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手当ての達人  作者: たてみん
第1部 最終章:世界探訪「世界の境界編」
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暗転する世界

よろしくお願いします。

ここから怒涛(になるはず)の第1部最終章です。

急ぎダンジョンの海水をある程度戻した後、入口を塞いでいた大岩を回収する。

すると入口から海水が流れ込んできて、それほど時間を掛けずにダンジョン内は海水で満たされて元の状態に戻った。


そういえば、この大岩、岩戸から回収しっぱなしだったな。

まあ、今回みたいに何かの役に立つかもしれないから戻さなくてもいいか。


ダンジョンを出ると、海中はダンジョンに入る前に比べて大分綺麗になった印象がある。

これなら海の一族に出てきてもらっても大丈夫だな。


『セイル、二ジー。海の汚染は無事に解決出来たから、みんなを連れて出てきてくれ』

『はい、ジン様。すぐに参ります』


言葉通り、すぐに出てきてくれた。

海の状態を見て、皆一様に安堵した表情をした後、揃って俺にお辞儀、いや平伏していた。


「ジン様。海の異変を鎮めて頂き、ありがとうございました。一族を代表してお礼申し上げます」

「そんなに気にしないでくれ。俺としては美味い魚が食いたいから頑張っただけだ」

「それでしたら、これからわたくし達の居城へお越しくださいませんか。心ばかりの贅を尽くしたお持て成しをさせて頂きます」


何だろう。人魚に城で持て成されるって言われると、竜宮城をイメージしてしまうのだが。

それに今は持て成されている場合でもないしな。


「気持ちは嬉しいが、俺は急ぎの用があるからな。それはまた今度にしてくれ」

「……そうですか。魔王を倒しに行かれるのですね」

「は??」


どこから魔王なんて話が出て来たんだ?

そもそも魔王なんて居たのか。そう言えば最初に召喚された時も世界の危機だとか言ってたような気がしなくもないけど、これまで世界を回ってきて、魔王なんて話にも出てこなかったぞ。


「セイル。魔王っていうのは何の話だ?」

「あら。つい先日。地上時間でいう1月程前でしょうか。遥か北の地に魔王が降臨した気配を感知致しました。てっきりジン様も感知されていたのかとばかり思っておりましたが」

「ちょっと待て。聞きたい事がもう一つ増えたぞ。その地上時間っていうのは何だ」

「はい、一部の海底と地上では時間の流れが異なります。なのでそれを区別するために、海底時間、地上時間という表現をしております」


うわ、本当に浦島効果があるのか。

しかも今の話だと、さっきの海底ダンジョンは海底時間で物事が進んでいたようだ。


「ちなみに、俺が海底ダンジョンに潜っていたのは、地上時間ではどれくらいになるんだ?」

「おおよそ3か月近くになります。その辺りの説明はてっきりニジーがしているものとばかり思っておりましたが」


ニジーに視線を向けると、盛大に顔を背けやがった。

まあ、過ぎてしまったことは仕方がないか。

なるほど。それでこんなに海がきれいになってたんだな。


「年単位で時間が過ぎて無くて良かったと思っておくよ。じゃあ、俺はもう行くよ」

「あの、ジン様!今度もわたくし達は役には立てないのでしょうか」


セイルが悲し気に俺を見つめてくるが、出来る事なんて、いや、あるか。


「そうだな。プライベートルームの中で黒い卵を見た覚えがあるか?」

「はい、それならば魔物の浄化をしている姿を拝見しています」

「その卵が突然光に包まれて消えてしまって行方不明なんだ。もし何か情報があれば知らせてくれ」

「光、ですか。畏まりました。海の一族の総力を持って情報を集めてみます」

「ああ、頼んだ」


そう言って俺は今度こそ、その場を後にして海上へと浮上した。

……なるほど。空気中に瘴気が混じっている。この瘴気に当てられて魔物が活発化していそうだな。

これが魔王の影響だっていうなら、魔王が降臨したっていうのは世界規模で問題になっていそうだな。

ま、何はともあれ、情報収集だ。



俺は東へ飛び、南海諸島に戻ってきた。

町は以前訪れた時に比べると活気はあるものの、どこか不安な様子だ。

まだまだ混乱している気配はないから大きな事件が起きるまでは大丈夫だろう。

そのまま大通りを抜けてホックさんの元を訪れた。


「こんにちは。久しぶり、かな。ホックさん」

「おお、ジン。3ヶ月ぶりか。今まで何処に行っていたんだ?」

「海底ダンジョンです」

「海底……そうか。ならお前からしたら数日ぶりってことか」

「はい。体感的には1週間と経っていません」


さすが海賊王。海底ダンジョンのことも理解しているんだな。

ついでなので、ダンジョンの魔物が海の汚染の原因になっていた事も説明しておく。


「じゃあ、もう海が汚染されることもないんだな。ありがとう」

「どういたしまして。それはいいとして、ホックさんに聞きたいことがあるんです」

「……魔王の事か?」


ホックさんも俺が魔王を何とかするって思ってるんだな。

だけど、今の俺としては魔王は後回しだ。


「いえ、それよりも『白い光』と聞いて何か心当たりはありませんか?」

「ふむ、白い光か。流石にそれだけではな」

「では、光に包まれたものが一瞬で姿を消す、という現象ならどうでしょう」

「姿を消す、か。魔法の類だとは思うが、俺は魔法には詳しくないからな。

そういうことはエルフなどの長命種に聞いた方がいいだろう」

「っ!なるほど。ありがとうございます」


そうだよな。魔法関連なら真っ先にロムさん達に聞くべきだ。

言われるまで思いつかないとは。

だめだな。思ったより焦っている様だ。


「あ、ついでなので、魔王についても聞いていいですか?」

「ふっ。魔王がついでか。

俺が聞いた話では、現れた場所は北の大国の王都だそうで、一瞬で王都は廃墟になったって噂だ。

さらには魔物の軍勢を召喚して支配領域を拡大しているそうだ。

また、それと同時に魔物が活性化したり、世界各地にダンジョンが新たに発生しているらしい。

後はそうだな。暗黒竜を目撃したって話もあるが、今のところ町を襲ったという話は聞かねえ」


魔物の軍勢にダンジョンに暗黒竜か。

実際に見てみないと何ともいえない部分はあるけれど、ひとまず魔物の軍勢を何とかすれば時間は稼げそうだな。

ダンジョンは暴走した時が恐いが、多少の猶予はあるだろう。

暗黒竜は……寝ててくれるといいな。ま、困ったらフレイさんかゲイルに相談だな。


よし、じゃあ今後の予定としては、

大陸に戻りつつ、ロムさんに白い光について相談して、

エリーや各地の知り合いに連絡を取りながらバクを探しつつ、魔物の軍勢を牽制していくか。


「ホックさん。魔王の軍勢がここまで来ることは早々無いだろうから、余剰戦力があるなら海運を活用した各地の支援をお願いします」

「おう、いま着々と進めているところだ」

「そうでしたか。では、俺は大陸に渡って、直接状況を確認しながら対応を進めます」

「ああ、気をつけろよ。何しろ相手は魔王だからな」

「はい。それでは行ってきます」


そうホックさんに挨拶して俺は大陸に向けて飛び出していった。


ざまあ展開という程ではないですが、最初の国は壊滅状態です。

急に魔王が出てきましたが、第2章くらいからこの流れは決まっていました。

ただ、中身がまだ空っぽですけど。


###########


ジンはエルフのロムから知恵を授かる中、

魔王の降臨により世界が激動を向かえる。


次回:激動する世界



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