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ダブルサイココライド2 ―Saga Of Hermitー  作者: KJK
7章 異界衝突2 傀儡師とそれぞれの事情
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8話 ネズミ・不死者と悪党・日蝕


霧が漂う高速道路を進んでいた。しばらくいくと霧が濃くなっていく。いつまでも霧に囲まれて居たくない。どうするべきか。途中で鳥を見かけた、傀儡糸を刺して傀儡化。鳥傀儡を上空へ飛ばし、辺り一帯を視界に納める。寂れた街が見えた。あちらの方が霧が薄い。


……行ってみるか。



高速道路の背の高い壁を跳躍し乗り越え下に飛び降りると街道。道を真っ直ぐ進むと店が数件並んでいた。雑貨屋にカフェにベイカリー。寂れたレストラン。その隣にポストオフィスとフィッシュアンドチップスの店。奥に不動産屋とカフェ。


ん? 人間の死体だ……  店前の駐車場に人間の死体が転がっている。死後そんなに経過しているようにも見えない。外傷は見当たらない、何が原因で死んだ? 注意したほうが良さそうだった。


ポストオフィスに入るが誰もいない。隣の建物の屋根裏から物音… いや気のせいか。どの店も人が見当たらない。

捨てられた区画のようにも思えない…… 今度はレストランに入ってみる。


何だ? 所々床に落ちたカップ、テーブルもひっくり返っている物が多い。落ちた食器が割れて散乱していた。

厨房から音が聞こえる。おいおい火がつけっぱなしだ。急いで火を消しに行く。


キッチンは無人。奥にあった冷蔵室の大きな扉を開けると、シェフらしき格好の男が野菜の入った容器が積まれている場所に背を預け床に座り込むような格好で絶命していた。


また人間の死体。なんだ? 傷が何処にあるかわからない。駐車場の死体と同じだ。死体は乾いているが微かに血を唇から流していた。上着を脱がせて身体をチェックしてみるが、せいぜい打撲や擦り傷程度やはり死因となりそうな外傷がない……


突然店に音楽が流れ始める。スピーカーを探す、四隅に設置されていた。何処から操作された? フロアに出てカウンターの方へ行くとタブレットが目に入った。これか。周囲に気を配るが人間の気配は無い。


===

幻視

老人

遊戯 科学者 薬品

===


意味が解らない。老人に科学者? もう一度気配を探るが何も引っかからない。訝しく思いながらも外に出た。今度は同じ並びにあるフィッシュアンドチップスの店に入ってみる。ここもやはり人がいない。 奥を覗くと店のカウンターの奥に人が倒れていた。霊魂が残っている気配。直ぐに傀儡糸を刺して傀儡化する。霊魂は残っていたが意識レベルがかなり低い。


―ここで何が起こった?


「わ、わかりマセンん… ネズミ、ん、ネズミが攻メテ来た。洪水ミタイニ…」


―ネズミ?


それ以上店主らしき男は答えなかった。霊魂がどこかへと旅立った。


窓の外では雨が降り始めた、直ぐに激しくなり稲光も。外に何か見えた。黒い海? 遠くで何かが蠢いて居たような。一瞬に目の錯覚か、幻覚でも見ているのかと思った。店から出て大通りの方へ歩いていくと地鳴りのような音。どんどんひどくなる。



店の外へ出ると黒いものが蠢き、移動していた、百万を超えているだろう、闇のような漆黒の鼠の大群。それが家屋を飲み込むように移動している。普通の鼠じゃない、通常の生き物とは霊気がまるで違う。アレは鼠の形をとった全く違う何かだった。建物の屋根に跳躍し街を見渡す。


道路を黒いネズミが埋め尽くして居た。更に横を見ると地平線の向こう側から黒く蠢く津波のようなものが見えた。ヤバいぞ…… これは戦って勝てるようなそんなものじゃない。それだけは分かる。


==幻視

室内、スタッフ用と書かれたドア

===


黒い津波が家屋を飲み込見ながら近づいてくる。鳥型傀儡に鼠を攻撃させてみるとあっという間に飲み込まれて消えた、。傀儡糸も切断された。建物の屋根を飛び移りながら漆黒の津波から逃れるように駆けていく。


住宅街を抜け平坦な田舎道に出てもまだそこら中から湧いて出て来る。行き場を失い始める。家屋からは火の手が上がり街が燃えている。ネズミたちは火の中には積極的には入らなかった。人々の叫び声。街は阿鼻叫喚の地獄絵図。


黒き鼠に背中から出した触手から強化火炎ブレスを吹き付ける。一定の効果はあったが、弱点というほどでもなさそうだ。隠形を使っているのにも関わらず鼠たちがブレスに向かってきて体に纏わりついてきた。


鼠に触れられた途端。急激に霊気が消費させられる。身体が、俺の霊気がこの黒いネズミに触れることを拒絶している。何か霊体に近いが物質でもある謎の鼠。津波のような災厄を急いで体から振り払う。


頭がボーっとしてくる。俺の姿は見えてなさそうだが… ここから離れないとマズイ。



建物屋上のドアから屋内に入り階段を降りると関係者以外立ち入り禁止の部屋。ドアが開かない。もう一度ドアノブを握るとイメージが脳裏に浮かび上がった。


===幻視

ANKH・R 成長

出張セーフルーム

マケンナズ ホーンテッド アパートメント LV2

恩恵、連鎖、成長

===



右手からANKHが出現する。


ー限定領土取得可能。取得しますか?


取得する。


ドアが自然と開く。店の奥の施設。部屋の中には安い折り畳み式のテーブルに椅子。革の茶色い3人掛けソファー。壁に日本猿の肖像画。あくびをしている。棚にふくれっ面のキューピッドの像。安っぽいスピーカーに音楽プレーヤー。横にCDが少し。


懐かしい。懐かしい物がチラホラと置いてあった。


轟轟とした音。建物の外から聞こえてくる。建物内の霊気が歪んでいる、強風に煽られているように。窓の外が真っ暗に。耳鳴りがする、恐らく今あの黒い津波にこのビルは飲み込まれた。


しかもこの部屋に貼られた防護フィールドも削られているように思えた。大丈夫なのか? ここにいて… この鼠の津波は一体… 何が起こっているんだ、何もわからずただ巻き込まれていく。意識が遠のいていった。




***



不死者と悪党




ダーティロンドン、デビルズ・リバプール、ブラディ・ブライトン旧摩天楼派主要都市が次々と不死者の街と化した。おびただしい数の不死の化け物が蠢く。スケルトン、ゾンビ、リッチ、巨大な骸骨。宙に浮くしゃれこうべ。


悪魔派は抵抗しようとするもコンラッドの指揮する機械人が出来ることは少なかった。旧摩天楼派領土のほぼ全てが、瞬く間にノートン・ヒューズ・ウォーカーの手に落ちた。暗黒教団内の争いは決したと、ノートンが思った時。

ノートンが不死者の都と化したダーティロンドンの地で、煙草に火をつけた時。


時を同じくしてSINシティの太陽が隠れた。


日蝕。


たった数分間の出来事であった。


暗い火を宿した機械人たちが何処からともなくSinシティに現れ、街中で爆発していく。機械人の身体からは真っ黒な腕の形の炎が現れて、電気を纏ったようにバチバチと音を鳴らしては触れるものを爆発させていった。普通の暗い火と、違うのはその手に触れられた命あるものもまた、その火を宿したように燃え移っていくことであった。伝染する暗い火。


SINシティは1分もたたずに地獄絵図に。その次の2分でパンデモニウムの半分以上が完全に焼き尽くされ最後の数分、重要拠点が跡形もなく消え去った。日蝕が終わるまでのたった6分にも満たない時間だった。


申し訳程度に送られてきた少数の機械兵がSINシティを占領。本流の幹部たちは、姿を消していて悪魔派は彼らを見つけられなかった。


悪魔大統領ゼフの予想では、転移の力が込められているアイテムを使いSINシティの外、自由街フリーダム、もしくはグリムへ逃げた。が、確認している余裕は悪魔派にはなかった。悪魔派の領土全体に、そして新しく占領した

このSINシティにも分け隔てなく災厄はやって来た。


黒い津波が大地を覆い尽くす。



***


ダーティロンドン



本流に連絡をつけようとしているが、端末が繋がらない。嫌な予感がしたがそれよりも地平線の向こうが気になった。奇しくもノートンがいるダーティロンドンの街にも災厄は訪れたのだった。


これまでで最も大規模な力の行使。摩天楼派の旧領は手中に収めた。ネクロマンサーとして本領発揮した。いや、し終えたばかり。漸く休めるかと思っていた当てが外れる。黒い津波はネズミの群れであり、一匹一匹が普通のネズミではないことはすぐに理解できた。ネズミたちは姿かたちを変え、時には猫や他の動物の姿になった。


コルトンの手に入れた黒い雨や風に匹敵する… いや、それどころじゃない。それ以上に厄介な災厄が降りかかろうとしていた。ノートン・ヒューズ・ウォーカーは感情が沸き立つような怒りが込み上げてきた後、頭が急速に冷えていいく感覚の中にいた。



「ここまで試練続きだといっそ清々しい。まるで己の罪が一切合切洗い流されていくようだ。」


煙草を吐き捨てて、左手を上げ不死者の軍団に号令をかける。


―さて、今回もまずは生き延びよう。今日ばかりは神に唾吐いた人生を後ろめたく思わない。運命や世界にあらがう時、俺は力が湧いて来る。







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