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手当ての達人  作者: たてみん
第1部 第4章:世界探訪「鉱山都市とダンジョン編」
39/63

修行

よろしくお願いします。

なぜか訓練をよくしてる主人公です。

第5階層でしばらく戦ってから帰路に就いた。

今はクキさんが夕飯の用意をしてくれていて、居間では俺とクオンが今日の戦いの反省会を行っていた。


「クオンも大分コツを掴めたみたいだけど、まだ初心者レベルだから気を緩めないようにな」

「はい、お兄さん」

「今後は出来れば誰かに師事する事をお勧めするよ」

「んー、それなんだけど。……お兄さんじゃ駄目なの?」


上目遣いで問い掛けてくるクオン。


「駄目じゃないけど、俺もまだまだ修行中の身だからな。

他人に教える前に、まずは自分の腕を磨かないといけないんだ。

それに他人に教える経験も豊富な訳じゃないからな」

「でもでも、今日教えてくれたのもすっごく分かりやすかったし、

お兄さんの教え方って、僕にすごく合ってると思うんだ」


どうしたもんかな。

子供のお願いを無碍にするのは気が引けるけど、

中途半端な技術を教えるのも良くない気がするしな。

そう悩んでた所で、料理を持ってきたクキさんが話しに加わった。


「そうね・・・・・・ジンさんにも都合はあるかと思いますので無理を言ってはダメよ。

ただ、ジンさんにとっても誰かに教えるというのも、色々と得るものがあると思います。

もし急ぎの用事が無ければ、少しの間で良いので稽古を付けてあげてください。

私が教えると力に頼ってしまう部分が多いので、今日みたいなテクニックを教えてもらえると助かります」


「・・・・・・分かりました。じゃあ明日から2週間だけ。

繰り返し鍛える事で、応用の利く鍛錬法を中心に教えていこうか」

「わーい、やったー♪」


俺が折れると大喜びするクオン。

そんなクオンの頭に手を置いて、釘を刺しておく。


「ただし、鍛錬の内容は、キツイし、つまらないし、大変だけど、途中で投げ出すのは禁止な。

ちゃんと身になるまで3年は掛かるから、毎日欠かさず行うこと。いいな」

「はい!!」



そうして次の日から鍛錬が始まった。

まずは朝4時に起きて瞑想を1時間行う。


「いいかい。まずは自分の魔力を感じ取って、自在に操れるようになることが全ての最初だ。

これが出来るようになれば、自分以外の魔力も感じ取れるようになる。

そうすれば、周りが手に取るように把握できるようになるし、敵が次にどう行動するのかも予測がつくようになるからな」

「はい!」


続いて人間の姿のままでのランニング。


「ただ走るのではなく、どうすれば疲れないかを考えるんだ。

体重移動、呼吸法、足の運び。自分の身体がどうやって動いているのか、常に意識すること」

「はい!」


トンファーの型稽古。


「重心の運びに注意しなさい。足だけ、腕だけで動くのではなく、全身を連動させるんだ。

トンファーを振る時もただ手を振るんじゃ無くて、足の踏み込んだ力を回転力に変えて指先に伝えなさい」

「は、はい!」


掛かり稽古(受け)


「攻撃を受ける際には、相手の重心と視線と魔力の動きに注意して。

相手の重心をずらすことが出来れば、攻撃力を半減させて、隙を作ることも出来る。

視線と魔力の動きを見れば、相手の行動の意図を察知できる」

「はぁ、はい!」


掛かり稽古(攻め)


「がむしゃらに攻めるな。足を止めるな。型稽古の動きを思い出すんだ。

そんな単調な攻めでは直ぐに見切られるぞ。クオンはスピード型なんだから、積極的に動いていけ。

最初は理想の一撃のために10のフェイントを入れるくらいで十分だ」

「はっ、はっ」


乱取り(多人数)

魔力弾を作り出し、多方向から攻め立てる。


「戦いは1:1だとは限らない。むしろ伏兵も含めて常に10人くらいが自分を狙っていると思え。

将来的には常に周囲に魔力を張り巡らせて、奇襲や罠を警戒しながら生き抜けるようになれよ。

戦いでは最後まで生き抜くことが何より重要だ。相手を倒すことなんて二の次で十分だ」

「・・・・・・・・・・・・」



最後の方は立っているのもやっとの状態になっている。

でもそれでも最後まで付いてきたのは賞賛に値するだろう。


「よし、今日はここまで。お風呂入ってご飯食べたらマッサージしてから寝るようにな」

「・・・・・・あ、ありがとうございました」


礼をするとクオンはそのまま倒れこむように寝てしまった。

いかん、初日から飛ばしすぎたか。

クオンを抱えあげて、『手当て』でマッサージ代わりに全身の疲労回復と新陳代謝の活性化を促しつつ、家に戻る。

玄関で待っていたクキさんにクオンを預けて、俺も間借りしている部屋で休ませてもらう。



そんな感じの特訓も10日も過ぎれば大分慣れてきたらしく、初日のように倒れることはなくなっていた。


そして最終日となる今日。

俺とクオンは火口ダンジョンの入り口に来ていた。


「じゃあ、クオン。今日はこれまでの特訓の成果を見せてもらおう」

「はい、師匠」

「目標は10階層の階層ボスの撃破だ。また、第5階層を抜けるまではこちらから攻撃することなく走り抜けること。いいな」

「はい!」

「途中でクリーンヒットを喰らったら、そこで終了だ。では行くぞ」

「はい。では参ります!!」


そう言ってダンジョンに飛び込んでいくクオン。俺もその後ろ3mをキープして付いて行く。

余談だけど、特訓が始まってからクオンは俺のことを『師匠』って呼ぶようになった。

何でもその方が気合が入るんだそうだ。


第1階層。気配を消した俺とクオンは敵に攻撃されること無く突破。

第2階層。ゴブリンがクオンに気が付く頃には走り抜ける。さらに後から来た俺は、ついでとばかりにゴブリンを殴り飛ばしながら追いかける。

第3階層。飛び掛ってくるネズミを巧みに避け、撫でるように捌きながら何とか通り抜ける。

第4階層、第5階層。前に俺がやったように、魔物が腕を振り上げたその脇をすり抜けていく。

よしよし、移動速度、相手の行動予測、判断力ともにかなり上達したみたいだな。


第6階層以降は火炎系から岩石系の魔物に切り替わった。

スピード型のクオンにとっては苦手な相手だが、武器に魔力を纏わせることで攻撃力を高めることで対応していた。


「ゴーレム系の魔物は核があるらしいから、魔力の流れを読んで打ち抜け」

「はい、師匠!えっと・・・・・・っ、そこだ!」


気合と共に打ち込まれた一撃により、見事核を破壊されてゴーレムが崩れ落ちる。

まだ少し遅いけれど、ぎり及第点か。


「敵だって馬鹿じゃない。自分の急所をわざわざ曝すことはしないし、曝していたらそれは罠だ。

だから曝さざるをえない様に撹乱したり体勢を崩したり防御を引き剥がせ。

格下ならいいけど、格上に力押しは利かないからな」

「はい!」


そうして順調に第10階層に到着した。

クオンは、大分疲れているようだけど、気合十分って感じだな。

ボス部屋の手前で小休憩を取ることにする。


適当に魔方陣を敷物代わりに作って、その淵に沿って壁を作って魔法陣の内側だけ隔離する。

アイテム空間からクッションとお茶と軽食を取り出せば、休憩所の完成だ。


「師匠。ダンジョン内でこんなにのんびり休憩が出来るのって凄いね」

「まあ、本来ならいつ魔物が襲ってくるかと心配しながら、さらに普通より魔力を吸い取られながらの休憩になるから、休むに休めないものな。

よし、一息ついたらボス部屋に行くぞ」

「はい、師匠!」


そして20分ほどまったりしてからボス部屋に突入する。


ズシンッ!!

ズシンッ!!


現れたのは鋼鉄製っぽいゴーレムが2体。

単体じゃないのがなかなかに空気が読めているというべきか。


「クオン、まずは俺が様子見で相手するから、よく見ておいて」

「はい、おきをつけて」


クオンに手を振って、おもむろにゴーレムに近づく。


ギュンッ!クルッ。ブワッ!!


各関節がボール状になっているゴーレムは見た目通り、普通の生き物の関節とは全く異なる挙動をしてくる。

なるほど、メインは強固な肉体を利用した振り回しか。

ただ腰が360度回転するので後ろを取ることは無理そうだ。

んーでもなぁ。

致命的な欠点が見つかってしまった。

まぁそれは後だな。


「クオン、そろそろ一体任せるぞ」

「はい、行きます!」


クオンが素早く駆け寄り、ゴーレムの脚に鋭い一撃を打ち込む。


ガキィン!!


若干凹んだか、という程度。

殴られた一体がクオンに向き直る間に、俺ももう一体を小突いてこちらに誘き寄せる。

そしてアイテム空間からあれを取り出して魔法を1つ発動させれば、こちらの戦闘は終了だ。


さて、クオンはというと……。

体格差を利用して足元を動き回りながら、執拗に膝のボールを狙い続けている。

狙いが分かりやすいから頭の良い敵にはカウンターを食らいそうだけど、今回は問題ないな。

そしてとうとう膝がボールとしての役割を果たせなくなり、ゴーレムの動きが止まる。

その隙を見逃さず、渾身の一撃を胸部の核に叩き込んで破壊した。


「師匠、どうでしたか、僕の戦いは。って、師匠、そのゴーレムは……」


勝利の喜びに溢れた顔でこちらを振り向いたクオンの顔が呆れ顔に変わる。

視線の先にはロープで縛られて氷魔法で転がされて起き上がれなくなってもがいてるゴーレムがいた。


「見ての通りだ。回転力や遠心力を封じたら鉄の塊だからな。

クオンの膝を破壊するっていうのも良かったと思うぞ」


答えつつ、ゴーレムの胸に手を当てて核を破壊する。


「よし、クオンの成長も見れたし、クキさんの待つ家に帰ろう」

「あはは、師匠に掛かればそんなものなんですね」


ちなみに、ボス部屋の奥には帰還部屋と呼ばれる、ダンジョン入口まで行ける場所がある。

誰が用意したかは知らないけど、便利だから気にしない事にしよう。


そうして家に帰れば、いつものようにクキさんが出迎えてくれる。


「お帰りなさい。ジンさん、クオン」

「ただいま帰りました」

「ただいま、お母様」


「それで、クオンの、調子は如何ですか?」

「そうですね。基礎は十分身に付いてきたと思います。後は反復と経験を積むだけですね」

「そうですか。クオン、よく頑張りましたね」

「えへへ、はい」


クオンの頭を撫でて褒めるクキさんと、それを喜ぶクオン。

そんなふたりの仲睦まじい姿が一段落した所で話を切り出す。


「それでは、俺は予定通り明日の朝、ここを発とうと思います」

「そうですか。近くに来たら是非寄ってくださいね」

「師匠、また会える?」

「ああ、もちろんだ。念話でいつでも話せるし、何処に居たって飛んで行けばすぐに会えるさ」

「うん!!」


そうして翌朝、ふたりに見送られて炎妖族の村を出て、ミスリニアの町に行くことにした。

……あれ、何か忘れているような気がするが。

そう考えながら門を通ろうとすると、門番に槍を突き付けられた。


「貴様、指名手配犯のジンだな!!

よくものうのうと戻って来れたな。

痛い目に遭いたくなければ大人しくしろ」


そう言ってる間にワラワラと兵士が出てきて取り囲まれてしまう。

……あ!そういえば商業ギルドで騒動を起こしてたな。


そうして俺は牢屋へと連行されるのだった。

ダンジョンとはご都合主義で出来ています。

ちなみに、描写はありませんが、ドロップした魔石などは回収してます。


########


町に戻るやいなや、牢屋に入れられてしまったジン。

そこは普通の犯罪者が送られる場所ではなかった。


次回:地下牢にて

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