これで役に立てますか。
プレゼント、楽しい嬉しい響き。それがまさか彼から私になんて嬉しすぎる。
彼の見た目は本当に綺麗で、この系統が好きな女子は皆んな彼を狙っている。逞しい系が好みの方からは不人気だが私は儚い美人さんの彼を好ましく思っているのは事実で。でもそれは見た目だけじゃなく任務を一緒にこなして会話して、また食事なども含めて同じ時を過ごしてから惹かれていった。
それに私の見た目が華やかじゃなく普通でも彼は優しく微笑んでくれるのとしっかりと女性扱いをしてくれる。
そんな憧れの彼からの贈り物。今日はなんて嬉しい日だろうか。
シャラシャラと入口の鈴が鳴る。
「いらっしゃいませ。…珍しいじゃん女連れなんて。」
「どうも、失礼なこと言うなカイン。」
どう失礼なのかわからないけど、調合屋さんとはかなり親しい様だ。入口をしっかり閉じながら耳だけを傾けた。
「そんで、アレか?」
「そうアレ。もういい加減できてるだろ。」
うわぁ、ちょっと男の人っぽい台詞にきゅんとする。
隅っこで棒立ちながら頭から花が咲いてる私に2人は気づかず話は続く。
「出来てるけどなぁ、実際やってみないとわからない部分が多くて。」
「だから連れてきたんだ。」
「……へ?」
私?と、自分を指差すとシヴァさんはこくんと首を振った。
「一緒に依頼をやってきたから思ったんだけど、」
私の銃には魔石が合うんじゃないかと、弾に細工を施して魔法銃にしたら弱点属性をつけてかなり戦闘も楽になると思われる。と彼は私の戦闘法を考えてくれていたようだ。
「あ、ありがとう。そんな事考えもしなかった。」
「魔力も大量に使う訳じゃ無いし、きっと便利。」
カインさんに向けた顔とは違ってにこりと微笑みながら私に向き合い両手で私の手を握って言った。自信がある、と魔法銃を勧めているんだろう。
「はい、やってみます!」
3人で試し撃ちの為に人目が気にならない草原まで足を運んだ。これからカインさんが用意した的を撃つ。弾は色とりどり、魔法陣を彫られ丁寧な細工がされているのを手のひらに転がして見た。美しい仕事だ。
「き、緊張しますね。まず赤から撃ってみます!」
右足のホルダーから拳銃を取り出し赤い色の弾丸を装填する。試し撃ちにしても2人に見られながら撃つのはとても緊張する。
引き金を引いて、
雷を型とったような赤の直線、ボアッと炎が的に当たり、撃つ感触でも今まで使用していたノーマルの弾丸よりずっと強力なことに気がつく。
メラメラと的を焦がし煙が上がる。
カインさんの指示で次はあれを消してみろ、と水色の弾丸を渡される。
「はい、次撃ちます!」
胸が高鳴る中頭を真っ白にしながら引き金を引く。水色の光が真っ直ぐに焦げた的へ走る。瞬間、バシャッと大きな音を立ててウォーターの魔法が成功したのがわかる。
「まぁ、成功だな。改良の余地はあるみたいだが。」
ふむふむの、自分の顎を撫でながらカインさんは何か考えているようだった。
シヴァさんは良かったね、上手くいった。と、喜んでくれた。私はその2人に何度も頭を下げてお礼を言う。
これで少しでも彼の役に立てそうだ、と胸の片隅に追いやった気持ちとハイタッチをする。
どうかまた一緒に依頼ができますように。