間話 *3FaithとJohn・Smith *暗い海の底で *正義の仕事
石造りの回廊をベージュのスーツを着た男が進んでいた。
白い髪に髭。サングラス。初老の様にも見えるが年齢不詳。
60代かもしれなかったし実は40代なのかもしれない。
体躯は逞しく、背筋も良い。筋肉質で自信に満ち溢れている。
上機嫌で鼻歌を歌いながら回廊に点々とある矢間
のような空間に目をやり時折外を眺める。
ガラス等は一切はまっていないのにも関わらず
何故か風は殆ど入り込まない。
外に見えるのは空。
雲上の光景からこの建物が天空に座していることが伺い知れた。
回廊を進んでいくと大広間があり
大広間を抜けると、倉庫、そして謁見室。
男は途中で階段を上がりお目当ての部屋に。
ここまで誰一人としてすれ違わなかった。
この城にいるのは男一人だけだった。
お目当ての部屋の中にあるものを目にして男は更に上機嫌になり
感嘆するように口笛を吹いた。
_____円卓
それなりに広い部屋の中央にそれはあった。
無骨ではあるが趣味の良い木製の円卓。
この城それ自体もだったが、やはりこの部屋も同様静かだった。
男が円卓の周りをゆっくりと足を動かす度、
革靴の底面が床に当たりカツンカツンと音を立てる。
ぐるりと見て回ると……
一つの椅子の背に名前が浮かび上がった。
【3Faith】
「ふぅー… 当たり前のように一番乗りだ。」
3信仰の3FIATHは自身の名が浮かび上がった椅子に腰を降ろす。
背もたれに体を預け、感じ入るように目を閉じ押し黙った。
一体何分そうしていただろうか。10分近かったかも知れない。
ひとしきり椅子の感触を味わった後。
呪文のようなものを唱える。
男の胸が輝き、エネルギー体が出現。
それは方位磁針と懐中時計が一体となったような物だった。
時計には魚の様なデザインのシンボル。
いつの間にかカードの山札が3フェイスの眼の前。
円卓の上に置かれていた。
3FAITHがカードを2枚ドロー。
「The Fool-愚者」と「The World-世界」
男は真剣な顔でそれを眺めた。
時計に目をやるとそれはたちまち
時計と方位磁石に分かれて2つとなり、
カードを一つずつそれぞれに近づける。とカードは膨大なマナに変わり
エネルギー体に飲み込まれた。
白髪、サングラスの男は思い荷が少し降りたかのように胸を撫でおろした。
椅子の上より楽な姿勢になって部屋の窓の外に目を見やった。
その時、建物の外からマナが飛来して城の外壁に当たったのを感じた。
「ん? 外から干渉? あれれ、もう気配がわからなくなっちゃった。」
建物の中から大量のマナが一気に明滅するように増幅して、消えた。
溜息をついて3FAITHが円卓の間から立ち去ろうとした時
1つの円卓の椅子の背に人名が浮かび上がっていた。
==【John Smith】
フフ、さっきの奴? 面白いねぇ世界はさ。
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暗い水の底にいた。
いつものように一匹で。
仲間たちはそっとしておいてくれているが
内心はどう思っているのか。変な奴だと思われていると思う。
このシャチの群れを率いているのは幸い幼馴染だ。
奴はこの変わり者の俺の事を気にかけてくれているらしい。
本人がそう言ってくるわけでは無いが。ただその割には距離感がある。
アイツの親友が2人。俺のことが気に食わなくて仕方ないらしい。
昔からそうだった。
幼馴染はリーダーではあるけど流されやすいところがある。
友人グループの意見を人一倍気にする奴でもあって。
奴らはそれをよく理解している。だから群れのボスを操作しようとするし、
それを良く思わない、指摘する自分が邪魔なのだろう。
この群れのボスは俺の事を放っておく
ことにするので精いっぱいのようだ。
俺は一人が好きだから別にそれでいい。
ただ最近脅迫まがいの行動をあの二人がとり始めている事について。
怒りが湧くときがある。
まぁいい。それよりもここの所、
やけに海の底が気になって仕方がない。
今もそうしているように。よく海底を探索するようになった。
海の底を隈なく見ていくと
稀に光るビー玉のような力の塊が見つかる。
それを喰らうと自分が強くなるような感覚があった。
世界がおかしくなってからシャチはもう海の王者では無くなっていて。
海の中には見た事も無い様な変種が出現したり…
この群れも今までのようにはいかないだろう。
例の2匹が力を手に入れて、俺に襲い掛かって来たのは
それから少し経ってからのことだった。
幼馴染が制止したのと俺が強くなっていたことが幸いして
撃退には成功した。一匹は結構な重症を負った。
奴は自分から仕掛けてきたくせに恨みがましい目で見てきた。
今はまだ殺し合いには発展していないが。
もうどうなるか分からなくなって来ていた。
幼馴染の奴に話に行ったほうが良いかもしれない。
翌日もいつものごとく海底に潜っていると
破れて3等分にされた沈没船を見つけた。人間の乗り物だ。
船と言うものはもう随分と見かけなくなった。
人間はどうしているのだろう。明らかに高度な文明、技術
を持った動物だった。人間は泳ぎは苦手だがそれ以外外のことが何でもできる。
少なくとも、奇跡を起こす道具等をたくさん所有している。
凄い生き物だったのだが、世界がおかしくなってから姿を見せなくなっていた。
昔から興味深く思っていた生物に思いをはせながらも
船の中を探索。これを人間が所有していた。形や大きさは様々。
これは自分でも中に入れるくらい大きい船。
人間が100人以上は入るかもしれない。
普通は水面に顔を出していて、この部屋の中に人間が一杯乗っている。
中を見ると人間の骸骨がいくつかあった。
入れそうで入れない部屋が多い。入口がシャチ用に作られてないのだ。
そんな船の中の広場のような場所。
像アザラシほどの大きさの貝を見つけた。
どうにかして近づきたい。入口の鉄板に体当たりしたり、
噛みついて捻じ曲げたりしていると、船の千切れた箇所を見つけた。
すんなり入れた。
貝に近づくと……
途端、泡をこちらに吐いて攻撃してきた。
船の一部が衝撃で破壊された。
距離をとると何もしてこなくなった。
一度隙を見て噛みつきに行ったが、思った以上に硬くて
殻をかみ砕けなかった。自分も強くなってはいたのだけれど。
それから。
日課のようにあの巨大貝を真似て空気包を作っては
衝撃波で中身にダメージを与えてみていた。
聞いているのかは正直定かではなかったが。
突然降参するかのように貝が開いた。
中には大きな真珠の代わりのようにあの力の塊があった。
今まで見たことないほど大きかったし美しい塊。
俺は、迷わずそれを食べた。
全身が、特に脳の外側がドクドクといって熱くなった。
何となくだが、確信に近いような感じで
自身の存在力のような物が引き上げられたことを理解した。
=====
キラーウェール
種 シャチ = ハイ・キラーウェール
type = Σウェール レベル1
アビリティ、スキル取得可能
・空気砲
・尾びれの鞭
・より良い牙
空気砲を選択。
キラー ホウェール ----
種 シャチ = ハイ・キラー ホウェール
type = Σウェール レベル1
アビリティ 空気砲new!
=====
アビリティ…
空気砲の使い方はすでに頭の中にあった。
気泡をぶつけるとの似たようなものだ。
空気砲を試しに貝に放ってみるとあんなに硬かった
殻が簡単にヒビが入った。
もう少し練習すればもっと威力が出そうな気がした。
気分が良くなって界の殻を的にして空気砲を撃っていると
群れから緊急信号。
何事かと様子を見に行くと
巨大な蛸が仲間のシャチを丸のみにしていた。
触手に掴まったシャチも1頭。
俺に怪我を負わされた一匹が蛸のヘイトを
此方に押し付けようと誘導し始める。
他のシャチたちもそうするべきか、悩むようなそぶりを見せた。
群れの生贄になる気は無かった。
空気砲で誘導している敵個体を攻撃。
衝撃波で内臓を破壊されたヤツが動かなくなる。
蛸の触手に絡めとられた。
もう一匹。奴に続こうとした個体のシャチにも空気砲を浴びせた。
群れ全体に緊張が走る。
蛸はもうシャチはいらんとばかりに離れていく。
シャチを三匹も食べたらどんな巨大蛸でも腹は満たされるだろう。
蛸はいなくなった。群れに対して
俺の敵は他にいるのか問う。
現状のボスに前に来るように告げる。
幼馴染が出てきた。
他の仲間たちも俺の周りに恐る恐る集まって来る。
俺がこの群れを率いることを宣言。
ヤツが了承。
抗議しようとした俺を嫌っていたヤツ。
コイツで最後の一匹。その場でかみ殺す。
あの蛸はスピードは遅い。健康なシャチなら対応できる。
縄張りが重なり始めたとしても
やりようはあるだろう。
とりあえず、この海域を自分たちの支配下に置かねばならない。
昔のように。シャチが安心して暮らせるように。
力を見せると他の個体は皆大人しくなった。
なんだ、そんなことでいいのか。と言う気もした。
しかし、これから新しいグループに
生まれ変わらせなければいけない。
生存し、逆に支配するような力を手に入れるんだ。
あれだけ凄まじい力を持っていた人間。
あの生き物のようにシャチが世界から姿を消すわけにはいかない。
世界の海は俺達の物だ。
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新世界 新南フランス半島
―先生! 先生! 頼みますよ、本当に!
ぼんやりと意識が覚醒してきた。
もうすぐ春だな……
口に違和感を感じて起きると吸いかけの煙草を
咥えたままウトウトと寝入ってしまっていた様だった。
青い空。それにしてもいい天気。
少しだけ冷たい風に首を撫でられて
ジャケットを着ていないことに気づいて
手探りで探す。
―先生! おい! いい加減にしろよ、アンタ! ちょっと!
すぅー、ちょっと寒い。
私も随分強いし、寒さなんて克服したと思っていたけれど。
いや、もしかして悪寒がしたのかも。
悪寒はスイーツの様に別カウントなのかもしれない。
それより、この名も知らぬ弟子が
何か話しかけてきているから返事をしないといけない……
無視するのは酷いことだし、私も無視はされたくない。
人間というのは何度も話しかけたくない生き物であって、私もその人間だ。
「トミー、聞こえているよ。」
「ウィルですよ! ルーベン先生!」
馬車の荷台で昼寝してる所悪いですけど
もうすぐ、報告にあった敵のアジトに着きますからね!
とまくし立てるように言うトムに
話を聞いているように見せかけるために返事をする。
「ああ、そうなの。どんな報告だっけ?」
眠ってしまわないように欠伸をしながら返すと、
トミーと名乗った弟子はむきぃー! と子猿のようなテンションで。
「悪の鬼人の勢力のアジトです!
人食いで、山賊のようなことをやっている奴らですよ」
「へぇ、そうなの。」
ー僕は崖下の洞窟に行きますから、先生は街のほうお願いします!
それと、今までの敵とは比べ物にならないほど強いリーダーがいるそうなので。
注意してくださいね。
何故か最後だけ鷹のように鋭い目つきで言った。
ふーん、そう。
この弟子なんか怒ってる?
まぁ、悪は成敗しなくちゃね。確かにそれはそうだ。
心地よい日差しの中、馬車に揺られながら目的地へ。
もうすぐ着くし煙草でも吸おう。馬車の荷台で寝転がる。
少しして海岸沿いの崖下にある洞窟と
その洞窟と地下で繋がっている山賊に
占拠された崖の上の街に到着。
外から見るといい雰囲気の街だ。
昔は観光業など盛んだったかも知れない。
まず存在感のない1番弟子が洞窟に入っていった。
穴の中にいる集団は彼が始末してくれるだろう。
私の一番弟子だったはずだから。そのくらい出来るはずだ。
煙草に火をつけ、深く煙を吸い肺に入れ、煙を吐き出す。
見上げると青い空。雲の漂い方もいい感じだ。
いい天気だった。
街の門で警備をしていた山賊の前まで歩いていく。
まだ彼らとの距離は30mくらいあるが、面倒くさいから剣を抜く。
面倒くさいからついでに斬る。
腰の刀を抜き、横に払う。
5人の山賊の門番が一薙ぎで胴から真っ二つになった。
左頬を掻いてから、
上着の内ポケットから幾らか金属製の避霊針を取り出し
放り投げる。上空100m程舞い上がってから街中に落下していく。
この街の建物の壁や屋根、屋上に突き刺さり設置完了。
街の門を通り侵入すると、取り巻きをつれた大男。
こちらに向かってきていた。
そういえば山賊の頭領がめっぽう強くてどうにもならないとか……
誰かがそんなことを言っていた気がする。
この男が山賊の頭なのかもしれない。
「今、何を撒きやがった、テメェ。ウチに喧嘩吹っ掛けて
生きて帰れると思ってるんじゃねぇだろうな?」
「ありゃりゃ、それはこっちの台詞だよ。まぁ、
生きて帰す気が無いのはお互い様だから仕方がないね。
私に勝てる奴などそうそう居ないけれど、
どうしても勝ちたいのなら一度くらい負けてあげてもいいよ。」
「何様のつもりだ、てめぇ?」
「ルーベン。」
―名を聞いたんじゃねぇよ、馬鹿が…
何か吐き捨てるように呟いてから男が構えを取る。
すると山賊のリーダーの額から角が生え始めた。
乾いた骨、いや堅い角質の様な角だった。
霊気が目に見えてもわかるほど増幅していき、
男の身体の中で濃くなり循環していく。
その霊力は確かに目を見張るものがあった。
しかし
「もうここは私の聖域だ。それくらいでは全然私には届かないよ。」
ルーベンと名乗った男の目に光が宿る。
腰の刀を鞘から抜いた時にはルーベンの
淀んだダルそうな瞳は透き通るような清涼なものに変わっていた。
ルーベン・ナイトレイ:Ruben Knightley
42歳 身長177センチ
勢力:Knights Of Liberty
黒髪モジャモジャ頭 目にかかるくらいの長さの前髪 無精ひげ
無気力そうな雰囲気 虚ろな目
世界の破片(ANCHOR 錨 )
型 Heroヒーロー
・変身
・避霊針(突き刺すたところに相手の攻撃が誘導される、一定以上の強度のマナには無効)
・超錬気(マナを練り上げる行動に補正極大)
・七転八倒(復讐のための復習 復讐戦 補正大 効果は訓練でも、実践でも。 )
・ヒーローの呼吸
・罠師の右手
ウィリアム・プライス:William Price
21歳 身長174センチ
優等生、しっかり者のさわやか青年。
型 探検鬼
・自由人の呼吸(拘束、洗脳系 無効)
・洗練されたマナ(発散系に+補正)
・オーラソード
・オーラアーマー
・獣心解放
・鬼人化 (マナ総量UP、身体能力UP、人外のオーラ発動。)




