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手当ての達人  作者: たてみん
第1部 序章:ここはVR?それとも異世界?
8/63

これからのことを話合う

よろしくお願いします。

次回を決める前に次回予告を書いてしまうから大変だったりします。


今回の話で、おおよその主人公の人物像が確定してます。

どうしてそういう考えになったのか、はどこかのタイミングで出せればと思います。

移動中。折角の機会なので雑談を交えながらお互いの事を知る時間に使うことにした。


「それじゃあ、エリーは、これから行く国の更に南の国の生まれだったんだ」

「ええ、お父さん達は今もその国で商会を営んでいます」

「商会ってことは結構成功しているんだな。でも、だったらどうして、エリーは行商人っぽいことをしてるんだ?家出でもしてきたのか?」

「これでも私、れっきとした行商人です。それに家出じゃなくて、修行の為に各国を回ってるところですよ。我が家の方針で、成人したら3年は外の世界を知る為に旅に出すらしいくて」


どこの魔女っ子展開だとも思ったが「可愛い子には旅をさせろ」なんて諺があるくらいだから、割と良くあることなんだろう。


「で、今は家を出てからどれくらい経ってるんだ?」

「今月で1年と3ヶ月になりますね」

「意外と長いな。その間に、この前みたいに魔物の襲撃にあったりしなかったのか?」

「あー、これまでは魔物避けポーションを使ってたの。ポーションが効かない相手って足が遅かったり、群れない魔物が多いんで、どうしても逃げられない時は何とか撃退出来てたんです。

これでも格闘技にはそれなりに自信があるんですよ」


そう言って馬上でシャドウボクシングをするエリー。

なるほど、確かに様になってる。それに転倒した馬車から飛び降りたり、今も長時間馬に乗っていても疲労していないのは、普段から鍛えている証拠か。なら、戦力に数えても大丈夫だな。


「そういう事なら、その腕前を見せてもらおうか」


そう言いながら道の先を指差すと、盗賊と思われる格好の男が3人、道をふさぐ様に林から出てきた。


「止まれ!!」

「それは無理だな」

「え?」「は?」「ちょっ」「ヒヒィン(うらっ)」「ごはっ!」


いや、走る馬の前に出てきたら蹴られるよ、普通。そうして3人のうち1人を踏み倒して5m先で馬から降りる。

さて、切れ味の悪そうな剣を持った男が二人と、まだ林の中に何人か隠れてるな。


「エリー、その二人頼むな。俺は隠れてる方を対応してくる」


足元の石を拾いながら、止まれと言われた辺りまで戻ると、茂みから更に二人出てきて俺を囲む。


「てめぇ!ふざけた真似しやがって。ぶっ殺してやる!」


俺は武器を構えながら啖呵をきってくる奴は無視して、林の中に意識を向けると……いた。木の上か。

まずは遠距離攻撃を無くす為に、隠れながら隙を伺ってるそいつに向けて石を投げつける。


「ぐぁっ」


ドサッ!と頭から地面に落ちて行った。多分すぐには動けないだろう。

しかし、今の石も基礎スキルのお陰なのか、威力と精度が高い気がするな。

まあいい、これで不意討ちされる危険性はかなり減ったはずだ。これであとの俺の役目は囮だな。

レベルの概念がある世界なんだ。余裕のある内に、二人(一人と一頭)に経験を積ませる方が得策だろう。

俺の意図を理解してくれたのか、エリーが音もなく一息で踏み込むと一番近い背中を向けていた賊の脇腹に鋭い抜き手を放つ。

なるほど。自信は確かなようだ。殴られた賊はその場に崩れ墜ちた。

さらに追い打ちをかけるように、横の男にバカウマが飛びかかっていく。段々馬っぽくない挙動になって来た気がするな。今のも的確に首筋に蹴りを突き入れてたし。


「くそっ!なんなんだ、お前ら」

「ただの善良な一般市民だよ。きっと」

「ジンさん、自分できっとって言っちゃうんですね」


そんなことを言いながら、エリーが残った二人も叩きのめす。

エリーは素手なので、意識を失って倒れているだけだが鮮やかな腕前だ。


「それでジンさん。この生きてる人たちどうしますか?」

「武器と金目の物を貰って放置だな」


そう言いながら、取れるものはアイテム空間にしまっていく。


「えっ!?それで良いの?」

「あ、息の根を止めておいた方がいいか」

「そうじゃなくて、助けたり、近くの街まで連行したりはしないのかなって意味ですよ」


じと目でそう言ってくるけど、何か誤解があるような。あ、そっか。もしかして俺の事を、全ての人を助ける聖者なんだって勘違いされているのか。

最初会った時が、見ず知らずのエリーを助けて何も見返りを求めなかったから、そう思われているのかもしれない。


「エリー。勘違いしてるかもしれないけど、俺は聖人君子ではないよ。エリーの時みたいに困ってる人が居れば助けるけど、悪意を持ってこちらを傷つけようとした相手を助ける気はないよ」

「そういうものなの?」

「ああ、そういうものだ。幻滅した?」

「いえ、そうじゃないけど……」

「じゃあ、ここに留まっていても仕方がないし、行くぞ」


そうして俺たちは再び移動を開始するが、空気が重い。やっぱりさっきのやり取りを気にしてるみたいだな。

流石にこのまま旅をするのは気まずすぎるな。一応理由くらいは説明しておこう。


「なあ。エリーは、将来の夢って何か決めてるか?」

「ゆめ?」


突然何の話?って疑問符が飛んでるけど、気にせず続ける。


「そう。漠然としていても良いけど、自分の人生の優先順位を1位も2位も3位も独占するようなものってあるかな」

「そうですね。今それを探し中って所かな。この旅の中で、少しずつ見えて来たものはあります。……ジンさんは、もうその夢を持っているの?」

「いや、俺も正直まだ決めてはいないさ。ただそれでも、守りたいものを守ることだけは決めているんだ。

だけど、今の俺の力で守れるものはそれほど多くは無い。だから守るものと守らないものの線引きだけはしておこうと思っているんだ。

だからあいつ等に容赦はしなかったし、今後敵対する相手が現れても同じように対応すると思う」

「そっか。守るものに全力を注ぐってことなんですね。それで言うと、私は守るものの方に入れたんですね」

「そうだね。更に言うとこれから一緒に守る仲間になってくれると嬉しいね。そうすればもっと多くのものを守れるようになるから」

「わかりました。じゃあ私がジンさんの大切なものを守る仲間第一号って事ですね」


そう言いながらエリーはようやく笑顔を向けてくれた。

うん、そうだな。これからはこうして仲間を作っていくことに力を注ぐのも良いかもしれない。

そう思っていた所でバカウマが一声嘶いた。


「ぷっ、バカウマが仲間一号は俺っすよ、だってさ」

「あははっ、そうね。ごめんなさい、忘れてたわ」


皆で笑いながら移動を続ける。

そうして2日程、街道を進み、宿場町を越え、国境となっている川に到着したのだった。


多少打ち解けてきたということで、口調が女の子っぽくなるエリー。

一応自衛くらいは十分に出来るイメージです。でないと一人旅は出来ません。



間違った次回予告:

穏便な国境の渡り方「川を泳ぐ?空を飛ぶ?それとも砦を爆破する?」正解は……

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