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手当ての達人  作者: たてみん
第1部 第4章:世界探訪「鉱山都市とダンジョン編」
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暴走と蹂躙

よろしくお願いします。

相変わらず戦闘らしい戦闘はしません。

俺とクキさんとクオンは大騒動の町中を、冒険者ギルドへと急いでいた。

そこが一番情報か集まっている可能性が高いからだ。

また、他の人達も元の居場所をテコ入れに向かっていった。

道中、クキさんにさっき気になった事を聞いてみる。


「そういえば、クキさんはこの町で有名人だったんですか?」

「先々代の鍛冶ギルド長は私の教え子なんです。その後も国の相談役を務めた事もあります」

「なるほど、それであの発言力だったんですね」


そして冒険者ギルドにたどり着くと、そこは上へ下への大騒ぎだった。

俺は受付のココさんを捕まえて状況を聞くことにした。


「え、ジン様。まだこの町に居らしたんですね。

既にお聞きとは思いますが、北のダンジョンが暴走し、万を超える魔物の大群がこの町に向かって来ています。

残念ながら、この町は防衛には向いていない為、町中に魔物が侵入する危険もあります。

今ならまだ間に合うと思いますので、どうぞお逃げ下さい」

「あれ?戦力は一人でも多い方が良いと思いますが」

「はい、ですがジン様は先日外から来られたばかりの方ですから。

この町の為に命を張ってほしいとは言えません」


そう言う真摯な姿を見せられると力を貸したくなるな。

クキさんとクオンの方を振り向くと、力強く頷いてくれた。


「ココさん、簡単にで良いので魔物の情報とこちらの対応方針を教えて下さい。

それに合わせて俺も出来ることをやります」

「っ!ありがとうございます。

斥候からの情報によりますと、

先程の通り魔物は全て北からこちらに向けて真っ直ぐ向かって来ています。

先鋒は上層階の比較的小柄で弱い魔物、そして足の早い獣タイプの魔物が多く占めているそうです。

その後ろに二足歩行の魔物が多く集まっています。

そして最後尾に大型の魔物と重量級のゴーレム等が続いているという情報が来ています。

それに対しこちらは町の近くにて防衛線を張る予定です。

陣の中央に正規軍が、左右にCランク以上の冒険者が守りを固め、Dランク以下の冒険者は、支援と防衛線を抜けた魔物への対応に回って頂きます。

ただ……軍の主力が町の中の防衛に回ると主張しておりまして、現在、ギルド長が交渉に向かわれています」


町の中の防衛って……例のゲイ王子の指示か?

それならきっと大丈夫だな。


「ココさん。情報ありがとうございます。

軍の方は問題なく前線に出てくれるので安心してください」

「ふふっ、ジンさんがそう言われると本当に大丈夫そうですね」

「それと俺は後ろでサポートに回るより遊撃に出た方が良さそうなので、独自で動きますね」

「え、それは流石に危険過ぎです、ジン様!」


後ろからココさんの声が聞こえたが気にせず外に出る。


「それで、ジンさん。どう動かれますか?」

「はい。魔物の先鋒はこの町の人達に任せて、俺達で後ろの魔物を足止めしましょう。

ふたりで中堅の二足歩行の魔物達を横合いから攻撃を加えて行って下さい。囲まれないように逃げながらで十分です。

その間に俺が後ろの主力の足止めをして、十分時間が稼げたら離脱します。

そうして魔物を出来るだけ3つに分けて、町の人達に対応していって貰いましょう」

「なるほど。分かりました。クオンも良いですね?」

「はい!特訓の成果を見せます!!」


気合い十分に握りこぶしを作るクオン。

その頭に手を置いてクリクリ撫でてあげる。


「戦争で大事なことは覚えてるな?」

「はい、生き抜く事です」

「そうだ。深追いはするな。油断禁物。敵の息の根が残っている間は注意を怠らず、常に周囲に意識を広げなさい」

「はい、師匠!」

「よし、じゃあ行きましょう」


走って行くと時間が掛かるので、クキさんをおんぶしてクオンに獣モードで肩に乗って貰い、飛行魔法で北を目指す。

町を出て少しした所で、落とし穴や馬防柵が造られている。

そしてまだかなり先に土煙が立っているから、あの辺りが魔物の先鋒と言った所か。

そこまで行くと石っぽいゴブリンやら狼やらが大挙して町に歩いていた。


俺達はそれを無視して奥へと向かう。

次に見えてきたのは体のあちこちがキラキラ光るオーク等の魔物。

そう言えば、貴金属や宝石類が多く出るのが北のダンジョンだったな。

それに加えて、ゾンビやらスケルトンやらが多数混じってるのが気になるけど、後で纏めて焼き払っておいた方がいいかな。


「数ばかりの雑魚ね。もっと上位化した個体が多いのかと思っていましたが」

「あれなら囲まれなければ大丈夫だね」


確かに威圧感がないな。これなら獣モードのクキさん一人の方がよっぽど凄かったぞ。

まあいいか。クキさん達を脇の林に降ろして次にいくか。


「ふたりとも、無理はしなくて良いからな。

攻撃を開始するのは町の防衛隊の遠距離攻撃が始まったタイミングで行こう。

そうじゃないと先鋒の魔物が引き返してくる可能性があるからな。

後、ゾンビ達は病気とかが怖いから焼き払って欲しい

じゃあ、俺は主力の方に行ってくる」

「はい、師匠。僕達の炎で消し炭にしておきます!」

「ジンさんもお気をつけて」


なるほど、炎妖術の炎なら安心だな。

さて、敵の主力に向かう前に置き土産を置いていくか。

まずは奴らの上空500mに滞空する。ここからなら後ろの主力部隊もよく見えるな。

続いて、両手の武装で突撃槍(ランス)を作り出す。

更にドラゴンのブレスと同等の魔力を込めていく。

よし、元々ドラゴンの素材をふんだんに使って作った装備だから親和性も問題ないな。

狙いは中央よりやや後ろの一際大きい個体にして槍を投げつける。



カッ!!

ドゴオオオッッ!!!



着弾と同時に巨大な火柱が上がり、爆音と爆風が吹き荒れる。。

あーやりすぎたかな。町のほうを向けば町の防衛隊に動揺が走っているのがここからでも見える。

やばいな。前線から逃げ出そうとしてる人もちらほら見える。

誰か知り合いは・・・・・・あ、居た。


『リリン、聞こえる?』

『え?え??この声はジンさんですか?』


冒険者ギルドで少し話しただけだったけど、覚えていてくれたみたいで良かった。

ダーミヤンも一緒に居るな。突然独り言を言い出したリリンに驚いてるけど。


『そう。今大爆発が起きたの気付いてると思うんだけど、あれは俺の仕業だから。

それを防衛隊の隊長に伝えて、皆を落ち着かせて欲しいんだ』

『えぇぇ!今こっちではSランクの魔物が居るんじゃないかって大騒ぎですけど、ジンさんがやったんですか!?』

『そういうこと。適当に助っ人の魔法使いが援護に来たとか伝えて。

魔物はそんなに強いのは居ないから落ち着いて対応して欲しい』

『わ、分かりました』


後は王宮に行った陛下にも伝えておくか。


『陛下。ジンです』

『む、これは念話か。ジン殿は念話まで使いこなすのだな。

っとそれよりもだ。先程の火柱を見られたか。

ジン殿でその魔物の対応が出来たりするだろうか』

『それについてなのですが、その火柱立てたのは俺です』

『は・・・・・・。はっはっは。そうか。あい分かった。心配無用と言うことだな。

ならば、そちらはジン殿に任せて、こちらは馬鹿息子の後始末を進めるとしよう』


さすが陛下。順応が早いな。

これで町の方は大丈夫だろう。

クキさん達は・・・・・・うん、もちろん無事だな。


『ジンさん、今のはなんですか!?』

『あ、クキさん。クキさんが作ってくれた武装に魔力をこめて投げてみたんですが、ちょっと威力が高かったですね』

『ちょっとじゃありません!!今の一撃だけで魔物が半壊してますし、地面に大穴が開いてますよ』

『あー、後で埋めるのが面倒ですね。ま、ひとまず残党の討伐をお願いします』

『はぁ~。ええ、もうほとんど終わってしまった気もしますけど』


若干あきれた声が届いたけど、楽になった分には大丈夫だろう。

じゃあ後は俺が主力の方を叩けば解決だな。

えっと、今の失敗を踏まえて、突撃槍(ランス)ではなく投槍(ジャベリン)を複数本用意して、主力魔物の重量級の群れに投げ込んでいく。


ドガンッ!ボカンッ!

ドガドガドガッ・・・・・・・・・・・・!!!!


ひどいなーこれは。いっぽうてきなじゅうりんだなー。

思わず目を背けたくなる光景だな。俺がやってるんだけど。

魔物は上空に攻撃手段がないらしく、ただの的になっている。

あー、また地面がぼこぼこになってしまったな。

終わったら直しておかないと。


・・・・・・ん?

一匹ゾンビっぽいのが混じってて、逃げ出そうとしてる・・・・・・あいつだけ理性が残ってるみたいだし、あれがこの騒動を起こした犯人かな。

なんか、変な電波っぽいのを放出しているようにも感じるし、早めに消したほうがいいな。

そう思って俺はそいつの前を塞ぐように飛び降りる。


「ひぃぃ。来るな、化け物」

「いや、見た目化け物はお前の方だから」


尻餅を付きながらこっちを非難するそいつに浄化魔法を掛ける。

すると、さらさらと粉になって消えていく。

って、尋問とかするべきだったかな。まぁ後の祭りか。


そして後には濁った魔石と冒険者証が残った。

なるほど。元冒険者がダンジョンで魔物になったってところか。

まあ、どういう経緯があったかは後で調べてもらうとして、今は魔物の掃討を終わらせるか。


タイトルの蹂躙は、されるのではなく、主人公がする側でした。

火柱が上がった瞬間、町の人間はパニック状態です。


##########


無事に魔物の暴走も鎮圧し、町へと凱旋するジンたち。

そこに待っていたのは無事に町を守りきった晴れ晴れとした人達だった。


次回:後始末


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