レッテル貼り
「大体、私は他人にレッテルを貼るヤツが嫌いでしてねぇ……。ほら、最近、よく居るでしょ。ネット上で、気に入らない意見に『感情的だ』ってレッテルを貼れば論破出来た、って思ってる馬鹿が」
「ええ、確かに、今回の件の切っ掛けになったSNS上の論争を見ましたが、貴方の意見を『感情的だ』って決め付けたヤツの方が、言ってる事が支離滅裂でしたね」
「でもね、あいつが如何に私から見れば馬鹿だとしても、事情を知らない第三者が、私があいつに『こいつは馬鹿だ』ってレッテルを貼ってるように見える言動をするのは、やっぱり私の信条に反するんですよ」
「あぁ、なるほど。そこまでは同意出来ますよ……。でもね……」
「『でも』何でしょうか?」
「相手の自宅を突き止めた上で、相手を拉致して、顔に『私は底抜けの馬鹿です』ってタトゥーを彫ったら、そりゃ……」
「あいつは私にレッテル貼りをしましたが、私は、あいつに対してレッテル貼りなんてしてませんよ」
「わかりました。容疑は否認されないんですね。じゃあ、その方針で弁護をします。で、次回の面会ですが……」