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ダブルサイココライド2 ―Saga Of Hermitー  作者: KJK
6章 悪魔女史と夕暮れのスワンストリート
30/111

1話 夕暮れの白鳥通り



目が覚めると暗い部屋にいた。

間接照明がほんの少しついているだけ。


雨が激しく窓を叩いている。

黒い雨だった。傀儡になって目覚めてからずっと雨。

墨汁のように黒い雨が窓ガラスを伝い流れ落ちていく。


窓のほうを見ても時間は良く分からなかった。

少なくとも外も明るくはない。


棚の上に置かれていたデジタルの置き時計を見ると

まだ明け方。起き上がってキッチンの方へ。

ポットの湯を沸かしコーヒーを入れる。

生きていた頃も良くこうしていたのかもしれない。


スピーカーが突如として点滅した後スイッチが入った。


ザー、ザザー

キコエ、ル? キ、 キコ る?


「マケンナか、聞こえる。」


ザ、ザ、ザ、ザー、ザー ジョンガイ、イナイ ドコカヘイッタ


マケンナの声に答える前にスピーカーの電源が突然オフになった。


ジョンがいない? 私も主であるジョンを探す。

何処にもいない…

ジョンは何処へ行った? でも雨が降っているのに。


リビングにいた傀儡の抜け殻。

それが突然動き出す。緑の髪の眼鏡の女。

人形が動き出したような生気の無さでこちらに歩いてきて私を抱きしめた。

頭を撫でるとマケンナの傀儡は元居たリビングの一人掛けソファに戻って

体育座りしてまた動かなくなった。


スピーカーの電源を見に行くが、ボタンを押してもつかない。

キッチンの電気が消えた。様子を見に行く。


バンバンバン

下の階からドアが叩かれる音がした。


階段を下りて扉の前に立つ。激しく叩かれている

もっと激しくなる。


「あ、ジョン?」


そうか、ジョンが戻って来たのか。雨が降っているから…


? 後ろで気配がした。

振り向くと花瓶がひとりでに床に落ちて割れた。

花瓶の破片が文字になっていた、がこの時はそれに気がつかなかった。


花瓶の破片の文字----アケル、ダメ


私はもうドアを開けてしまっていた。

ドアの前には背の高い灰色の髪の男が立っていた。

血の涙を流している。


ジョンではない。


「やぁ、ようやく出てくれたね。」


男は消えてしまいそうな笑顔で言った。


「誰?」


2階のスピーカーが点いて声が聞こえた。


―ザー、マ、チルダ! ザー、ソイツハ、テキ! ドアヲシメテ!


家の前のライトが突然点いて扉の前の通りを照らす。

男の背後には黒い泥に体のあちこちを覆われた人間の顔や手が

杭を男の体に突き刺して、マリオネットのように動かしている。


男の後ろに居る頭部に杭を刺している奴が

こちらを狂ったように睨みながら男の頭を何か喋れ、

というように揺らすと


「やぁ、出てきてくれた、有難い。もう一歩こちらに来てくれないかな? 

道を尋ねたいんだ。 いいよね?」


―ダメ! イマスグドアをシメテ!


後すざってドアを閉めようとすると男の背後にいた

泥を被ったモノが体を挟み込んで閉められなくしていた。


腰から警棒を取り出してソレを打ち飛ばす。

ディストーションを掛けたような叫び声をあげてソレがひるむ。


そのすきにドアを閉めようとすると

男が腕と口を大きく広げて、何か叫んだ。

この世のものとは思えない様な音、声だった。


男が叫んだのと同時。

横殴りの黒い泥と強風がドアに向かって吹き荒れた。

家中に風が突入し調度品を吹き飛ばし雨と泥だらけにしていく。

家が痛い痛いと叫ぶように、音を立てる。



―ザーザ、ザー、マジデヤバイコトニナッタ! マチルダ!

トイレにムカッテ! イソゲ!


言われるがままに走ってトイレに向かう、

全身に付着した雨と泥が体からマナを奪う。

トイレのドアを開けると便座がひとりでに開いた。


中を見ると空洞。底の見えない透明な水。

閉めたトイレのドアが激しく叩かれている。


便器の中に飛び込んだ。



====



気が付くと、知らないトイレの中だった。



壁はコンクリートとレンガ。

むき出しの水道管パイプ。


普通の住宅という感じではない。

ドアを開けると、洗面所。蛇口をひねると水は出る。

手を洗ってペーパータオルで手を拭いて横のゴミ箱に入れる。


更にドアを開けると短い廊下と、

その奥に上階にいく階段があった。

廊下には様々なフライヤーが貼られていた。


階段を上がると広いワンルームの空間。

部屋の半分は絨毯が敷かれリビングのようになっており

ソファやテーブルがいくつ。階段近くの壁際にバーも備え付けられている。

もう半分はフローリングで壁にはカーテン、その裏には鏡。

ヨガやダンスの稽古場のような場所。


フローリングの隅に大きなスピーカーや、ミキサーがある。

DJとかもそこで出来るんだろう。

私にはあまりこういうものの知識がないからよく分からないが。


カチッというスイッチが入ったような音がした後がして

ボン、と大きな音がスピーカーの方から聞こえた。


―ザ、ザーザ、ザー ア、アタシ マk、ナ 

ココニ、アタラシク リョウイキ ツk、タ

モウチカラ ス、クナイ シバラク ネムル…

アタシノナカ、イワカンヲカンジル…


バチッ

という音と共に電源が落ちた。


一人になってしまった。

リビングにはあの緑の髪の女の傀儡と、アジア人の男の傀儡があったはずだが

今は女の傀儡だけが椅子の上に人形のように座っていた。

アジア人の傀儡はここで目覚めた日には確かにあった。


ジョンと一緒に居なくなった?



マケンナも眠ってしまった。

私一人だ。


ジョンはきっと生きてる。

傀儡になったからだろうか繋がりを感じる。

何処にいるのかはわからないが。

私に出来ることは何だろうか。


外に出れないかな。

窓の方に目をやると雨が降っていなかった。

窓辺に近づききちんと確認する、と確かに雨は降っていない。


1階にいってドアを開ける。と、ちょうど陽が落ちる前位だった。

そこは都市の商業区画だった。

通りの向かいにはカーディーラー、右手にガソリンスタンド、

交差点とファーストフード店。


夕暮れの街にオレンジ色の光とネオンや信号の光が

パレットのようにカラフルだった。


ここはどこだ? 僅かだが人通りもある。


歩道を歩いていくと通行人が私をすり抜けていった。

私の体を。まるで幽霊みたいに。

振り返ると、そのまま通行人は歩き続けている。

追いかけていくと、途中で靄のようになって消えた。


信号機の方で音がした。

ヒト型エイリアンらしきものがガソリンスタンドの屋上から

信号機に飛び移った所だった。

獲物を探すかのように車道を見下ろしている。


通常のヒト型じゃない。頭は少し鰐に近いフォルム。

(そのまま鰐の頭を取って付けたようなものでは無いが)

体躯は大きく、今にも飛びかからんとばかりの姿勢。

通常のヒト型エイリアンよりも猫背。骨格の問題かもしれない。


車がいくつか通ると、そのうちの一つの車に向かって飛び降りた。

両足でストンピングするように飛び降りる、

鈍い音と共に車のボンネットが破壊され近くの

カーディーラーに突っ込んで停止した。


車から火が上がり始める。


車にしがみついていた爬虫類系ヒト型エイリアンが

運転手の頭部を捕まえると運転手が発光して人型の靄に変化。

消え去りそうな靄をソイツは頭からかぶりつく。


ソレに噛まれたところから発光体は人間の形を崩せなくなっている。

何度か咀嚼し、最後は光る靄を丸のみにした後

ソイツのマナが少し増えたのように感じた。


鰐のような人のような顔がこちらを見た。

目が無いようなので目が合っているかは分からなかったが…


背後のマケンナのビルの扉を

開けようとすると鍵がかかっていた。

開かない。


あれ、私はカギなんて持ってない。



―来る。


直観的に今いる歩道から離れるように跳躍する。と

丁度そいつが突っ込んでくるところだった。

こちらを追いかけてくる。


腰から警棒を取り出し鞭を装填する。

聞きなれた小気味良い音が鳴って

戦闘開始の合図となった。


鰐人は身体能力に自信があるのか、突っ込んできては掴みかかろうとする。

避けながら鞭で手足を撃ちつける。鞭の一撃で鰐人の腕が半壊。

続けざまに返す刀で鞭を振るい右腿にも痛烈な一撃を浴びせる。


一瞬体勢を崩した隙に

高速でより霊気を込めた鞭の連撃を敵の足元に撃つと奴の片足が脛から千切れた。

そのままもんどりうって、近くの路地に逃げるように転がっていく。


追いかけるが、その前に音と気配が無くなった事に気づく。

路地のほうへ行くと大きな鉄製の共用ゴミ箱ご二つ。

何処にもいない。奴の姿が見えない。


何処だ? 

傀儡となった体に

もはやあるかもわからない神経を研ぎ澄ます。


ゴミ箱の中じゃない。

音を立てずにこの蓋を開けて隠れるのは無理だ。

上か?


路地を挟むようにして建っている

ビルの外壁にでも張り付いているのかと見上げた時。


瞬間


右肩に強い衝撃。

何かに噛みつかれた!


ジャキン

鞭を左手に持ち替え、スナップを利かせ

右肩に噛みついている透明な何かに叩きつける。


離れた! 何かが怯んだのを感じながら、

鞭を持ち手から切り離すように振る。

それが灰色の蛇となりソレに飛びかかった。


8秒ほどして、霊毒が回ったのかソレの力が抜けて倒れる。


鰐人の透明化が解けて目の前に痙攣しながら転がっていた。

意識が朦朧とする中、蛇に止めを刺させる。


私自身も大分消耗してしまった。


ゴミ箱の横に座りもたれ掛かる。深呼吸しながらマナを吸収すると

成長を感じた。


顔に何かかかった。空を見ると

ポツポツと雨が降ってきていた。

普通の雨だった。夕暮れのお天気雨……




----マチルダ・ベルモンテ


人型 自走傀儡 

型   改革者 レベル5 

サブ  育成者

創造育成: シェイプシフト・スネーク

形態変化: 蛇、鞭、棒、ライフルnew!


霊毒 拘束蛇 高速鞭 霊蛇召喚 




----ケンナズ・ホーンテッド・アパートメント


セーフハウス型拠点 霊 lv1



アビリティ

最後の砦(扉を閉めている間、防衛力S)

魂の引っ越し、ソウルムーヴ (拠点移動 消費霊力AAA 拠点レベル下がる。)



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ゴミ箱に背を預けて休んだ後新しいアジトのドアに手をかけるが

ケンナのビルが扉が開かない。


扉の横の壁に郵便受けがある。

手紙を入れる箇所。何かつっかえていて開かない。

無理やりこじ開けると中にカードと

カードリーダーのようなものがあった。


取り出して胸ポケットに仕舞った。

それ以上何もなかったので

あてもなく通りを探索していく。


道路角の標識にスワンストリートと書いてあるプレートがあった。

この通りの名前らしい。白鳥通り。


ビルの手前には複数の高級車ディーラーが並んでいる。

ガラス越しに見てもスタッフがいるようには見えない。

右手にファストフード店があり、進んでいくとガソリンスタンド。


そこまで歩いていくと、チンチン電車が通り過ぎていく。



夕暮れ時、辺りは黄金色に染まっている。雨は相変わらず降っていて

お天気雨だった。スーツや下のワイシャツがぐっしょりと濡れ始めていた。

雨粒が額から頬を伝って落ちていく。


信号を一つ越えて進んでいくと幾つもの飲食店が

通りに面して営業していた。


スペイン料理店から出て来た何人の客のうち一人は

顔から服まで泥だらけだった。

他の客たちは私に無関心だったが

そいつは濃い負の感情が込められたような目で

私を見ていた。


つかつかと歩いてきて抱き着いて来ようとしたので鞭を振るうと

苦しそうにしながらも向かってくる。


もう何度か高速鞭を振ったときソイツの体はエネルギーの靄のようになった。

すると胸ポケットにあったマケンナの郵便受けで手に入れたカードに吸収された。







マチルダ・ベルモンテ


人型 自走傀儡 

タイプ 改革者 レベル5 

サブ  育成者

創造育成: シェイプシフト・スネーク

形態変化: 蛇、鞭、棒、ライフルnew!


霊毒 拘束蛇 高速鞭 霊蛇召喚 




ケンナズ・ホーンテッド・アパートメント


セーフハウス型拠点 霊 lv1



アビリティ

最後の砦(扉を閉めている間、防衛力S)

引っ越しするアジト (拠点移動 消費霊力AAA 拠点レベル下がる。)



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