表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダブルサイココライド2 ―Saga Of Hermitー  作者: KJK
7章 異界衝突2 傀儡師とそれぞれの事情
43/111

4話 記憶に残らない男、グリムシティ旅人の噂 



一度街の中心部に。

噴水広場の近くで役所の場所を聞く。

金銭と交換できるものなにかがあればいいのだろうか。

持ってたっけな。


結局魔道具を所有していると言うと

物々交換に応じる投資家がいるとのことで

その投資家の屋敷へと向かう。


ヤシの木がある邸宅につくと門番がいて要件を聞いてきた。

事情を話す。応接間に通されると、そこにはセレンがいた。

ここに来たばかりの頃であった学院の教師セレン。

一瞬、呆けた顔をしてから彼女が口をひらく。


「えーと、あ、ジョンじゃない! どうしたの?」

「ああ、賢人通貨が必要で……」


説明すると。ああ、駅馬車の代金ね!

とすぐに納得したようで頷いていた。


横にいた投資家はマイケル。

黒人で坊主、若干ふくよかな体型。

感じの良い男で眼鏡の奥の瞳は知性と善良さを併せ持っていた。


互いに自己紹介を済ませて商談を始める。


「いきなりここを訪ねて来る人は普段受け付けてないんだけど… 

役所の人が教えちゃったの? それに門番の人も通しちゃったし…

セレンの知り合いならいいけど……」


少し困ったような顔で言われる。



「すいません。」

「いや、いいよ。アイテムとかの買取は趣味だから、仕事みたいには受け付けていないだけだし。」

「マイケル、この人能力者だしマナの扱いも長けてそうだから品物を見ようよ。」

セレンが言う。


「そっか、それじゃ早速何を買い取ってほしいのか、いいかな?」

「えーと… どうしよう、ちゃんと決めてなかったんだよな。

このコートはもう寒くないからいいかな。」


「今着ているこのコート?売っちゃっていいの?」

マイケルがそんな切羽詰まっているの? という顔で聞いて来る。


「ま、まぁ…」


―ちょっとこのコート。一級品ぽい上に相当量のマナが込められているね。

でもサイズが違うな。マイケルが困ったような顔をして、悩む素振りをする。


「いいじゃん、なんならあたしが買ってあげるわよ?」

セレンが外套を手に取って確かめるように触る。


「これ何処で手に入れたの? 中々見たことないレベルの品だけど……」


「セレンはどのくらいの払える?」

マイケルが問う。


「いやぁ、わかんないけど。うぅん…2千、いや3千かな?」

「いや、俺に言われてもわからないけど… でもそれでいい。」


意外とすんなり交渉が決まる。

結局マイケルではなくてセレンが出してくれた。


マイケルが夕食に誘ってくれたので駅馬車の御者に代金を払ってから

待ち合わせ場所のレストランへ。


陽も落ちて来た。

学都アリステスの街中を歩きながら考えていた。

意外と合流するだけでも難しいな。

待たせてると思うと罪悪感や不安感が湧いて来る。

ルネーは心配してるかな、マザーや白、エレーニにアイン。

アムスやシンディ、いやシンディは会えたからしてないか。

むしろ俺が彼女を心配したほうがいいかも。大丈夫なのか。

謎のダイスって。


夕食はマイケルとセレン2人の行きつけの料理屋で。

貰ったお金で途中酒を買い、宝具作成で

魔酒を作る。それを手土産に持っていくことに。



***



狭いストリートの空間にいくつもの料理店が立ち並ぶ。

夜の道、脇の店にも道路の上にもランタンが吊るされて活気ある雰囲気。

通りの真ん中はテーブルがずらりと並ぶ。

それぞれの店がテラス席を出していてそれが突き当たりまでずっと伸びていた。


その外のテラス席にマイケルとセレンを見つけて

手を振って近づいていくとセレンはボケッとした顔。

マイケルは困ったような顔で俺と彼女を交互に見る。


「どうした?」

セレンとマイケルに問う。


「え? 何がですか?」

「いや、変な顔してるから。」

「はい? 変な顔?」


ーあのー、どちら様?

マイケルが口を開けて言った。


「どちら様って? さっきあったばかりだと…」


―ほんとに申し訳ないが会ったことあったけ?



==幻視

隠者の咎 円卓 外部 着席を歓迎せず

ショートカット 対価 支払… 祝福と呪い 運命の力

==



何だ? 隠者の咎?

言葉に詰まっていると、セレンが


「人違いですよ、あなたのこと知りません。」

「はい、すいませんでした。 今こちらもその可能性に思い当って…」


ほっとしたように胸をなでおろした二人と少し笑いあって

その場を離れる。マズイ… この呪いのような物。


俺に対して他者が正確な認識をできなくなる?

いや忘れてしまうのか? やばすぎるだろ。


路地に入り隠形を使いさっきの場に戻る。


マイケルとセレンの横に立って聞き耳を立てる。

誰かを待っているような会話をしていたが

次第に「彼の名前はなんだったっけ?」とセレンが言って

マイケルが「彼?」と返してから二人が狐につままれたかのような顔になった。


近くのナプキンにマイケルのポケットに入っていたペンを使って

「John」と書いてみた。


「あれ? なんだこれ…ジョン? そうだジョンっていう男と何か…」

「そうなの? あれ? その人と… ううん何でもない。」


もう一度姿を見せる。

再度ぽかんとする二人。


「さっきぶりですね。」


は? 意味が解らない、何を言っているんだという顔……


もう検証は十分だった。さて、どうする。

行く当てもなく通りを奥に歩いていくとあの駅馬車の御者の男がいた。

酒をしこたま飲んでふらついている。


「俺を覚えていますか?」


―いや、知らねぇ。


「今日馬車の予約して前払いしたんだけど…」


名をいうと、手帳を取り出して

確認。客のことなんざいちいち覚えてないが

確かに受け取っている。と返って来た。


ほっとした。おすすめの宿を教えてもらってそこに泊まる。


翌日。セレンに会うと俺のことを思い出していた!

確認すると夕食会などは覚えていないが

取引したのは覚えていた。会話もほんの少しだけ。


昨日作った魔酒を見せると、快く買い取ってくれた。

服屋に向かって春用の服と旅行者用のバッグを購入する。

その後、昨日停まった宿に戻り宝具作成で

両方とも強化。


***



翌日。昼過ぎ。

駅馬車に乗るとたった一人。

貧困都市グリムへ。


御者は馬と馬語で会話しだして器用に霧を避けたり

霧が薄いところを通り抜けていく。

両方が霧の中を比較的安全に抜けるのに

適した能力をもっているらしかった。


速度も中々で40キロ以上は出ているが車内は快適。

感心しつつ仮眠を取る。

3時間ほどで馬車が速度を落とし始める。


馬車が停車。

降りると街も何にもない草原の真っ只中。

地平線と山しか見えない。

「どう言うことだ?」聞けば

「北に10分も歩けばグリムだ。ここからは一人で行け」と言われる。


グリムで客は取らないのかと聞くと、客質が悪すぎるから

グリムで客はとらないと来た。

俺が納得すると御者はすぐさま引き返していった。


グリムシティか。

どれだけ治安が悪いんだ一体。

地平線に向かって歩き続けると

やがて建物が見えてくる、街だ。

光が建物の窓からチラつく、眼を凝らすと双眼鏡で

俺のことを見ている奴が何か合図している。


いくつかの建物を通り過ぎ街に入ろうとすると

チンピラのような奴らが建物から出てくる。

挙動がおかしい。健康状態が悪いのか肌に妙なボツボツがある男

が多い。薬物か?

ジロジロと舐めつけるような目で見て話しかけてきた。


―おーい! おうコラァ! お前だ、お前!


よそ者が挨拶なしで入ってくるな! と怒声を浴びせてきた。


「挨拶?」

「通行料を払えばいいんだよ!? このボケ!」


「ここに入るために通行料がいるのか?」

と聞くと仲間の男たちと大笑いしてきた。

無視して入っていくと後ろからついて来て、早足で通り過ぎた奴らが

前に出てきて通せんぼした。


「無視するなよ、よそ者、金を払え。」

「ここの代表者なのか? それとも払う必要がないのに言っているのか?」


殴りかかってきたやつにカウンターでストレートをぶち込む。

地面に転がっていき、土だらけになった男を見て他の男達が怯む。

そのまま歩いていき路地に入るとさっきの奴らが話しかけてくる。


―オイ! お前さっきこの路地に入ってきたヤツどこ行った?


「見てない、何のことだ?」


―チッ、カモに出来るかもしれねぇと思ったんだが……

まぁ、いいや。お前もそいつを見つけたら教えろよ。

人買いに売れるかもしれねぇ。お前みたいに上等な服を着てやがった。


「返り討ちにされたらどうするんだ?」

「あ? 何ウルセェこと言ってんだよ。」


後ろの男が刺せ! 刺しちまえ!

と叫ぶ。なんだこいつら? いきなり攻撃的になった。

目つきもやはりおかしい。


仕切りに肌をかいていた男がナイフを取り出し

刺そうとして来る。顔面に拳を放つとチンピラの頭が爆ぜた。


他の仲間が腰を抜かす。さっき煽ったやつを殺しもう

1人は生きたまま半傀儡に変える。


「ニブルスへの行き方を教えろ」


―に、に、ニブルスは、直接イケナイデス。

魔導列車デ、違う街にイッテ、そこからカモ。


なかなかニブルスへの道が開けないことに苛立つ。


「メイヘムかオースティンでもいい。教えろ」


―そこもわかりません。魔導列車はダーティロンドン近くの

都市でヨク動いてたって聞きます。だけど…


「だけど?」


―最近戦争ガアッタ、Dロンドンとか他の路線が走っていたところが戦地になった。

だから魔導列車はアマリ今は、ウゴイテナイデス…



どれだけ、たらいまわしにされるのか、

切れそうだ。ちょっと待てしかも魔導列車が動いていないなら

この街で次の駅馬車が来るまで何週間も身動きが取れない?


心の中で何かが吹っ切れた気がした。

近くにいた襲い掛かってきた中毒者の男を殴りつけ、

グリムシティについて知っていることを徹底的に吐かせる。


そこで最近駅馬車以外の方法でやってきた旅人の情報を得た。

ハイウェイの辺りからやって来たという噂。


早速ハイウェイに近くの繁華街に向かう。

聞き出した特徴は真面目そうなアジア人でかなりの猛者。

俺のように襲われたが、グリムの住民を返り討ちにしたとか。


名前はジャン・スタンレー。

旅人か…




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ