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手当ての達人  作者: たてみん
第1部 第5章:世界探訪「南海編」
51/63

元の世界へ

よろしくお願いします。

くっ、予約投稿の残弾が……


そしてブックマークが着実に増えている。

皆様、ありがとうございます。

翌日から、俺と聖良は港町同様、島の住人の治療に奔走していた。

まずは診療所に行って危険な状態の人を優先的に治療し、回復魔法の使える人達にハムッチ達との連携方法を伝える。

その指揮を聖良とベテラン看護師に任せて、俺は新たに手に入った魔魚の毒塊の回収に回る。



太陽と晴明は、治療には役に立たないので、自分たちが壊した港や船の修理に駆り出されている。

途中、怪我をさせた人達に謝罪する場面もあったが、


「こんなガキ共にやられるとは、俺もまだまだだな」

「まったく、次は無いからな。今度はちゃんと金払って乗れよ」


先に怪我の治療を終わらせたお陰もあって、軽くどつかれるくらいで穏便に済んだようだ。

二人は技術は無いが、レベルは70を超えているので、STRで言えば島の男達数人分になるようだ。



診療所と港の他に、もう1ヶ所、戦場の様相を呈している場所があった。

解体所と食料倉庫だ。

俺が最初に訪れた時、解体所には閑古鳥が鳴き、倉庫の中は空っぽだった。


「すみませーん。こちらで海で釣った魚を解体してくれるって伺ったのですが」


声を掛けると、身長150cmくらいのずんぐりした男性が顔を出した。


「ああ。話は聞いてる。で、どこに持ってんだ、ってアイテム袋か。

まぁ適当にこの辺りに出してくれ」

「分かりました」


言われた通り、アイテム空間から釣った順に出して行く。


ズシッ。ズシッ。ズ……


「お、おい、馬鹿、待て!!」

「どうしました?」

「どうしたじゃねえ。出しすぎだ!全部中級以上の魔物じゃねえか。

お前のアイテム袋はどんだけでかいんだよ」

「いや、まだ大量に残ってるんだけど」

「ったく、応援呼んでくるから待ってろ」

「待ってる間に適当に捌いても?」

「内臓を傷付けず出来るなら好きにしろっ!!」


そう叫びながら飛び出して行った。

じゃあ、おっちゃんが帰って来るまで適当に捌いてみるかな。


えっと、まずは、解体する魔物に手を当てて内臓とかが傷付かないように保護すると共に、骨の配置、筋の流れをチェック。

ふむ。陸上の哺乳類に比べると構造はかなりシンプルだ。

これなら問題なく出来そうだな。

両手の武装で大太刀を作り出して、筋に沿って切り分けて行く。


そうして4体程解体したところで、おっちゃんが若者を20人連れて戻ってきた。


「待たせたな。って、おまっ、もう解体終わってるのか。しかも完璧じゃねえか」

「そう言って貰えると嬉しいね。それとまだアイテム空間の中にこれの10倍くらい残ってるから、それの解体は頼みます」

「10ばっ!?……ちっ、分かったよ。

おい、何ぼさっとしてる。この切り分けられたのが鮮度が落ちる前に冷凍倉庫に持っていけ。

ダナーは暇そうな奴をかき集めて来い。

ガルはそっちの塊を調理場に持っていって炊き出しを作って貰うように頼んで来い!」

「「はい!!」」


矢継ぎ早に出される指示を受けて、一気に慌ただしくなった。


「確かジンって言ったか。

ひとまず解体する魔物は出せるだけ全部出してくれ」

「分かった」


言われるままにどんどん出して行くと、30体出した所で置き場が無くなったので、そこで出し止めになった。


「よくもまぁこんなに沢山。

出してもらったのだけでも解体に3日はくれ」

「ああ。ならその頃にまた来るよ」


軽く挨拶をして、後はお願いすることにした。

本職の仕事を奪う訳にはいかないからな。



そんな事がありつつ、3日程は病人の治療、港の修繕、魔物の解体と炊き出しと、慌ただしく過ぎて行った。

ようやく落ち着いてきた頃。

俺達は揃ってホックさんに呼び出された。


「おう、来たか。

今回は病気の治療に、食料の提供と、実に助かった。礼を言う。

後は俺達でも何とかなりそうだから、もう自由にしてくれ。

前に依頼されていたそっちの3人を北の港に送り届ける件も、好きな時に声を掛けてくれ」

「ようやくムサいオッサンの群れからおさらば出来るぜ」

「これで重労働ともお別れだね」

「あなた達は自業自得なんだから反省しなさい」


はしゃぐ太陽と晴明に、ゴンッと聖良がげんこつを入れる。


「ジンさんはこれからどうされるんですか?」

「俺は海の一族に会ってから、この海の問題に着手する予定だ」

「何か私達で手伝える事はありませんか?」

「気持ちは嬉しいけど、今のところ無いな」

「そうですか……」


聖良は出来ることは無いと言われてガッカリしているが、仕方がない。

それに彼女らは出来ることなら元の世界に帰してやりたいしな。


「そうだ、聖良。ちょっと話があるから、このあと少し時間をくれ」

「え、はい。分かりました」

「あとはホックさん。紹介状はどうなってますか?」

「おう、準備出来てるぞ。えっと、これだ。

ここから西に行ったところにある離れ島に行けば巡回している誰かに会えるはずだ」

「分かりました。ありがとうございます」

「なに、礼を言うのはこっちだ。もし海の異変について何か分かったら教えてくれ」

「ええ、そのときは必ず」


ホックさんからの用事はそれだけだったらしくその場はお開きになった。


そして今、俺の部屋で微妙に挙動不審な聖良が居るのだが。

顔も赤いし、どうしたんだ?


「で、ジンさん。その、お話というのは?」

「あ、そうそう。元の世界に帰る方法を教えておこうと思ってな」


俺がそう言うと、目に見えてガックリしてしまったけど、いったい何を期待してたんだ?


「あー、なんかすまん」

「いえ、気にしないで下さい。私が変に期待しただけですから」

「そうか。

今更だけど、3人とも元の世界に帰りたいって事で良いんだよな」

「はい。あの国を出たときに、帰ろうって3人で話し合いましたから」

「分かった。念のため、ここを発つ前に再確認しておいた方がいい。

で、先に帰るに当たっての注意事項な。

ひとつは、戻る時間に多少のズレが起きるかもしれないってのと、今のままの姿で戻ることになるはずだから服装とかに気をつけてくれ」

「そっか。剣と鎧を着て喫茶店に居たら、何のコスプレだって話ですね」

「そうだ。それと、多分だけどこちらで手に入れた能力の一部は帰った後も持ち越してる可能性がある」

「それってつまり」

「良くて超人、悪くて化け物だ。人前で力を使うのは控えた方が良いだろうな」

「そう、ですね。二人にも伝えておきます」


昔。道場長も同じような事があったらしい。

なんでも暴漢を倒したら、被害に遭っていたひとに化け物呼ばわりされたそうだ。


「さて、色々行ったけど、帰り方な。

港町に戻ったら西のエルフの森を目指してくれ。

ハーフエルフの集落にたどり着ければ、世界樹のあるエルフの集落に連れていって貰って帰れるように話は付けておくから。

もし何か困ったことがあれば、この共鳴石を通じて連絡をくれ」

「はい。何から何までありがとうございます。

そう言えば、私達が帰った後、向こうで子供の頃のジンさんに会う事って出来るのでしょうか」

「タイムパラドックスの問題か。俺の生まれは20XX年だから、会えたとしても聖良はお婆ちゃんだな。まあ、心配しなくても大丈夫だろう」

「20XX年ですか。なるほど、ありがとうございます」


礼を言って出ていく聖良を見送る。……最後、なにかを考え込んでいたのは何だろうか。まあ、気にしなくてもいいか。

まずは忘れないうちにララ達に話を通しておこう。



そして翌朝。

桟橋で船に乗る3人を見送っていた。


「じゃあ、気を付けてな。無事に元の世界に戻れるように祈ってる」

「はい、ジンさんも無理はしないで下さい。本当にありがとうございました」


残りの2人とも軽く挨拶をした後、彼らを乗せた船は北へと流れていった。


さて、じゃあ俺は俺で、海を綺麗にしますか。

折角砂浜が広がってるのに釣りも海水浴も出来ないなんて勿体無いからな。


伏線張りつつ、聖良さんお帰りです。

少年二人も責任持って連れ帰ってくれるでしょう。


###########


聖良たちと別れたジン。

残る問題は海の汚染だけだ。

果たしてジンは無事に解決出来るのか。


次回:海の一族

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