初デート
私たち4人と
タツヤ達4人で即席合コン。
みな、それぞれ楽しそうに飲んでる。
全体を見渡す。
先輩のお姉さんは
持ち前のサービス精神を発揮し
カラオケにお喋りにと
場を盛り上げてくれている。
友達2人も
新しい出会いにワクワクドキドキしてる感じ。
私はといえばタツヤが横でニコニコと
自己紹介をしてくれているだけど、
なんだか恥ずかしくてあまり顔を見られない。
すると私の耳元で
『お店入った瞬間にリサがすぐ目に入って
声かけよって決めてたんやで。
俺、リサめっちゃタイプやもん。
あのお姉さんが横に来た時、
どうしよって思ったから
思わず立ち上がってしもた(笑)』と。
お酒で酔ったのが
タツヤの耳元で話すたびに息がかかって
顔がほてってくる。
おかまいないにタツヤが
『リサ、彼氏いる?』
『いないけど…。』
『俺と付き合わへん?』
さっき会ったばっかじゃん。
そう思って口に出そうとしたら
『明日、ふたりでクリスマスデートせぇへん?』
『クリスマスまだだよ。』
『ほんなら、クリスマスまで毎日デートしよ。』
くったくの無い笑顔で私の顔を覗き込む。
酔いも手伝って
『うん!いいよ。』
電話番号を交換して
その日は解散。
帰り道
皆がそれぞれの感想を。
リサだけええ感じやったなぁ。
うちら、楽しかったけど
ちょっと、違ったわぁ。
私の横におった人、彼女いるんやて…
えっ?連絡取り合ったの私だけ?
次の日、お昼過ぎに電話が。
『もう近くまで来てるよ。
お茶でもいけへん?』
えぇーっ!
昨日ちらっと、家はこの辺りって言ったのを
ちゃんと覚えていたんだ。
しかも、せっかちな人(笑)
何で来てるの?
どこにいるの?
『今日は車やからどこでも行けるよ。
今、〇〇の辺り。白いクルマやで。』
カーテン開けて外を見る。
あっ!50メートルに白い車が停まってる。
急いで着替えて車まで走っていく。
窓にコンコン。
昨日は恥ずかしくて、
マジマジ見れなかったけど
昼間見ると肌が綺麗。
ハンドル握る指も綺麗。
昨日、あれからどうしたとか
たわいもない話をしながら
車はどんどん走る。
どこいくのかな?
もしかして、このまま怪しいとこに(笑)
連れていかないよね?
少し不安になってきたところでタツヤが
『双ヶ丘の近くに女の子が好きそうな
ケーキのお店あんねん。
そこでええか?』
お洒落な喫茶店へ。
タツヤのお喋りは続く。
大学のこと、
家族のこと。
そして、彼女がいたけど半年前に別れたことも。
この人って、なんでもあけすけに話してくれる。
まだ私のこと、ほとんど知らないのに。
疑うこともなく、自分のことを何でも。
いい人みたい。
私が警戒しているのを分かってるんだ。
頭も良さそう。
でも、
頭も良くて、
かっこよくて
背も高くて、
何より育ちが良さそう。
こんな素敵な人が彼女いないなんて不思議。
私のどこがいいのかな?
そして、私も少しずつ自分の話を
聞かれるままに話す。
気がついたら、
もう1時間半も経ってる。
とりあえずお店をでる。
『なぁ、甘いもんついでに、
もう一個、甘いもん食べに行こか?』
お昼を食べそびれていたから
その誘いはありがたかった。
ケーキの次は何?
『あぶり餅って言ってな、知る人ぞ知る
美味しいお餅やねんで〜。』
初めて聞いた。
あぶり餅?
双ヶ丘から北へ上がって行く。
※京都は北に向かうことを【上がる】
南に向かうことを【下がる】と言います。
今宮神社が見えた。
車を停めて今宮神社へ。
寒いけど境内をぐるっとお散歩。
さりげなく手を繋いでくれる。
『手ぇ、寒いやろ?』
いや、この人、女慣れしてるー。
でも、こんな風に手を繋いで歩くなんて
もしかしたら初めて。
照れちゃうけど嬉しい。
そのまま境内を
入ってきた時とは違う門から出る。
すると、そこには時代劇の舞台?
なんかこの風景見たことあるような。
道の両脇にこれまた
江戸時代にタイムスリップしたかのような
歴史を感じるお茶屋が並ぶ。
そして、甘ったるいような香ばしいような
いい匂い。
『ここな、TVドラマや時代劇で
今でもよぉ、使ってるとこなんやで。
俺の生まれたとこの近くなんや。
しょっちゅう来てたわ。』
それでか…
ドラマで見たことある感じする。