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4 門兵さんは聖人のようだ

 


  町に入れてもらい休憩所に案内された。

 

  「何もないところですが、まあ座ってください」


  休憩所の中には椅子五つと長机一つだけが置いてあった。とりあえず言われた通り椅子に座る。


  「ん〜何から話しますか……そうですね自己紹介からしますか。私の名はバークです。 まあ気安くバークと呼んでください」


  「バークさん僕の名前は小泉悠です。悠って呼んでください」


  「では悠、何か先に聞きたいものはありますか?」


  さっきの会話で帝国とか言っていたからそれを聞こうか、それとも良い就職先か、貨幣の話を詳しく聞くか……


  「ではまず貨幣の話を聞きたいのですが」


  「先ほど軽く説明しましたが貨幣の単位はセント。そして一セントはこの銭貨と呼ばれる硬貨一枚です。基本的に端数として使用されています」

 

  バークさんはポケットから小さなコインを取り出して見せてくれた。

 

  「次に十セントでこの銅貨一枚です。まあこれもほとんど端数で使用されますが、小さな飴なんかがこれ一枚ですね」


  バークはおそらく銅製のコインをまた懐から取り出すと机の上に置いた。


  「そして百セントがこの鉄貨です。まあさっきも言いましたが安い串焼き一本程度ですね」


  バークはまた懐から小さな鉄製の硬貨を取り出し見せてくれる。


  「で、これが千セント銀貨です。だいたい素泊まりで千セントと少しです」

 

  また銀製のコインを取り出し見せてくれる。


  「一万セントで金貨という感じに分類されています。 ここまでが基本的に平民が使用する頻度が高い貨幣です。あいにく持ち合わせがなく金貨は見せられず申し訳ないです」


  「これより上の硬貨もあるんですか?」


  平民が使用する頻度が高いということはこれより上の硬貨があるということだろう。


  「そうですね。百万セントで白金貨、一千万セントで大白金貨です。それらは貴族間で使われたり、国との間で使われることがほとんどです」


  「では先ほど帝国と言っていましたが国はどのようになっているのでしょうか」


  「まずこの大陸には三つの国があります。北西の王国、東の帝国、南の連合国です。ここは連合国の帝国付近の町ですね」


  「三つの国の特徴はなんですかね」

 

  この先どの国に住むかの大事なことである。あまり好戦的な国や悪政を敷いている国には住みたくないのはあたりまえだ。


  「そうですね……王国は軍事力あり、治安が良いですが少し税がきついそうです。帝国は人間至上主義で亜人にはかなり大変な国のようです。ですがもっとも大きい国で農作物の収穫が帝国は三ヶ国の中で一番です。そしてここ連合国一番新しい国で、軍事力は三ヶ国で一番弱いですが人間も亜人も共存している国で最も平和ですね。王国や帝国などからの移住者も近年増えてきたそうです」


  どうやら今いる連合国が安全なようだ。だが一人の言うことを全て丸呑みにするのは危険なので心の中に留めておこう。


  「では僕が働ける場所はあるでしょうか?」


  できればこの世界でも将来ニートしたいのできちんとお金が貯められる職業はないだろうか?


  「おすすめは給金が安定している衛兵や門兵などですが、腕っ節に自身があって一攫千金を狙うなら冒険者、下積み時代を乗り越えられるなら商人なんかも安定していますね」


  どうやらラノベの定番のような冒険者もあるようだ。

  現代知識を使い商人になるというのもありだが、異世界人は珍しいながらもいるらしいので二番煎じになる可能性もあるし、異世界人の間で現代知識チートはしない。なんて暗黙のルールがあった場合何も知らない僕は真っ先に何かされる可能性もある。僕以外にも異世界人がいるかもしれないのに現代知識でいきなり何かするのは怖いな。

  日本で武術を複数やっていたし一度冒険者になって一攫千金を目指してみるか……


  「そうですね一攫千金の夢見て冒険者になってみたいですね」


  「そうですか。 冒険者になるためには冒険者ギルドで登録をする必要があります。登録料は確か千五百セントだったはず……」


  千五百セントか……どうやって資金を調達しようか。

  するとバークがおもむろに立ち上がり休憩所の隅の収納スペースから袋を持ってくると

 

  「ではここに五千セントあります。どうぞこれを使ってください」


  「えっ!いいんですか?」


  「 実は私は人の嘘が見抜けましてね。異世界から来たというのも嘘は言ってないようですし、その格好からして本当に無一文のようですので、これを使ってください。私が最初にこの世界で会話をしたようなのにみすみす死んでしまったら気持ちが悪いですしね。このお金は返さなくていいですよ」


  バークはすごくいい奴かもしれない……身知らずの人間にこんなに親身になってくれるなんて現代日本でこんな人がいるだろうか? というか嘘が判るとはすごいな。


  「では私の休憩が終わらないうちに冒険者ギルドで登録をしましょう。善は急げという奴ですよ」


  どうやらバークは僕を冒険者ギルドまで案内してくれるそうだ。

  もしかしてバークは聖人か?

 


 

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