3話 悪魔襲来2
「いや、構わない。そのかわりに適正と系統とやらについて聞きださせてもらうよ。」
ハンカチから傀儡を出す。
シャドウと新型ベルシモック、
シャドウ配下に編入したヒト型異界獣2体、そして鳥型異界獣3体も。
「あれ? ずいぶん仲間が出てきちゃった。
これ全部操っているなら精神適正は間違いないね、お兄さん。」
精神適正ね…
戦闘開始。
距離を詰めて来ていた二人の襲撃者に多属性のブレスが吹き付ける。
亡霊の外骨格に覆われた触手が肩から鎌首をもたげていた。
少年と牧師が咄嗟に回避。共に動揺したように目を見開く。
ブレスはただの目くらましだ。
シャドウが強化散弾を少年に連射。
「うっ! …」
YOYOで散弾を弾けずに回避を選択するも、ダメージを受けた。
攻勢を継続させないよう牧師が突っ込んでくる。
先ほどよりも断然速い。
いつの間にかナイフはロングソードほどの大きさに変化。
連続する強力な剣戟が突風のように襲い来る。
アインと呼ばれていた少年をシャドウ班で抑え込みつつ
目の前の凶悪な面構えの敵の猛攻をいなしていく。
回避の度に触手槍で牧師の体を突き刺していくが、悪鬼は止まらない。
此方の懐に入り込もうとする。頭上から
目を狙うように鳥型エイリアンを仕掛けるが、黒い刃で斬られた。
瞬間
2体の鳥型異界獣の灰色の肌に黒い血管が浮き出し膨張
皮膚が裂けて血が一気に噴き出す。
鳥型エイリアン傀儡は瀕死状態。
損傷が酷すぎる、破棄せざるをえない。
「……絶対に受けたくない攻撃だな。」
「安心しろ、オマエノ魂をあらん限り汚してから殺してやる。
貴様のような悪意に満ちたゴミくずは直ぐには殺さん。」
「悪意に満ちてないけどな、自分を投影してるんじゃないか? 己の良心と向き合えよ。」
「ダマレェェ! キサマァ!」
牧師と会話した隙に横目で少年の方を確認。
シャドウの方は上手く少年を抑え込んでいた。
ただ散弾も他の弾薬も無限じゃないことがばれたらマズイ。
すでに半分以上使ってしまっている。
あまり時間をかけていられない。
激高し、斬りかかって来た
牧師の右腕を切り落とそうとした時。
敵がふいに剣の切っ先をこちらに向けて何か唱えた。
黒い炎が出現し、こちらを包みこむ。
新ベルシモックが割って入り、盾となるがそのまま牧師に切りつけられる。
割って入り直し、カウンター気味に相手の右腕を切り落とすことに成功。
「貴様、二度までも! 暗き焔の苦しみを知れ!」
ベルシモックの体が何の前触れも無く発火、激しく燃え上がる。
血管が浮き上がり火が点き燃え盛る血が勢いよく噴き出した。
しかし2秒もせずに鎮火、出血も止まる。
----新型特殊傀儡 ベルシモック
怪人型 D・デュラハン系統
ベルシモックにはあの時倒したネフィリムの一部を素材にし
半ば融合させる形で改造を施した。
更にタフになっており、特に暗黒属性には滅法強い。
その上ベルシモックの元々有していた優れた再生能力に各種耐性。
先ほどのエイリアンほどのダメージにはならない。
「白蓮、召喚。」
周囲に白い蓮の花の霊体が現れる。
蓮から癒しの霊気が噴き出して俺と傀儡達を回復していく。
さらに俺と仲間たちにバッドステータス耐性も付与。
特殊な黒い刃を受けてもすぐにダメージが収まったベルシモックに
焦ったような表情で凶相の牧師が襲い掛かる。
一息で横から踏み込み斧槍で突きを繰り出す、それを回避した隙に
ベルシモックが牧師の残った左腕をつかみ拘束。
牧師の体の霊気が瞬時に増幅し、ベルシモックを無理やり振りほどき離れる。
すぐさま追いかけてゴーストの触手槍と俺の斧槍で追い詰める。
牧師は左手のみで応戦するもどんどんと手傷を負って行った。
「チッ…、やりずらい! いい加減にしてもらいたいところだね。」
アインと呼ばれていた少年が周囲に何か蒔いた。
「まだ試作段階だけど、使わせてもらうよ!」
鉄球? コロコロと転がった
拳大の鉄球が途端に宙に浮き周囲の瓦礫やバイクなどを
磁力があるかのように引き寄せて合体。膨張。
それは直ぐにバイクほどの大きさになり空中で歪な音を出しながら形を変えていく。
機械に変形したソレは独楽と海月の合わさったようなフォルムであった。
電気のように迸る霊気を纏いながら高速回転を始め
シャドウと配下のエイリアンたちに襲い掛かる。
回転する触手金属独楽の突進をモロに受けたエイリアンが2体吹き飛ばされてきた。
回避する。
少年のヨーヨーが高速で飛んできて牧師に接着。
一瞬で牧師が少年の隣に戻された。
「いったん、仕切り直しさせてね。」
「アイン感謝する。」
2つの海月独楽が高速で突っ込んでくる。
結構な質量、霊気の量もだった。まともに受けたくない。
回避に徹しつつ、地面に落ちていた牧師の右手を霊気崩壊の槍で消滅させる。
中年の牧師は少年の盾となりながら傀儡を斬りつけるが、成功しても
手ごたえが無くなっていることに苛立ちを隠せなくなっている。
ホワイトロータスが咲いている今、
俺たちにその手の攻撃は殆ど通らない。
ただ影の散弾はもう切れる、白蓮もあとどのくらいで散ってしまうか。
2人の悪魔崇拝者は疲弊していく。
此方としてもそろそろ片をつけたい。
「ワシの中に撤退の文字はないが……」
「今回は引こう、カルロ。想定外の敵だった、お叱りは一緒に受ければいいよ。
これは完全に負け試合。」
「アイン… すまなんだ。」
「そうはさせないけどな。」
やすやすと帰す気は全くもって無いことを告げておく。
牧師が懐から何か小瓶をを取り出し口に含んでからてサッと刃にかけた。
ヤツの体の循環していたマナがどんどん膨れ上がっていく。
黒い螺旋剣を覆っていた霊気にも何かが混じった。
(何だ?)
―コンラッドからもらったアイテム使わせてもらうぞ。
牧師が呟いた。
最後の猛攻が来ると身構えた時だった。
凶相の牧師は傷ついた少年を背後から禍々しいマナを纏った剣で斬りつけた。
少年が驚愕で目を見開き片膝をつく。
その隙に間を置かず脱兎のごとく逃げ出した。
右腕に霊気を大量に込めハルバートを投擲。
ヤツの肩を抉ったがそのまま獣のように全速で駆けてゆく。
斧槍が飛んできて手元に舞い戻る。
「ガァッ、カルロ…」
少年に黒い炎が纏わりつき独楽やヨーヨーが手あたり次第周囲を破壊しつくす。
暴走する触手機械独楽とUFOヨーヨーをいなしながら
込められている霊気を少しづつ削いでいく。
チッ
……暴走状態にさせる攻撃か。
あの糞野郎。仲間を犠牲にして逃げるとは。
ヨーヨーの動きが大人しくなった所で
意識が朦朧としている少年の懐に飛び込み手刀で意識を刈り取った。
大分時間稼ぎをされてしまった。急いでヤツを追う。
街の墓所のほうに逃げたはずだ。
通りを駆け抜けていき、ファストフード店と住宅地の中にある高校の校舎を過ぎた所。
霊園を囲む塀の中。墓所の一部が光った。塀を飛び越えるとポータル。
プラズマのように発光している。
こんなところにあったのか。
周囲の気配を探るがやつはもういない。
おそらくこのポータルを使って逃げた。
深追いは…
どうするか…
鳥系エイリアンをポータルから送り込む。
視界が悪いが、どこかの砂漠か荒野らしきところに出た。
周囲を見渡す。人っ子一人いない。逃げられた……
不意に心臓がトクっと脈打った。
右手からANKHが出現。
ANKHがポータルと共鳴。
ANKHが発光し振動を始めた。
そして静まった。
プラズマがANKHの形に変化。
俺の影響下に置かれたのがわかる。
映画館前まで戻るとあの少年。
あちこちが焼けオレンジ色のストリート。燃えている街に小雨が降り始めていた。
アインが濡れた車道に仰向けに倒れていた。
まだ息がある。天を向いて一点を見ている。
少年の眼からは涙が流れていた。
もう霊気が殆ど尽きている、何も出来ないだろう。
「さて、仲間には裏切られたようだし。 質問に答えてくれるか?」
「……別に、元から期待してないよ。答えるのはどうしよっかな… フフフ。」
少しぼうっとしたような調子でアインが言った。
「お前たちは誰だ? 悪魔崇拝者?」
「そうだね、ただのカルト教団だよ。悪魔を崇拝していろいろ正当化してるのさ。」
「あまり、信心深くなさそうだな?」
「元々教団の子供とかは、生贄とかにされる側なんだよ、でもその中から才能やらを見出されたりして教団側に回るパターンもあるんだ。
なんの才能もないけど好かれたりとかもね。」
「そうか、超越者とかネフィリムは?」
「世界の終わりは予言されてたんだ、誰が予言したかは知らないけど。
教団の一部は信じて準備してたのさ。」
「ネフィリムの繭とは?」
「力を得るために一度あの存在になるんだよ。そして十分力がたまったら僕みたいに人間に戻るんだ。今度はネフィリム以上の超越者としてね。」
「適正と系統というのは?」
「ごめんね、もうあまり喋る力がないんだ…」
「……助けてやると言ったら?」
「もう、無理だよ…」
「裏切られたんだ、未練はないだろう。忠誠を使うなら助ける。」
「い、今更…」
「勇気を出せ。 痛みを受け取れ。」
アインは力なく小さく頷いて、そのまま目を閉じて眠った。
「ホワイトロータス。
俺の仲間を癒せ。」
白い霊体の蓮が出現。癒しの霊気を放出し始める。
漂う霊気がアインの中へと吸い込まれて行った。
----敵対勢力 幹部 離反
アイン・ショービル
超越者
オカルト発明家 LV2
ヨーヨーUFO 独楽クラゲ 微再生 各種耐性 天才児の呼吸
発明 武具開発
―がANKHに忠誠を誓。
ANKH?
なんでANKHに忠誠を誓うんだ?
勢力…
俺の勢力名がANKHになっているのか?
謎だらけ。
あ、でもあのオッサンからANKHを手に入れた時
何となく自分のものだったってことはわかった。
このANKH。昔の俺の所有物か。
俺の勢力。
アインを抱えて店に戻っていくときに
交差点近くで何体かのヒト型がこちら手前まで転がって来た。
エレーニとアントニオがイヌ型やヒト型と戦っていた。
ヴァンパイアの給士は敵のマナと血を吸収しながら
銃と剣を巧みに使いながら戦闘している。
トニオは人狼と化してエレーニのカバーをしながら
空手か中国拳法かというような動きで
マナが凝縮された拳で敵を打ち殺していく。
2人とも成長が早い。
まさかここまで戦えるとは予想していなかった。
襲撃が続いて成長が続いたのもあるだろうけれど。
----エレーニ・ルッソ
ウェイトレス ヴァンパイア LV2
武器生成 吸血 再生 血まみれ蝙蝠 チップ徴収




