11 黒いスライム
「で、そこのかわいい声をしてる黒イムお前は何がしたいんだ」
「黒イム?!たしかに私の体くらいですけど!!」
ほんとに喋れるっぽい。この黒イムをどうするか……やっぱり他と同じように潰すか……にしても声かわいいな。
「特に何も無いなら今からお前を潰すけどどうする?」
とりあえず喋れるのならそこそこ知能は高いだろう。まずは理由がないなら潰すと脅しておこう。
「あの……ですね……」
黒イムはなんだか弱々しく話し始めた。
「いや、飼って欲しい……とかじゃないんですよ……ただ、ちょっと今日から後ろをついていっていいですかね?……なんて……いや、餌が欲しいとかじゃないんですよ……食べ物なんてそこら辺の草とか余り物いいんですよ……ただ、こう、ついて行きたいな〜なんて……それだけなんですよ。迷惑は掛けませんから。だから潰さないで!ダメならいいですから!!」
こいつほんとにかわいいな……まあ、敵意がないならな〜かわいいしな〜〜飼ってみようかな……
「今から町へ僕は戻るんだけど……付いてきたいの?」
「だめ……ですか?迷惑は掛けませんから」
ぷるぷるとしているがダメか聞いているスライムの声は悲しげだ。
「とりあえず付いてくるならどうぞ、としかな……」
「迷惑にならないよう、一生懸命ついて行きます!」
「ふんすっ」なんて鼻息がスライムから聴こえてきそうである。かわいいな……ほんと。
とりあえず町へ戻ってから決めよう。
***
一体僕は何を目指しているのだろうか……
スライムを肩に乗せて門にたどり着いた。
町へ戻る途中までポヨンポヨンとスライムは後ろを付いてきたのだが、途中からあまりにスライムが可愛くて、情が移ってしまい肩に乗せてしまった……
だって、歩いている時「うんしょ、うんしょ、」って言いながら後ろをついてきたんだよ!可愛すぎだろこいつ……いちいち行動が反則級の可愛さで構成されてるんだよ、これは情が移るよ。
ちょっと意地悪して歩くスピードを上げたら「あっ……」て言ったと思ったら頑張って後ろついてきたんだよこの子……可愛すぎかよ。
とりあえずバークに会って相談しよう……門の前で番をしていたバークにこの黒いスライムのことを相談する。
「お帰り、スライムは倒せたかい?……ん??」
バークは挨拶の途中に黒イムに気がついたようだ。
「えっと、バークさんに相談があるんですけど……いいですかね?」
「やっぱり、その肩の上の黒いスライムのことか?」
「ええ、スライムを倒して町に戻ろうとしたら見つけました……潰そうと思ったんですけど他のスライムと違う色だったので棒でつついたら喋りまして……付いてきたいって言うのでどうしようかな?と」
「喋るほど知性があるモンスターはかなり珍しいんだが……よく会ったな……飼うのか?黒いスライムで喋るなんて高く売れそうだが……」
「えっ、私売られちゃうんですか!」
売らないで!と小動物のように黒イムがぷるぷると震える。かわいい……
「大丈夫売らないから……」
僕は黒イムを軽く撫でながら言った。
「この子飼うにはどうしたらいいですかね?」
「そうだな、まず冒険者ギルドで従魔登録するところからかな」
どうやらギルドで従魔に登録すれば良いらしい。
「どうする?僕の従魔になるかい?嫌ならいいけど……」
「私従魔になっていいんですか?ほんとにいいんですか?」
不安そうにしている黒イムも最高だ……真面目な顔をしているが内心かなり頰が緩んでいる。
「お前の意思で決めてくれていいんだぞ」
「なります、従魔にしたください!」
よし、クエストの報告と従魔登録のためにまずはギルドに行くか。
この作品のヒロインはこの黒イムだー!!!擬人化はしません……恐らく、多分、十中八九……展開に困ったらするかも……多分しません。( ᵕᴗᵕ )