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3話 大統領と商人と狭間の道化

暗黒教団悪魔派首都 ヘル


悪魔宮殿内。


黒い軍服の男が濡れた眼鏡を忌々しそうにハンカチで拭きながら

宮殿内の一室でせわしなく窓の外を見ている。年齢は40台ほどだろうか。

短髪に険しい顔つき。

平均よりも逞しい体躯に突き出た腹。


室内にはもう一人男が重厚な机の前に座り、何やら書類にサインなどをしている。


「クソっ、親父! やばい、黒い雨がうざすぎる!」

「落ち着け…」

「メイヘムだけじゃなくニブルスにまで雨が降り始めてやがるんだ!」

「大丈夫だ、手は打ってある。」

「でもよぉ、我慢ならねぇ… クソっ! クソッ!」

「落ち着けコンラッド。黒い雨はクソだが、あの異界の勢力も大概だ。 両方ともすり潰して、焼き尽くしてやるが… 今は無理だ。」

「じゃあ、どうすりゃいいんだよ!」

「耐えろ、それだけだ。」


光のない濁った眼で悪魔派の頂点に立つ男が言った。


メイヘムシティにて裏切り者と、疑わしき者ども事一掃したが、時を同じくして

異界の勢力に街を襲撃された。

それ以降は粛清と住民・配下たちの改造爆弾兵化を急ピッチで進めていったが、

守勢にまわり続けていた。

中でもこの男の頭を悩ませていたのは黒い雨。


黒い雨は最近になってメイヘムとニブルスに降るようになった雨で霧のように有害なものであった。

この雨が降り始めると、思うように行動が出来なくなる。

領土化で払われる漂う糞(霧)と違い、この糞(雨)は質が悪いことに領土内に容赦なく降りかかる糞であった!



そしてタイミングを選ばずに侵攻してきては、好き勝手暴れまわる異形の軍勢。

敵方の自動人形兵(オートマタ)は実に厄介で黒い雨の影響を殆ど受けない。

こちらも機械化が進んだ兵は、黒い雨の影響は小さくなるがコストが高くなるうえに進みすぎると

コンラッドが指揮を執りにくくなる。

とくに頼りの暗い火を仕込んだもののコストは高い。

人形兵は実にコストパフォーマンスに優れていそうな出来栄えで、それがよりコンラッドを不安にさせた。

アインが裏切って手助けまでしていることに加えて、カルロも離反した。


===

悪魔大統領 親衛隊長 コンラッド・マクダナル

防人 羊飼い

家畜誘導 改造場 マナエンゲージ(協力プレイ:対象ゼフ) スキルエンゲージ(共同スキル作成:対象ゼフ)

===


その時、部屋に慌てて入ってきた部下が緊張した様子で報告を上げる。


―報告申し上げます! 

ニブルスに異形の軍勢が侵攻しました。

黒い雨が降っており、

迎撃困難な中、おもちゃのような戦車が投入されて重要拠点を破壊しています。

対抗策はまだ‥

それ以外にも裏切り者アインのものと思わしきクラゲ独楽なども暴れています。


「それで? ニブルスは落ちたのか?」


―いいえ!

その後はメイヘムとニブルスを繋ぐ拠点を奪われました。

空から降ってきた敵方の自動人形兵が拠点の守りに置かれています。


「取り戻せそうか?」



―……

難しいかと…

少なくとも黒い雨の日は…


「そうか、それ以外は?」


―今は膠着状態になっており、動きはありません。


「行ってよし。」


兵士が背を向けると同時に

コンラッドが怒りの咆哮を天井に向ける。


「幹部や住人がこれだけいなくなって、その上メイヘムとニブルスが落ちたら悪魔派は終わる! いま他の派閥がこの隙をついてきたら!」

「チッ、コンラッド。 てめぇ気持ちを押さえろ。

 ……仕方ねぇ。 ……俺が何とかする。」


ゼフの口調から飾りが消えたのと入れ違うように、コンラッドの顔に明かりが灯る。


「親父! ついに「異人街」を攻めるのか?」


返答せず、ゼフは獣のような表情で笑った。





-----------------------------



悪魔派の首都ヘル。

その北部の悪魔宮殿の奥にある、限られたものだけが立ち入りを許される地下庭園。

その日も雨だった。

それもゼフからすれば忌々しい糞ったれの黒い雨ではないのがせめてもの救いではあったが。

2人の男がそこで茶を飲み交わしている。


一人はこの地下庭園の主。

ゼフ・アドリエル。悪魔大統領を名乗り、暗黒教団悪魔派のトップに君臨する男であった。

もう一人は彼の友である3フェイスと呼ばれる男。

葉巻を吸っていたゼフに勧められ3Fも葉巻を吹かしている。


主にゼフがお願いする形で交渉は終始行われているようで

3Fは興味なさそうな雰囲気を隠そうともしなかったが

途中で表情に変化があった。


何か考え込んだ後、3Fも積極的に交渉に臨み始めた。




「交渉はこれでまとまったな。この借りは必ず返す。」

「まぁ、そうなるね。それじゃ私は行くよ。」


2人の男が対照的な表情で庭園を後にした。


一方は獣のような笑みを浮かべながら。

もう一方は何か考え事をしている様子で。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


世界が変わり果てても

相変わらず雨がよく降る都市。


摩天楼のように。

高層ビルが立ち並ぶ、そのビルの一角にレッドカーペットが敷かれ

高級車がずらりと並んでいる。


人の時代が終わり、都市もかなり破壊された。

それでもこの都市を支配する摩天楼派のトップ、魔上人のエゴは己の顔に塗りたくられた泥を

そのままにはしておかない。

徹底的に修復させ、摩天楼派の威光を知らしめようとしている。


摩天楼派の幹部方が集まって会議を開いていた。

その後はパーティ。

仕事の後は酒に女に忙しくを推奨しているのが、この都市の支配者であった。

同時に、酒や女に明け暮れるようなことはするな! とも厳しく言明している。


そんな魔上人が酔っ払いつつ女と共に部屋から出てくると

廊下には1人の男。


「……ジェシー、何用だ? ワシは忙しい。」

「本当に戦争を始める気ですか?」

「もう会議で決まったやろうが…」

「いい考えではない。」

「何を知った気で言うとんじゃ! バカかお前は! 今が好機なんじゃ、そんなこともわからんか!」


女が巻き込まれたくなさそうに距離を取る。


「会議で決まったのは本流か悪魔派のどちらかを攻めるなんて曖昧過ぎる作戦です。」

「どっちでもいいんじゃ、この場合は。これから次第でどうとでも転ぶ問題やろうが!」

「そうですが…」


「ジェシー、3信の3Fもワシに協力する手はずになっとる。アイツはゴミやが強い、一人で派閥そのものみたいな力と影響力を持っとる! この均衡が傾いたときは一気に状況が変わるぞ。」

「あの人をどこまで信用できるかは… それに私が反対なのは本流を攻める案です。」

「ああ… 忘れとったわ。お前は本流好きやからのう、未だに恩義でも感じ取るんやろう。バカか? 本流なんぞ糞じゃ!

所詮は馬鹿で頭の悪い、気狂いどもが集まっている所よ。悪魔派と大して変わらんわ。」


ー兎に角、摩天楼派にとって叩きやすいほうを叩くべき時に叩く。わかったな!

馬鹿がよ。

わしゃぁな、ここぞ!という好機をつかんでここまでやって来たんじゃい!

これは数十年に一度の好機じゃ! 逃すわけなかろうが。


ジェシーと呼ばれたスーツ姿の男は力なく床に目を落として頷く。

鼻息を荒くしながら魔上人が女の肩を抱き寄せにいきながら通り過ぎていった。


エレベーターのドアが開き、魔上人様! と秘書のような女が報告を上げると。


キッ、と今度は何だ! と大声で言い放ち睨みつける。


ー報告。

悪魔派(デビルズパーティ)摩天楼派(スカイスクレイパーズ)の領有都市各地に大攻勢を仕掛けてきました!

人間爆弾に、魔物、黒き炎の竜や、蛇が各地で破壊の限りを尽くしています!

止められません! 無茶苦茶すぎる! 全部更地にする気だ!


「な、な、なんじ…」


!!!!


轟音


魔上人は女を抱きかかえながら超高層ビルの

窓ガラスを割って飛び降りた。近くにいた幹部ジェシーも同様に。

この建物にいた実力者が一斉にビルが崩落するのを感じ取り飛び出していった。





摩天楼派(スカイスクレイパーズ) 総LMP 100万LMP


・ダーティー・ロンドン 55万

・ブラディ・ブライトン  15万

・デビルズリバプール  20万

ETC…



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


摩天楼派の首都「ダーティー・ロンドン」には爆弾とかした

半機械人間や魔物が続々と侵入しており、主要な拠点を次々と見つけては自爆攻撃をしかけていく。


悪魔派の親衛隊長コンラッドが機械人の指揮をとる。

世界が変わった日から生き延びた住民たちを多数巻き添えにしての大攻勢。

爆弾機械兵たちも元は悪魔派の都市の市民たちであった。


ゼフ・アドリエル

型 大悪党 (日蝕の加護)

サブタイプ  改造屋 


技:暗い火 暗き炎の種子 機械化 改造 浸食 


コンラッド・マクダナル


型   防人

サブ  羊飼い


技:群体誘導 改造場 協力  



---------


まずい、どうする? どうする?

わからん!


何でこんなことに!

魔上人が叫ぶ。

アスファルトの上、降りかかる瓦礫を受け止めながら。


「おんどりゃぁ! あんの狂人めがぁ! おめーら、徹底抗戦じゃ! 迎かえ撃て!」

幹部連中がテキパキと動いていく。


「ゼフの奴め、お前が武闘派として知られているのはこういう戦いばかりするしか能がないからじゃい。ワシはお前よりずーっと賢い! 戦いでも貴様に後れは取らんわ!」


そういうや否や、独り何かぶつぶつと呟きだす。


―兎に角3Fに連絡せにゃマズイ。

それとジェシーは… ここにおる!

後はアダムに。あとオジーもや!

頼むであいつら! こいつらならきっと、

きっと! あのキチガイのゼフにだって勝利してくれる!


すげぇー奴らを見つけ出して利用する!

それが出来るやつがこの世で最も、最ぉっとも、強くて、賢くて、偉いんじゃい! 



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