が悪くなっても逃げる自信があるか、或いは…
魔女もここに来ている? いや、そんなはずない。
あの女はここにまでつながっているポータルなど知らないはず。
待てよ…
奴は魔女による転移で生き延びた、そして何処か奴も魔女も知らない場所に飛んだ?
魔女と奴はいま連携出来てないんじゃないか?
そのほうがしっくりくる感じがした。
もうすでにさっさとこの都市を離れたか…
その線で良さそうか…
思考の森で迷子になりそうになって舌打ちする。
対処が難しい。
満身創痍のマンフリードを何処かへ送って来た
コルトンと合流。
―おい、ノートン。
「大丈夫か?」
―ああ、侵入者がいる可能性ってのは? 何故深刻そうにしている。
「堕天主様が殺害された。」
コルトンが目を見開いて絶句する。
そのまま簡単に説明。
「魔女戦争の時に倒したと思った魔女の同盟相手の男が生きていたらしい。
能力は…」
―ちょっと待て… そいつ知っているぞ!
あの糞ったれの人形使いだ!
死者の街で俺の計画を台無しにした奴だ!
予想外の反応を返してきたコルトンに
こちらが絶句する番になった。
話を整理すると
魔女戦争の時倒した勢力リーダーの男「人形使い」
は生きていた。
その後ヤツの配下は魔女に協力。
客将として魔女軍に編入。
奴の勢力は未だ健在だった。
その後は死者の街「レイニー・オースティン」にて
コルトンと鉢合わせる。
小規模勢力のリーダーの女の仲間だったのはコルトンが確認している。
その後コルトンがその女を殺害。
その女は結局男の人形に。
名前はありきたりな名前だったが、思い出せん―コルトン談
因みに見た目も―コルトン談
どれだけ覚えてないんだ! と怒鳴りたくなった所で
記憶に違和感を覚えた。
……ヤツの顔が思い出せない。
まるで記憶にロックがかかっているかのように、
消しゴムで消されてしまったかのように。
嫌な予感がする。
最悪だ。
透明になったり気配を消すだけじゃない。
記憶に干渉するか、残らなくするようなアビリティを持っている可能性…
瞼が痙攣してきた。
深呼吸しながら、コルトンと話し合っていく。
話を続けると
レゾを抑えるためにつけていた強力な怨霊達はそいつに滅せられたこと。
コルトンが殺害したセーフハウスの女のほかに
悪魔派の元幹部マチルダがそいつの人形にされて動いていること。
その後は見ていない。
セーフハウスにも戻って来なかった。
その後は災厄の前後、いや少し前か。
恐らくそのあたりでここに潜入。
堕天主を殺害し、人形とした。
だが人形となった堕天主はあの黒いネズミの津波にやられた。
その前に起きたらしい日蝕と暗い火の兵団によるSINシティ侵攻。
まさかこんな奥の手をゼフが隠していたとは…
今すぐにでも攻め込んであいつの息の根を止めてやりたいところだが…
それよりも今は人形使いだった。
正直いつまでもここにとどまって奴を探している場合じゃない。
そもそも勝てるのか怪しい。
今やるべきことは…
―ノートン。同感だ、そいつの能力が人形だけじゃなく
透明化に記憶の消去などまであるならマジでうっとおし過ぎる。
ここに潜んでいるようなら、最悪この領土放棄すべきかもしれねぇ。
新勢力deadmanは未だ弱小。
本調子じゃない俺とマンフリードじゃそいつには勝てねぇだろう。
俺も怨霊を集める。今は怨霊術師の俺と死霊術師のお前にとっては稼ぎ時。
SINシティで死霊術の素材を確保して力をつけるべきだ。
「ああ、作戦は命大事にだな。
ただし、堕天主様の遺体は何処かで丁重に埋葬せねばならない。
持って帰るぞ。」
―義理堅いな、俺は正直おまえの死霊術の素材にするべきだと思ってる。
「わかっている、本当に切羽詰まったら… その時は…」
スケルトンたちに棺を運ばせ、警戒しつつ
万魔殿で散っていった大量の暗黒教団のエリートたちを蘇らせていく。
黒い水たまりがぽつぽつと、増えていく。
パンデモニウムの床のタイルが黒い水玉模様のように変わる。
それが終わると、すぐさまSINシティ。
あるものはスケルトンに、あるものはリッチに、それ以外のアンデッドにも。
そしてある者たちは素材や、触媒となった。
ノートン・ヒューズ・ウォーカー
型 魔人
サブ ネクロマンサー
称号 不死者の王new!
悪魔の呼吸 不死者の呼吸
アンデッド作成ースケルトン、ゾンビ、浮遊するしゃれこうべ、リッチ、アンデッドキング召喚
アンデッド改造ー死者パーツ化、死者合体、死者アイテム化 new!
再生 暗黒属性耐性ー大
領主アビリティ
死者の宴 - 中立、もしくは自勢力領土内での死者、遺体に干渉できる。
不死者の都 ― 大量の不死者を生成、要LMP 要死人
霊魂と死体があるほど支払うLMPは安くなる。
所持アンデッドー現在
骨人 ― 369
骨人騎士 ― 66
ゾンビ ― 55
しゃれこうべ ― 28
リッチ ― 32
アンデッドキング ― 3




