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手当ての達人  作者: たてみん
第1部 最終章:世界探訪「世界の境界編」
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無限ダンジョン

よろしくお願いします。

今回は若干、タイトル詐欺です(無限、かなぁ汗)


そして、説明用でも下手な挿絵を入れるべきではなかっただろうか。

炎妖族の村に向かう途中、何ヵ所かで先日のサイクロプス達のような魔王の軍勢が見てとれた。

ただ、向かう先に特に何かがあるわけでもなく、何かを持っている訳でも無いから、威力偵察の類いなのかもしれない。

それなら放置、というか地元の軍隊が砦を建てているのも伺えるので任せよう。


そして炎妖族の村がある山が見えてきたけど。

……確かに至るところに穴が空いてるな。

そしてそこを出入りする蟻っぽい魔物。

ってこれ、蟻の巣か。

これをどうにかする前にクキさん達に合流するか。



炎妖族の村に着くと、俺の気配を察知したのかクキさんとクオンが出迎えてくれた。


「こんにちは。おふたりとも元気そうで何よりです」

「ジンさんもお変わりないようで」

「師匠。師匠が出ていってから必殺技を編み出したんですよ!

今回の騒動が済んだら見てくださいね」

「必殺技か。楽しみにしてるよ。

ここに来る途中、空から山の様子を確認してみたけど、蟻の魔物が巣を作っているようでした。

何か心当たりはありませんか?」


尋ねるとふたりは顔を見合わせて考えている。


「そのような蟻の魔物はこの辺りどころか、以前世界を旅したときも聞いたことがありません。

ましてや巣がダンジョンになるなんてことも」

「はい。確かにあの穴はダンジョンでした」


ふむ、魔王が召喚した魔物の仕業って説が濃厚か。


「クオン、念のため確認だけど、ダンジョンの中は時間の流れが早くなってたりしないか?」

「はい、普通だったと思います」

「後は蟻の魔物とは戦った?問題なく勝てそうか?」

「それも大丈夫です。師匠の特訓に比べれば楽なものです」


なるほど。それなら女王蟻を倒して地上に繋がる穴を塞げば解決だな。


「じゃあひとっ走りして、女王蟻を倒してきます」

「いえ、ジンさん。流石にそれは無理です」

「といいますと?」

「その蟻ダンジョンと言いますか、そこは今も拡張を続けている状態で空間も不安定です。

たとえマップを書いたとしても次の瞬間には道が変化しています。

浅い層ならまだ帰ったこれますが、奥に行けば地上がどちらかも分からなくなるでしょう」


確かに働き蟻達が今も頑張ってるんだものな。


「それなら、すぐに戻ってこられるように帰還用の魔法陣を用意しておきます。

行きは魔力の強い存在を目指して真っ直ぐ進むので、多分大丈夫です」


そう言いつつ、村の広場に魔法陣を設置する。

クキさんは「真っ直ぐ?」と頭の上に???が浮かんでいるが、説明しても呆れられるだけだろう。

俺としては早くバクを迎えに行きたいので、ちょっと裏技を使う予定だ。


「じゃあ、行ってきます。クオン、万が一魔物が出てきたら村の守りは頼むな」

「はい!!任せてください」


ついでに、一緒に来たそうにソワソワしていたクオンにも役割を与えておく。

さて、じゃあ行きますか。


俺は村を出てすぐのところにある穴からダンジョンに入った。

……なるほど。まさに巨大蟻の巣だな。

道の幅、広さともに2mほどで、舗装とか直進性とかは度外視して、ただ掘りましたって感じだ。

仄かに明るいのと魔力の流れのお陰でダンジョンだと分かるけど、それが無ければただの穴だな。


「さて、女王蟻はどこかな」


俺は全包囲に魔力探知を展開する。

これも空間把握スキルのレベルが上がったお陰か、範囲も精度も以前に比べて大分向上した。

ダンジョン内は大量の小さい魔力反応が動いている。これ全部働きアリなんだろうな。


……いた。

居た、けどおかしいな。強い魔力反応が2カ所あるぞ。

女王蟻が2匹いるなんて、普通に考えてあり得ないんだが。

あ、片方は女王蟻ではない、何かか。

というのも小さい魔力反応が片方にだけ集中している。恐らくそちらが女王蟻だろう。

じゃあ、もう一つは……分からないけど気になるな。先に確認すべきかもしれない。


俺はそのもう一つの反応がある方の壁に向けて、手を当てつつ魔力を流し込む。

そうして壁の一部を「土の塊」1つとしてアイテム空間に放り込めば、目の前に直通の通路が出来上がる。

もちろん1回では貫通出来ないので、それを繰り返しつつ、通った後の土は元に戻していく。

これで崩落の心配も少なくなるし、アイテム空間の領域も圧迫しないしで一石二鳥だ。


そうして壁堀りを50回近く繰り返したところで、広い空間に出た。

そこにあったのは赤い鳥居?とその上に人影があった。

恐らくこの人が魔力反応の正体だな。


「フ~フフゥ~ン♪フフ~♪ンッ♪ンッ♪ンッ♪」


何やら鼻歌を歌ってご機嫌だな。

邪魔したら悪い気もするけど、話を聞かないとな。


「あ、あのー、すみません」

「!?わっ、ちょっ!!」


ふらっ……どてっ。


あれ。声を掛けたら、びっくりして鳥居から落ちてしまった。

大丈夫かな。


「いたたたっ」

「突然声を掛けてすみません。大丈夫ですか?」

「あー平気っす。よくあることっすから。

それよりもどうやってここへ?専用のゲート以外は出入り口はないはずなんすけど」

「えっと、壁に穴を掘って、ですね。あ、穴はちゃんと塞いでおきましたよ」

「あ、それはわざわざありがとうございます」

「……」

「……」


なんだろう。拍子抜けというか、調子が狂うな。

ダンジョンの奥にいる強力な存在だからどんな魔物が居るのかと思ったんだけど、なかなかに腰が低い人だ。

まあ、話が通じるタイプみたいだから、そこは安心か。


「俺は冒険家のジンだ。きみは?」

「僕はダンジョンマスターのジョスタっす」

「ダンジョンマスター?」

「そうっす。至高のダンジョンを創る為に日夜実験を繰り返しているっすよ」

「もしかして、蟻の姿をしたダンジョンを掘る魔物を創ったのってジョスタなのか?」

「おっ!よく分かったっすね。あれは僕の最新作。

名付けて『ダンジョンメーカーVol.1032 アリアナ』っす。

なんと超低コストで、ダンジョンを拡張し続けることが出来るんすよ!

どうっすか。凄くないっすか!?」


マッドサイエンティストよろしく、自分の作品の話になると途端にテンションが上がるジョスタ。

つまりはこいつが蟻ダンジョンの原因って事か。


「ダンジョンの拡張は良いけど、お陰で地上が穴だらけなんだが」

「はははっ。やだなぁ。ダンジョンは地下に出来るもんっすよ。

地上に影響が出る訳無いじゃないっすか」

「(じとーー)」

「……えっ。もしかしてマジで地上が穴だらけっすか」

「うん、マジ。もうすでに地上に迷惑が掛かってるから、何とかして欲しいんだけど。

もし無理ならそのアリアナだっけ。そいつを倒さないといけないな」

「そんな、ちょっと待ってほしいっす」


そう言ってジョスタは鳥居の柱に向かうと何か作業を始めた。

何かパソコンみたいなのを弄ってるな。意外とハイテクなのか?


「……あ!?分かったっす。ダンジョンの拡張制限を地下に限定していた命令がコアリ達に伝わってないみたいっす」

「コアリ……子蟻ね。で、何とかなりそうか?」

「えーっと。これで……よし。はい、無事に命令を書き換えたので、もう地上に影響が出る事は無いっす」

「そうか、それは良かった。ちなみに今空いてる地上の穴というか入口はどうなるんだ?」

「あ、あははっ。一度開いた穴はアリアナ達では塞げないっす。

何かで一度塞いでくれればダンジョンとの接続は切れるんっすけど。

……どうしましょう」


どうしましょうってな。

あ、アイテム空間にお誂え向きの岩があるから、それでいいか。


「そう言う事なら、俺の方で岩でもおいて塞いでおくか」

「お願い出来るっすか。いやぁ助かるっすよ。しかしこのままだとしてもらってばかりっす。

何かお礼と言うか、お詫びというか、僕に何か出来る事はないっすか?」


何か、か。

ダンジョンマスターなんだから、出来る事って言ったらダンジョン関連なんだろうけど。

特にそっち方面でしてほしいことは無いな。

あれ?そう言えば。


「さっき、アリアナは1032番目の作品だって言ってたよな」

「そうっすよ。まあ途中、完成する前にダメになったのもあるっすけどね」

「この世界に来てからそんなにダンジョンがあるなんて聞いてないんだけど、実はいっぱいあるのか?」

「その事っすか。実は僕、この世界に来たのはほんの1か月前なんすよ。それまでは別の世界に居たっす。

アリアナはこの世界で最初に創った作品っすね」

「1か月前って事は、魔王とほぼ同期か」

「あ、魔王さんを知ってるんすね。同期というか僕は魔王さんに呼ばれてこの世界に来たっす」

「そうだったのか。じゃあ、ジョスタは魔王と会ってるんだな。それなら言える範囲でいいから魔王について教えてくれるか?」

「いいっすよ。

魔王さんは身長3m程の大男っす。何でも魔王さんも突然、この世界に召喚されたらしいんすよ」


ふむ、きっと俺や聖良達と同じ感じで召喚されたんだな。


「何でも魔王さんはこの世界に来た際に3つの強力な魔道具を手に入れたらしいっす。

その魔道具の力で、魔界とのゲートを開いたり、果ては巨大なドラゴンまで召喚してたっす。

といっても流石にドラゴンは制御できなかったみたいで、例の強力な魔道具を一つ使って強引に隷属させてたっす。

僕はそれを見て、僕も隷属される前に飛び出してきたんすよ」


だからその後は知らないっす。と頭を掻いているジョスタ。

なるほどね。恐らくはフレイさんをあんな目に合わせたのは、そのドラゴンって事だろうな。


「ところで、魔王の所で黒い卵って見なかったか?」

「卵?あ、もしかしてあの球って卵だったんすかね。さっき言った魔道具の一つがそれっすよ」


そうか。確かにバクには大量の魔力や瘴気やもろもろ食べさせていたから、相当な力を秘めていただろうけど、よもや、そこから魔力を取り出してたって事か。

以前気配を確認した時は無事な反応だったから心配していなかったけど、まさかそんなことをされているとはな。

全く、幼児虐待というか卵虐待というか。

これはお説教してやらないといけないようだな。


「ふふふっ。有益な情報をありがとう、ジョスタ。俺はちょっと急ぎで魔王に会ってくるよ」

「う"、ジンさん笑顔が怖いっすよ」


若干引いてるジョスタに手を振って、俺は転移魔法で地上に戻っていった。

最初、ダスターを招致しようかとも思ってましたが思いとどまりました。

位置づけは彼の従弟です。

このダンジョンは無限に広がってくれる、はず。


そして黒い卵は、黒い卵という。

(あれー、ネタはどうしたのかな~汗。あ、一応色々しますのでご安心を)


########


ダンジョンマスターから魔王の情報を得たジン。

いざ魔王領へ突撃するも……


次回:宣戦布告

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