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京都タワー  作者: ジンジン
4/6

ムカデさん


2回目デートの待ち合わせは

京都タワー。


タワーの下に

大きな柱がある。

そこで、待ち合わせ。


私もタツヤも

近鉄沿線付近に自宅があるため

近鉄を常に使っていた。


近鉄を降りてタワーへ向かう。


時間よりずいぶん早く着いてしまったが

じっとしていられなかったから。


京都駅を背中にして正面に京都タワーが。

すでに様々なひとが待ち合わせているのか

柱付近は混んでいる。


京都タワー前の横断歩道は赤。

人混みの中、前をみると

あっ!

もういる!


背が高いからすぐに見えた。

タツヤは気づいていないようだ。

小走りに駆け寄り

横断歩道を渡り切ると…


あれ?いない?

さっきいたのに。


寒くてお店の中に入ったのかな?

どうしよ。まだ時間あるから探そうか。

それともここで待っていようか。

そんなことを考えながら

柱をぐるっと回ると


後ろから

『リサ!』と、

私の肩に両手をかけてきた。

振り返るとタツヤが。


かくれんぼしていたのかな?

お茶目な人。


『もう〜、さっき見えてたのにいないから

置いていかれたと思っちゃった。』と

私も冗談気味に笑う。


『こんな可愛い人置いてくなんてない、ない。』

相変わらず、嬉しくなることを言ってくれる。


早速手を繋ぐ。


『今日な手袋持ってきてん。

ほんでな、ひとつずつはめよ。

手ぇ繋いでるから、お互いひとつでええやん。』


この人、ほんとにお茶目。

でも、細かいことに気がついてる。


もう、私はすでにタツヤの虜になっている。


もしも、

もしも、今日

何か進展あっても

きっと拒まないわ。


私たちは

最初に出会った河原町通へ向かう。


バスの中でタツヤが

『俺な、実は落語サークル入ってんねん。』


えっ、どんなネタあるの?

聞かせて聞かせてー。

とねだったら


【ムカデさんの話し】を。


ムカデさんがせっかちなご主人と

出かける時もに

急かされるんだけど

靴を百足履かないといけない…


みたいな内容を面白可笑しく話す。


バスの1番後ろの席で

我慢しても笑い声が出てしまう。


年末の混んでいる河原町通は

今思うと渋滞で結構時間かかったが

ふたりでいたバスの中での時間は

いつもあっという間だった。


『どこ行く?まずパスタ食べよか?

美味しいお店あんねん。』


当時流行っていた【壁の穴】

パスタを二つ頼んで、分け合いながら食べる。

たいしたことじゃないのに

そんなことすら嬉しい。


それまで恋をしたことが無いわけじゃない。

高校から付き合っていた大好きな彼がいた。


高校1年の入学式の日

同じクラスで教室に入った瞬間

いわゆる『ビビビ』と

お互いに一目惚れした彼がいた。

その後付き合い、

卒業しても続いていた。


でも、彼は信州へ。

私は京都へ。


携帯電話もない時代

連絡手段は手紙。

お互いに寮だから電話は公衆電話。

なかなか声をきくこともままならない。


今なら考えられないよね。


それでもしばらく付き合いは続いた。

月に一度地元へ帰省し会う。

毎月だったのが日程が合わなくなり

2ヶ月に一度、3ヶ月に一度…。

けっして別れたとは思っていなかったが

彼のことを考える時間は少なくなっていった。


あんなに好きだったから

考えると苦しい。

もしかして、あっちの大学で

いい人できたのかな?

だから帰ってこれないのかな?

疑心暗鬼になって

さらに連絡が遠のく。

会わなくなって半年。


もう終わったよね。

私たち。

と、手紙を書いた。

返事は来なかった。

















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