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手当ての達人  作者: たてみん
第1部 第5章:世界探訪「南海編」
49/63

海中戦

よろしくおねがいします。


申し訳ないのですが近々、連続投稿が途切れます。

休止する訳ではなく、ただ書く時間が取れないだけなので、少しだけお待ちください。

海面を見上げれば先ほどの船団の影が見える。

このままここで戦えば巻き込んでしまうだろうな。

まずは場所を移すべきか。


「----、----!」


海蛇が声にならない声を上げながら突撃してくる。

まるで水の抵抗など無いかのような高速なそれをギリギリでかわす。


ゴゴゴゴゴッ。

「うぉっ!」


その動きに騙されそうになるが、海蛇の周りはものすごい海流が発生していた。

気泡に包まれた状態の俺は、海蛇に触ることすら出来ず、錐揉み状態で後方へと流され、そして。


バシッ!!

「ぐふっ」


海蛇の尾びれで殴り飛ばされた。

幸い防御結界のお陰で大したダメージにはなっていない。

なってはいないが、弄ばれてる気がするな。


まあいいか。一つ一つやるべきことをやろう。

まずは場所を移す為に海蛇側にお椀型の防壁を作り出し、反対側に錐状の防壁を作る。

その結果。

再び突撃してきた海蛇に押される形で、一気に海を切り裂くように移動することに成功した。

だが、こちらが攻撃に転じる暇を与えないように小回りを利かせたスナップのように尾びれを連続で打ち付けてきた。

くそ。せめて尾びれを掴めれば逆転できそうなんだが、水の壁に押されて届かない。



そして今更気が付いたが、水中では『手当て』が使えない。

海水は当てた先から流れていってしまうんだから、当然といえば当然だけど。

また水上でやっていたように風魔法で切るのも空気が少ないから無理だし、魔力弾も水で力が減衰して役に立たない。

水魔法も周囲を海蛇が作り出した海流の影響か、直ぐに打ち消されてしまう。

竜魔法も、水龍はまだ会ったことが無いからか役に立たないか。


・・・・・・まずいな。

今まで『手当て』に頼って色々やっていた分、技のバリエーションが少ない。

今度、『手当て』抜きでも生き抜けるように色々と挑戦してみよう。



ま、それはまた今度の話だ。

『手当て』が当てに出来ないなら、武器を銛状にしてカウンターで刺し貫くか。

しかし、向こうもそれくらいは警戒していたらしく、武器を出した瞬間に距離を取られた。

体勢を整える時間が出来たのは助かるが、あれはなんだ。海蛇の周囲の海流の動きが変わった?

そう思った瞬間、不可視の弾丸が次々と打ち込まれてきた。

急ぎ横に避けてみても、面制圧されているのか、変わらず防壁に弾丸が突き刺さる。


どうする。また防戦一方になってしまった。

苦し紛れに銛を投げてみるが、途中で弾丸に打ち落とされてしまった。

何とかしてこの暴風雨のごとく打ち付ける弾丸の正体が分かれば対策も考えられそうだが。


・・・・・・って、待て。そうか、弾丸の正体は水か。

考えてみれば、海中で海水が見えないのは当たり前だな。


それなら、強引にでも水の流れを掌握するのが良さそうだ。

俺は武器を銛から、ハンドル付きのスクリューに作りかえる。

海蛇にはこれが何か分からないのだろう。こちらの動きを警戒しつつ水弾を打ち続けている。

続いて、足場代わりに魔法陣を作っておきスクリューの軸部分も固定する。

そして、結界を最小限まで小さくしてスクリューの羽根の部分が結界の外に出るようにして、ハンドルを全力で回す。


シュゥゥゥ・・・・・・


あー、多少流れが出来たけど、流石にこれだけだと大した効果がでないか。

なら、アイテム空間から適当に鉄を取り出して、スクリューの羽根を数倍に拡張する。

本当は効率的な羽根の形状なんかもあるのかもしれないけど、そこまでは分からないから適当だ。

さらに空間掌握スキルと水魔法を駆使して周囲の海水の流れを掌握していく。

くっ、流石に重いか。だけど。


「うおりゃああ!!」

グオオオオオ・・・・・・


今度こそ出来た大渦というか竜巻が、水弾を物ともせず海蛇を包み込む。

これには流石の海蛇も堪らず錐揉み状態になっているようだ。

そこへプライベートルームから大量の空気を送りこむ事で竜巻の中心に穴が開く。

結果、渦の中に水がなくなり海蛇が俺を目掛けて落ちてくる。


「シャーーッ!!」

「はっ!」


最後の足掻きとばかりに大口を開けて飛び込んできた海蛇に対し、武器を大剣に変えて迎え撃つ。

大剣は見事、海蛇の前歯と前歯の間に当たり、そのまま胴体を含めて3mほどを真っ二つにした。


「ふぅ。流石に水中で海の魔物と戦うのは骨が折れるな。

・・・・・・って、そうだった。今の戦いなら俺が水上に出れば向こうも釣られて出てきてたかもしれないな」


そんな反省もしつつ、海蛇の死体もプライベートルームに入れて、ハムッチに浄化をお願いしておく。

するとハムッチから泣き言が聞こえてきた。


『マスター。もうお腹いっぱいです』

『仕方ないな、ちょっと待ってな』


俺も一度プライベートルームに入って、残ってた魚の浄化を手伝うことにする。

ついでに抽出した魔魚の毒塊から新たなハムッチの眷属を生み出しておくかな。


そうして10分程作業をしていると、溺れて気を失っていた聖良が起きて来た。


「ふぁ、ジンさん。おはようございます」

「ああ。体調はどうだ?」

「え?はい。何ともないですよ。ところで、ここはどこですか?船から落っこちた後の記憶が無いんですが、もう島に着いたんですか?」

「いや、まだ島には着いてないよ。ここは俺のプライベートルームだ」

「プライベートルーム??」

「アイテム空間の中に作った箱庭って言ったほうが分かりやすいか?」

「アイテム空間・・・・・・箱庭・・・・・・」


起き抜けの頭に知らない情報を伝えても?が増えるだけみたいだな。


「まあ、詳しくはまた後で説明するよ。ひとまず船まで戻ったら呼ぶから、もう少しだけ待っていてくれ」

「あ、はい」


ハムッチに聖良の相手をお願いして、俺だけプライベートルームを出る。

っと、まだ海中だったな。新たな魔物に見つかる前に戻るか。



船は・・・・・・あ、いたいた。

甲板に降り立って聖良にも出てきてもらうと、慌てた様子で船長の、えっとブルーさんが迎えてくれた。


「おう、2人とも無事だったか」

「ええ、ご心配をお掛けしました」

「無事だったならいいさ。ところで、さっきのはデスシーサーペントだろ。

船から落ちたお前達を狙っていたようだが、よく逃げ切れたな」

「ん?いや、さっきの奴なら倒したぞ」

「はぁ!? あれは隊長格が数人集まって何とか撃退する魔物だぞ。

空を飛んできた事といい、お前一体何者なんだ!?」

「ただの冒険者だ」

「む、まあ、そういうことにしておくか。少なくとも敵ではないようだしな」


絶対嘘だろって顔でブルーさんが俺を見てるが、深くは追求しないで居てくれるようだ。

説明が面倒だからな。ありがたい。


それから船団は無事に航海を続け、日暮れ前には無事に南海諸島の港の一つに辿り着いた。


「ブルーさん、お世話になりました」

「良いって事よ。むしろお前達が居なければ今頃俺達はデスシーサーペントの腹の中だったかもしれないしな。

何か困ったことがあったら、いつでも来てくれ。とは言っても、俺たちは海に出ていることが多いがな」

「あ、なら。人を探しているんですが、『太陽』『晴明』って黒髪の少年に心当たりはありませんか?」

「んーー、いや。俺は無いな。後で他の仲間にも聞いておいてやるよ」

「ありがとうございます。あと『ホック』という顔に大きな傷があって左腕が無い人をご存知ですか?

早ければもう、戻ってきていると思うんですが」


俺がそう聞いた瞬間、ブルーさんたちの雰囲気が一変した。

殺気とまでは行かないけど、いつでも剣を抜けるようなピリピリしたものが伝わってくる。


「・・・・・・お前、一体何者だ。今の言い分だと、ホックさんが何処に居たのか知っているようだな」


あ、やっぱり当たりか。

海兵にしては鋭い気配をしていると思っていたけど、ホックさんの部下の海賊だったんだな。


「ただの冒険者、じゃダメそうだな。そうだな、ホックさんの友人というか知人、かな。

2週間くらい前に北のミスリニアで別れたから、もうそろそろ帰ってきていてもおかしくない頃だと思うが」


ちょうどその時。町の方から若手の水兵が走ってきた。


「ブルーさん、大変だ!!王様が帰ってきたぞ」

「何!?それは本当か。直ぐに行く。・・・・・・よし、お前達も一緒に来い。

ただし、変な事をしたら容赦は出来んから気をつけろよ」


そう言って駆け出すブルーさんに付いて、俺達も町のほうへと走っていった。



本当は『手当て』が効果を発揮できないのをもっと大々的に困らせたかったのですが、

対策が幾らでも立ってしまう万能主人公のせいで簡単に解決してしまいました。


#########


海の魔物を退け、無事に南海諸島へと辿り着いたジン達。

そこに折りよく帰ってきた海賊王と再会するのだった。


次回:南の海賊王

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