表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
秘密のメテオとリフレクト  作者: Flying Bear
新たな冒険、開始!
11/28

新たな冒険、開始! 5

「やっぱりおかしいよ姉さん。ここは距離的にエスカレア特別区内で間違いないっていうのならソードシステムの範囲内でもあるわけでしょう。魔物が発生するなんてやっぱりありえないよ」


「だから不思議だって言ってるじゃないの。スライムなんて無力で無害だから放っておいても構わないけれど、薄気味悪いわ」


「机上の空論より目の前の現実だろうよ。受け入れるしかねぇだろ」


 魔法の力をコントロールするソードシステムがあるからこそ、魔法技術が発展したエスカレア特別区。魔物被害も皆無という売りで多くの子供たちと寄付が集まっている。

 魔物退治で路銀を稼げなくなっちゃうけど、ソードシステムが広まれば世界中が平和になるだろう。


「そうだジュディス。魔物がいるってことは魔法が使えるってことじゃねぇか。ちょっと試してみろよ」


「やってみるよ」


 ポケットから指し棒を取り出して精神を集中させる。伸縮性があって携帯しやすい練習用のタクトだ。


「……ぅん…………はぁん……」


 溜め息のように力が抜けた発声と共に強い風が舞い上がる。廃坑内を吹き抜けた突風はかまいたちになって、スライムだけでなく壁の一部すら鋭利に削ぎ落としていった。


「うわぁ……ジュディスさん、すごいすごーい!!」


 レナは目を輝かせて大はしゃぎ。あまりの威力にみんなは絶句していた。


「ぼく、いつもの練習通りに使っただけなのに!? こんなに強い魔法を出したつもりなんてないよ!」


「やっぱりこの場所……ソードシステムの範囲外よ。それにしても相変わらずっていうか、ジュディスが魔法を使う時っていつも乙女みたいになるのよね」


 今の魔法が人に向けられていたらと思うとぞっとする。


「でもね、魔法を使うって、すごく……すごく……………………疲れちゃうんだ」


 力を使い果たして地面にへたり込んだジュディスが大きく息を吐いて呼吸を整える。強力な魔法は心強いけど、この様子じゃ何度も使えそうにない。


「のんびりいきたいところだがよ。今の騒ぎでやっこさん、元気になったみたいだぜ」


「やっこさん?」


 小さな水たまりだったスライムが寄せ集まって大きな塊になった。人間を飲み込めるくらいになったスライムの怖さは、呼吸を止められてしまうことだ。


「きっとジュディスさんの魔法が呼び水になっちゃったんだと思うの。この場所は資源が乏しいし、魔物は魔力に敏感だから」


「マジかよ、下手に魔法も使えねぇ!」


 大きくなったところで動きの遅さはかわらない。剣で切り刻んで踏みつぶすだけで簡単に倒すことができる。スライムはある程度小さくなれば形を保てず消えてしまう。


「とはいえ、これじゃキリがねぇ…………ってラド、今、何か言ったか?」


「ううん、何も言ってないよ?」


 静かに耳を澄ますと、遠くから少しずつ気味の悪いうめき声が響いてくる。


「……ル…………ハ……タ…………イ…………」


 うっすらと黒い影がふたつ、揺らめくような不思議な動きをしながら近づいてきていた。


「ねねねねね、姉さん!!」


 地団駄を踏んだり壁を殴って暴れているようにも見えるのは自我が保てない亡霊?


「イル……ナ………イルナ……」


「タ……ガ…………タイ…………ガ……」


 これはこれで違った怖さがある。

 一目散にボクたちを襲ってくるのなら迎撃するんだけど、予測不能な行動の先を読むのは難しい。


「おいジュディス起きろ! よかったな、今度の相手は女だぞ」


 ぼんやりしたシルエットがマッドゴーレムだと判断できるようになった距離。先ほどと同じ相手だけど、確実に違う特徴があった。



 おっぱい。



「弾力すらない土の塊じゃないか!! 胸が膨らんでいれば女の子になるのなら、姉さんなんて男……」


 ジュディスは沈黙した。

 敵は必ずしも正面からとは限らないのだ。


「最初からこうすればよかったわ。いいかしら、こんな時は暴れる相手を殴って気絶させるの。水難救助では基本よ」


 スライムは水難じゃないし相手はマッドゴーレムなのに。


「さっきからイルナとタイガって言ってるけど自己紹介のつもりなのかな。最初に会ったゴーレムだって、確か」


「先手必勝!!」


 カイザーがドロップキックで奇襲をかけるとイルナの頭を弾き飛ばした。そのまま関節技で腕を捥いで踏みつぶす。タイガにも同じ戦法で圧勝の結果に終わった。

 ボクの出番だと思いきや、こうなったらもうカイザーひとりで十分なんじゃないかな。


「おとといきやがれってな。なんだラド、気にすんなよ。子供にとっちゃ魔物なんて恐怖でしかなかっただろ?」


「恐怖とかじゃなくて…………突然すぎてびっくりっていうか、残虐すぎるっていうか」


「そうそう。ラドの言う通りよ。あんた野蛮すぎ冷める」


「うっせぇ! 倒してやったってのによ。ところでレナ、こいつらも『魔力の余り』ってやつなのか?」


「うーん。土に魔力が定着してるのは確かだけどゴーレムって人が造ったものだろうし、おっぱいがある理由はわからないなぁ」


「欲しくても手に入らないヤツだっているんだ。その逆もあるんじゃねぇか?」


「カイザー、あんたもジュディスと一緒に地獄に堕ちたいの?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ