宣戦布告
よろしくお願いします。
怒涛の展開が止まりませんorz
気が付けばあっという間に、残り数話で第1部完結となります。
設置しておいた帰還用の転移魔法陣に戻って来た俺は、まずはクキさんに報告することにした。
「なるほど、そうでしたか。それではこれ以上、地上には影響はないということですね」
「はい。ただ女王蟻はそのままですから、ダンジョンはどんどん拡張されていくとは思います」
「まあ、地上に魔物があふれ出てくることさえ無ければ大丈夫です」
「そうですね。では、俺は穴を塞いできます」
「はい、よろしくお願いします」
クオンにも挨拶をして、俺は飛行魔法で上空に上がる。
さて、穴埋めだな。
ちょうどいい感じにアイテム空間に天の岩戸の大岩を入れたまんまだったから、これのコピーを作って穴にはめ込んで行けばいいだろう。
まずは手近な穴まで移動して、アイテム空間から大岩を取り出す。
1回目は左手を大岩に当てて、右手を適当に地面に当てながら魔力を流す。
左手から大岩の能力をコピーして、右手の土を固めながら能力を反映。
そうすると、簡単には動かない土の塊が出来るので、これを穴にはめれば、穴埋め完了だ。
2回目以降は既に能力のコピーは終わっているので、両手で土の塊を作ったお陰で若干スピードアップ出来る。
ただ、穴は広範囲に存在するから探し回るだけでも大変だ。
……
…………
………………
そうして3時間掛けてほとんどの穴をふさいだ。
一応2,3か所は今後ダンジョンを攻略したい人向けに残しておこう。
これで、この地の問題も解決でいいよな。
さ、ジョスタのお陰でバクの様子も分かったし、早く魔王からバクを取り戻しに行くか。
そう思った時、
ズズズ……ン
っと、地震か。
この世界に来てからは初めてだな。
震源地が何処かまでは分からないけど、また誰かに呼ばれる前にさっさと行くか。
再び飛行魔法を展開して、一路最初に召喚された王都を目指す。
途中、また南に向かう魔物の大群が見えたけど、距離もあるし無視だな。
さて、そろそろ王都が見えてくる頃だと思うんだけど。
というか、魔王が降臨した場所だからもしかしたら更地になっていてもおかしくないのか。
そして、その予想を裏切って、王都があったはずの場所は、更地すら無かった。
……穴?というか、また穴か。
ただ今度のは直径100mを越える大穴だな。
さらに穴から瘴気が湧き出しているところを見ると、ダンジョンの入口とはまた違うのかもしれない。
まあ、どちらにしても早めに塞いでおいた方が良さそうだ。
そう思って大穴のそばに着地する。
ズズ……ン
また地震か。
ただ今度のはさっきよりも小さいから余震の類いだろうか。
そう思ったところで、今度は太陽が突然翳った。
何事かと思えば南の空に巨大な人影が映し出されていた。
『新大陸に住む原住民どもに告げる。我は魔王ゲロスグハゲルである』
人影から拡声魔法でも使ったのか声が届く。
あの人影も幻影魔法の一種で空に映し出しているだけだろうな。
ジョスタの話では魔王ってそんなに巨大ではないはずだし。
そんな魔王のスピーチはまだまだ続くようだ。
『我を召喚した女が我と交わした契約は【この大陸を我が物とせよ】だ。
ただし契約の対価が十分用意されていなかったので、最低限の召喚者たちの命で補って置いた』
あ、あの演技下手な巫女姫様、食べられてしまったんだな。
まあ自業自得としか言いようが無いけど。
『我はこれより契約に基づき【この大陸を我が物とする】為に、ここに魔王国の建国を宣言する』
その言葉と共に、魔王城と思われる城の幻影が魔王の下に映し出された。
……あんなもの、いつの間に建てたんだろう。
『我はこの地に来るにあたり、魔神様より神器を授かった。
その内の一つがこの神魔結晶だ。』
そう言いながら黒い球を掲げる。
うん。幻影越しにも分かる。あれはバクだ。
しかも相当エネルギーを取られているようで反応が弱々しい。
『我はこの力を使い、北の大地に魔界へのゲートを開いた。
先程地震があっただろう。あれはこのゲートが完成した証拠だ』
ゲートって、この大穴の事だよな。
それで瘴気が溢れている訳か。
『これで我の呼びかけ一つで十万を超える軍勢を招致することも可能となった。
貴様らは既に抵抗するだけ無駄と知るがいい。
だが我も無慈悲ではないし、無駄な労力を使いたくも無い。
もし我が傘下に入りたいという者が居れば受け入れよう。
ただし、魔神様の話では我より先に勇者がこの地に降り立っているそうだ。
我に敵対するであろう、その者達の首を献上することを条件とする。
期限は30日だ。それまでに勇者の首が差し出されない場合、問答無用で滅ぼすので覚悟するがいい』
勇者って、聖良たちの事だよな。
もう既に元の世界に帰ってるんだが、その場合どうするんだろうか。
というか、むしろ勇者召喚って、あの巫女姫の独断じゃなくて、神々の意向だったのか。
召喚された側としてはいい迷惑だけど。
さて後は、俺の予想が間違ってなければ念話や共鳴石の連絡が……やっぱり来たか。
『ジンさん、今の見ましたか!?』
『ジン!どうする!?』
『ジン様はやっぱり勇者様だったんですね』
『ジン、大丈夫か』
などなど。
この世界に来てから出会ってきた人達だ。
彼らの中では俺は『勇者』なのだろう。
ありがたい事に、心配する声、共に危険に立ち向かおうと鼓舞する声ばかりだ。
ただ、このままだと話が聞き取れないので、俺に繋がってきた通話を共有化する。
『えっと……皆で話すと訳分からなくなるから、俺から話してもいいか?』
『はい』『ああ』『どうぞ』
『俺からは、伝えたい事と確認と提案が一つずつな。
まず勇者についてだけど、本来召喚されていた勇者は俺の指示で既に召喚元に帰って行った。
だから魔王が言う勇者は既に居ないことになる。
ただ、俺のせいで勇者がいなくなったので、責任を取って、俺が勇者代行を名乗っても良いと思っている』
念話の向こうから「ごくっ」と唾を飲み込む音が聞こえてくる。
『で、みんなの中に、俺の首を持って魔王の元に下りたい人は居るかな?』
『ばっ、居るわけねえだろ』
『そうです。ありえません!!』
途端にみんなから怒りの声が響いてくる。
『あーうん。ありがとう。
ただ、世界中の国々が俺の事を知っている訳じゃないから、もし隣国で勇者の首を探しているって国があったら
「既に単身、魔王に向かって行ったらしい。今から追いかけても間に合わないから、諦めて魔王軍に備えておけ」
とでも伝えておいてほしい』
『むしろそんな国があれば攻め滅ぼすさ』
この声はホックさんか。
流石海賊というべきか、当然の処置といった方がいいのかもな。
『さて、最後に提案だけど、実は個人的に魔王に用があるんだ。
だから魔王の相手と、ついでに魔界に繋がるゲートは俺の方で何とかするからさ。
魔王が居なくなった後、各地に散らばるであろう魔物の対応は頼めるだろうか』
『それくらいは勿論大丈夫だが……』
『魔王の相手はジンさん一人で大丈夫なのですか?』
『私達ではお役に立てないのでしょうか』
『ああ、いや。どうやら魔王はまだ奥の手を持っているみたいだからな。
突発的な事態の対応には俺一人の方が良いんだ。
やばかったら、直ぐに逃げれるしな』
『そう……ですか』
『ところで、ジン様はいまどちらに?』
『魔界に繋がっているらしいゲートのそばだ。
これからゲートに手を加えて魔物が出てこれなくしておこうと思う』
そう話していると、ゲートが光だした。
どうやら魔物の登場のようだ。
『じゃあ皆、そっちは任せた』
『はい』
『任せろ』
『ジン様もお気をつけて』
念話を切り、ゲートを見やれば、ちょうど魔物の群れが出てくる所だった。
女神と魔神は似たような存在です。
前作とは違い、今回は完全に魔王様は悪役ロールです。
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魔王からの宣戦布告、そして魔界に繋がるゲートから続々と現れる魔物たち。
単身乗り込んだジンだったが。
次回:暗黒龍




