6話 ノートン・ヒューズ・ウォーカーは休めない2
―アロンソ様死亡との噂が出ています。
「……アロンソが?」
眩暈がしてきた。
一瞬気が遠くなった後、怒りが沸々と湧き上がってくる。
どれだけ本流は幹部を失えば気が済むのか!
誰のせいでも、何が原因でも、どうでも良かった。
こめかみを押さえ、深呼吸する。
目を閉じながら続けるようにと促す。
―まだ確定ではないですが連絡が途絶えたようです。
アロンソ様はネフィリム化して極秘任務を行っていたようで……
「どんな任務だったかわかるか?」
思わず、一体何の極秘任務だ! と叫びたくなる。
全く自分の耳には入って来ていなかった情報に
具合が悪くなって来ていた。
―メイヘム付近に悪魔派が目をつけて極秘にしていた「異界」のような場所があり
そこの存在を知ったアロンソ様が本流の拠点に
組み込むことが出来ないか探っていたようです。
「派閥同士の連携が無くなって久しい。黙っているなら取ってしまってもいいし。
奴らの喉元に本流の領土があれば悪魔派に対して首輪になるか。」
―はい。
その異界でアロンソ様の消息が突然途絶えました。
異界、悪魔派の連中は「異人街」と呼んでいますが。
そこに連中の幹部アショクや、コンラッド、
アインにカルロなどが攻め込んだようです、が
コンラッド以外は死亡。カルロに関しては実は生きていて負けた挙句離反したとの噂も。
「何? コンラッド以外死亡…… 誰にやられた?」
突然の朗報に自然と体が前のめりになる。
―異人街の勢力があったようで、それと衝突して、です。
今は悪魔派はメイヘムに攻め込まれていて、対処に苦しんでいます。
アロンソ様がもし何者かと交戦したのなら、
先ほど挙げた悪魔派の幹部たちか、この勢力かと…
「アロンソは心配だが、悪魔派の力が削られたのは
我らにとっては奇跡的な助け船。本流は今や崖っぷちだとおもったが。
なかなかどうして、悪くない。状況は思ったより悪くないな… 」
(まさか悪魔派も幹部を大半失っていたとは。
アロンソ一人で悪魔派幹部4名は考えずらい、が2名くらい始末出来てもおかしくはない。
衝突した可能性は十分あるな。それとも3つ巴になったか?)
思わずほっと息をついてしまう。
もう本流は最高戦力7名のうち4名が死亡。残り3名。
いやアロンソが死んだのなら、もう2名しか
残っていないことになる。
この機に乗じて他の派閥に攻めてこられたら分が悪すぎる。
悪魔派も同じ教団ではあるが、まったく信用ならない連中だった。
最初から何の信念も共有などしていないのだ。仲間意識もどこまであるのやら。
悪魔派、摩天楼派ともに本流の力が落ちれば、いつ牙をむいてもおかしくない。
奴らの戦力も半分以下になったのなら、歓迎すべきことだった。
緊張が続いていたのが解けて来たせいか
欠伸まで出て来た。話続けていいものか、迷うそぶりを見せる部下に
ジェスチャーで続けろと促す。
―またコルトン様がメイヘム近くにポータルで繋がっていた死者の街に向かい
本流の領土化に試みて成功。
「ふぅ、またメイヘムか。」
ーはい、死者の街領土化を一緒にしようと
持ち掛けた男を怨霊術で僕としました。
―更に、死者の街で抗戦しようとした小規模勢力リーダーの女も殺害。
特に男からは黒い雨や、風を誘う能力を得たとのこと。
恐ろしく強力な力で現在メイヘムやニブルスに
黒き雨を降らせて悪魔派と異界の勢力ともども消耗させる極秘の作戦を実行中です。
ただ現在は… 連絡が取れない状態になっています。
今も黒き雨は降り続けているので、恐らく大丈夫だとは思いますが…
「コルトンも? 成程。アロンソとコルトンで悪魔派を挟むつもりだったか。
連絡はなぜ取れないのかわからないのか?」
―最後にコルトン様の部下に来た報告内容はこちらにも共有されました…
その説明自体は曖昧だったが、何となく話が見えて来た。
つまり怨霊術師コルトンは*
レゾという男を殺そうとした時に受けた傷で肉体の損傷が激しく。
レゾの身体を乗っ取るが、男は不思議な体質で霊魂が体から出て行かないので
いつまでも抵抗され続けた。コルトンはこれ以上は危険と判断。
怨霊を使いレゾを操って殺害した女の体を乗っ取った。が
その女には仲間がいた。強力な能力者の男。
正面から戦えば勝てないと踏んだコルトンは
黒い雨の力を頼りにした。しかし……
コルトンが殺した女が能力で作成したセーフハウスをその男が拠点としている。
なかなか黒い雨で殺せない。どうにか中に入り込み鍵を開けられれば…
などと恐らくコルトンは考えた。
コルトンは女に成りすまして近づこうとしたが失敗。
何度もアジトへ近づいたため
女の霊魂はその女の能力で造られたアジトと一緒になってしまった?
黒い雨も風も無効化するセーフハウスに守られながら
堂々と街を闊歩する強力な能力者の男の排除と
その男の肉体の乗っ取りが最優先事項となっていった。
コルトンは死者の街を領土化は出来たものの、
この町の異物である家と男をどうにかしなければならない。
結局コルトンは
トロイの木馬のごとく、自らの霊魂が入った
女の死体をセーフハウスの扉の前に置けば中に入れるかもと考えた。
結果、相手のアジトには侵入できたものの
その男によって女の死体を修復改造された結果。
持ち主の女の霊魂が体に帰ってきてしまう。
その上女の身体の主はその修復した男のものに書き換えられてしまっていた…
結果肉体の主導権が奪えなくなってしまったし、精神のほうも中途半端に。
その男にもその仲間にも直接女の身体や能力で危害を
加えることが出来なくなってしまった。
大株主が自分以外に2人いて困っているという感じか。
最悪に面倒くさい状況になってしまっているな。
クソッたれめ…
コルトンの奴も大金星かと思いきや、油断ならない状況…
連絡が途絶えた事も気になる。
この予測が当たっているなら無理もなかったが。
―コルトン様配下の者たちからノートン様に死者の街へと向かうように
、協力要請を送られてきています…
また堕天主様にも根回しを始めている様子。
「コルトン配下共に伝えろ『俺は俺のタイミングで動く、黙ってろ』だ。」
頭が痛くなってきた。ストレスで胃に穴が開きそうだ。
連絡が取れないなら死者の街にまで誰か送り込むべきか…
これ以上幹部を失うのはマズイ…
思考に耽っていると来客の知らせ。
客の名を聞いてそのまま通すように伝える。
首を痛めているようにさすりながら男が入って来た。
赤と緑の上着を羽織っている。
体躯は分厚く、上背も185センチ以上あるだろう。
顔も体もプロレスラーのような男で、あっけらかんとした雰囲気。
金髪でしっかりとしたアゴ。
「よぉ、ノートン。戻ってきたと聞いたぜぇ?」
「まぁ、見ての通りだ。首はどうした?」
「ああ、これか。 ちと痛めちまった。
それよりも幹部大量死で俺がまた幹部に復帰だよ、ハハハ!
問題児で済まねぇが、またよろしくな!」
「ああ、よろしく。 マンフリード。」
―早速だが、本流は俺の力を当てにするほど弱くなっちまったようで
可笑しくてたまらないわけだが。俺は今、北方戦線を仕切っている。
お前が来るまでの繋ぎではあるが
直ぐにでも引き継ぎしてもらいたくてな…
その後はお前のサポートに回る。自由なほうが得意なんだ、知っているだろ?
「本当にいきなりだな… まったく。」
―まぁ、コルトンの野郎と俺とお前。
アイツにだけはでかいツラしてもらいたくないんでね。
俺も必死なわけだ。
コルトン… 昔からヤツの人間に対する憎悪は凄まじいものがあった。
残虐かつ非情な男。マンフリードとも馬が合わず、犬猿の仲。
「ちなみに北方前線については俺はよく知らんのだが、マンフリード。」
―最近SINシティから霧をいくつか抜けたところにポータルが見つかってな。
規模がでかい勢力の都市がある。
あっちから襲撃されたと言い張りつつ戦い始めたんだが。
いや、本当は俺らが一方的に襲ったんだけどな…
ただ、これが、その…
―結構強い。正直ここまでとは思わなかったんだよ…
最近はSINシティも二度ほどそいつらに襲撃されたし。
「どんな奴らなんだ?」
―勢力名は「New World」だ。新世界。
俺らの都市の名前を知って、自分たちの都市の名を「懲罰都市-パニッシュシティ」
に改めたらしい。 当てつけだろうが、ふざけた奴らだぜ。
勢力としては死ぬほど、いや、マジで死ぬほど窮屈。
管理、監視社会。まぁさながらディストピア。
密偵を放ってみているが…
即見つかっちまう。
どうにもならん、罪を犯した者には人権はないし、監視社会の上密告も奨励している。
ガムを外で噛みながら歩いている奴は、人間ポイントなるものから減点されたりだな。
俺らみたいなのは存在を認識された時点で処刑されそうなグループ。
「へぇ、戦い方もおいおい、聞いていくが… もう勘弁してくれ。
頭が痛くなってきたよ、今日は休む。」
―ハハッ、了解。
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*ノートン・ヒューズ・ウォーカー
type 魔人
サブ 死霊術師
悪魔の呼吸 スケルトン作成 リッチ作成 アンデッドキング召喚 不死者の呼吸
再生 暗黒属性耐性 大
*マンフリード・アダムス
type 番人
サブ 拳闘士
霊拳 苦痛エンジン 炎の四肢 地獄の住人(暗黒属性による負傷の回復速度大幅UP)
*コルトン・コックス
type 霊能力者
サブ 怨霊使い
怨霊支配 怨霊カード化 憑依・乗っ取り パラノーマルアクト(超常現象を引き起こす)
フィールド悪化アクト(残虐、非情な行動をするたびに怨霊が発生、寄ってきやすくなる)




