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手当ての達人  作者: たてみん
第1部 序章:ここはVR?それとも異世界?
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再びの王都

よろしくお願いします。

1話目からですが、メインタイトルからどんどん離れていく。

2章になる頃にはきっと軌道に乗りますのでしばしお待ちを。


って、投稿予約を一日間違えてました。

歩いてきた道を今度は馬車に乗って戻っていく。

途中、騎士たちに襲われた場所を通過したはずだが、死体は残ってはいなかった。

その代わり引きずられた跡が森に続いていることから、森の動物に持っていかれたものと思われ、ますます、この世界がVRでは無いことが確定してきたと思う。

それも王都で彼らに話を聞けばハッキリするだろう。問題はどうやって会うか、だか。


「そう言えば、ジンさん。ジンさんのお洋服、グレーハウンドの返り血とかでかなり汚れてしまっていますし、荷台に男性用の古着もありますので、サイズが合うものを適当に見繕って着替えちゃってください」


言われて自分の格好を見ると、確かにグレーハウンドの返り血だけじゃなく、ゴブリンの返り血なんかも付いてて酷いことになってる。更に言うと、リアルで来ていた服そのままなので、こちらの世界の服とは質もデザインも異なる。もしかしたら指名手配されている可能性もゼロではないので、お言葉に甘えて適当に着替えて、元の服はアイテム空間にしまっておく。


「エリー、こんな感じでどうだ。ファッションセンスは無いもんでな。エリーから見て違和感はないだろうか」


そう聞くと、エリーは俺を上から下まで眺めて「凄く素敵だと思います」と答えてくれた。この感じだと大丈夫そうだな。

ちなみにこの世界の服は麻っぽい服と綿っぽい服があるらしく、麻っぽい方が安くて一般市民が良く着る服のようだ。綿っぽいのは商人とかが着るらしい。


「それと、この服って元は売り物だよな。代金とかはまた後でいいか?」

「いえ、それは差し上げます。馬車を修理して頂いたお礼だと思ってください」

「分かった。それじゃあ遠慮なく」


そうしているうちに王都に到着した。

街に入る為の検問の列に並ぶが、列の先を見るとどうやら門衛に何かを見せてそのまま通るものと、何かを渡している人が見える。前者は身分証か入門証だろうか。後者は入門料か?荷馬車を引いている人を中心に何か口論しながらもしぶしぶ出しているのが見える。

エリーに確認してみると、予想通り、身分証の提示か入門料を払う必要があるらしい。口論の原因は入門料が増えているのではないか、とも。あと当然俺は身分証なんて持ってはいない。これは今の内に取れる対策は取っておくべきか。


「次の者。身分証と、積荷を検めさせてもらう」

そう言ってきた門衛にエリーが自分の分の身分証を見せる。もう一人居る門衛は、その内に荷台の確認をし始める。

「よし、問題ないな。そっちの男。お前も身分証を見せろ」

俺は若干、申し訳なさそうにしつつ、

「すまない。ここに来る途中で魔物に襲われて、積荷を捨てながら何とか逃げ延びてきたんだが、その時に身分証も無くしてしまったんだ」

そう答えることにした。ちょうどそこで荷台を検めていた門衛がこちらに来て俺の言ったことを肯定してくれる。

「ふむ。確かに荷台もほとんど空だ。馬車にも新しい傷が多いことからも嘘ではなさそうだな。では、入門料に銀貨3枚と馬車代に銀貨5枚を貰おうか」

「え、そんな!? 確か以前は入門料も馬車代も銀貨1枚だったのに」

「なんだ。出せないなら帰りな」

このままだと良くて門前払いなので、口論になりそうになってるエリーの肩を抑えて、交渉を代わる。

「兄さん、連れがすまないな。実は、今手元に銀貨が少なくてな。その、金貨なら1枚あるんだが」

そう言いながら指の間から金貨をちらつかせる。

「金持ってんじゃねえか。ならさっさと寄越せ。ほら、次がつっかえてんだ。さっさと行きやがれ」

奪い取るように金貨を取って、先を促す門衛に舌打ちするポーズをしながら、馬車を動かす。エリーが何か言いたそうにしているが、無事に通過するまでは黙っていてもらう。


さて、無事に街に入れたのはいいんだけど。

「ジンさん。どうしてあそこで金貨なんて出しちゃうんですか。一応銀貨の蓄えはあるんですよ」

ご立腹のエリーである。これはネタばらししないと治まらないか。

「エリー。怒らないで聞いて欲しいんだけどな。さっき渡した金貨。あれ、偽物なんだ。だから実際のところ銀貨1枚の価値も無かったんだよ」

そう。手切れ金代わりに渡された偽金貨の内の1枚だ。そのまま見せると偽物だってばれるから、一部分だけ見せることで誤魔化してみた。

「だから、偽物なのに気付かれる前に、入り口の近くから離れよう」

「偽物ってジンさん。偽造金貨は重罪ですよ!!」

「やっぱりそうか。でもこの国の上に立つ人から渡されたものを返しただけだから、罪に問われるとしたら俺より先に国の方だな。それは良いとして、馬車はどっちに進めたら良いんだ?」

「全然良くはないですけど。何か事情がありそうですし。はぁ。馬車は西の倉庫街の方にお願いします」

「はいよ」

そうして、どこか諦めたような顔をするエリーを横目に馬車を進めていく。


倉庫街に着いた所で手綱をエリーに渡して俺は馬車を降りる。

「ジンさん、この後はどうされる予定ですか?」

「俺のほうは2、3用事を済ませて、出来るだけ早くこの国を出たい。用事は上手く行けば今夜の内に終わるから、出発は早ければ明日の早朝だな」

「分かりました。その間に旅の準備をしておきます。明日の早朝、南門を出たところで待ち合わせましょう。じゃあ、これから私は荷物を業者に渡して・・・・・・って、ジンさん。さっき積荷が空って言ってませんでした!?」

街に入る時だな。入門がスムーズになるようにと思って、9割方アイテム空間にしまっておいたんだ。

「ああ、それなら心配しなくてもちゃんとあるから大丈夫だ。一時的に隠しただけだから」

「隠したって・・・・・・。だからそれも一歩間違えれば抜け荷っていう犯罪ですよ。もう、良いですけど」

「じゃあ、また明日」

「はい」


そう言って俺は、呆れた顔をするエリーに軽く手を振って分かれて、王城に向けて歩を進めるのだった。


だんだん主人公が悪の道を進み始めている今日この頃。

作者は義理人情が大好きなのですが、逆に不義理には徹底抗戦するので、こんな事に。


間違った次回予告:

城に行ってやること?王女暗殺とかでしょうか。

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