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手当ての達人  作者: たてみん
第1部 第1章:世界探訪「ドラゴン編」
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応急処置と状況確認

よろしくお願いします。

筆が走るときとそうでないときの差が激しい。

突撃部隊を引き連れて戻ると、例のドラゴン少年が待っていた。


「よう。大活躍だったみたいだな」

「いえ、出来る事をしただけですよ」

「謙遜すんなって。あとよ、別に敬語なんて使わなくても良いぜ。俺たちはお互いに敬意を払っているかは気にしても言葉遣いなんて気にしないからな」

「分かった。あ、そう言えば、名前をまだ聞いてなかったな。俺はジンだ。君のことは何て呼べばいい?」

「ジンか。俺はゲイルだ。よろしくな」


二カッと笑って手を出してきたので、握手を返す。

そうして挨拶してた所で、突撃部隊の一人が俺の所にやってきた。


「隊長。負傷者の回収終わりました」


ビシッと敬礼してくれる彼を見て、改めてゲイルに向き直って確認を取る。


「なあ、ゲイル。俺はいつの間に隊長になったんだ?あと彼らとドラゴンってどういう繋がりなんだ?」

「あー、彼らは竜人族だ。一説には人化したドラゴンと人の間に出来た種族って言われてるが、正確なところはしらん。分かってるのは、俺らドラゴンとは主従関係に近い立ち位置で、今回みたいによく力を貸してもらってるんだ。

あとお前が隊長って呼ばれているのは、さっきの活躍が認められたからだろうな。竜人族は勇気ある行動を重んじるしな。

それにちらっと聞いたが、お前のお陰で一命を取り留めた奴は10や20じゃきかないって話じゃないか」


特殊スキル『手当て』は文字通り、手を当てることで、瀕死の重傷者を瀕死一歩手前の状態に回復することが出来た。ゲーム的に言ったら、残りHPが1だったところを5回復させつつ、出血なんかの状態異常を解除した感じだ。


「ってそうだよ。突撃なんてしたもんだから、そっちが疎かになってるはずだ。ここで立ち話をする暇があったら、治療の手伝いをしに行ってくる。そこの君。特に重傷者が多く集まっているところに俺を連れて行ってくれ」

「はっ!こちらであります」


そう言って案内してくれる竜人族に付いていくと、そこはまさに戦場だった。100人近くの重傷者が地面に寝かされ、今も血を流しながらうめき声をあげている。その間を治療薬などを持った看護兵っぽい竜人族が走り回っている。


「そこの人間!ぼーっと突っ立ってると邪魔よ。何しに来たかは知らないけど、手伝わないなら邪魔だから立ち去りなさい」


そう言ってくる医者っぽい人(きっとドラゴンだな)は俺を一瞥して、すぐさま瀕死の兵の元に駆け寄っていく。

そうだな。俺も出来る限りのことをしよう。

近くに居る人から順に手当てをして一命を取り留めては、すぐさま次の人に手当てをしていく。

竜人族は生命力が高いのか、かなり酷い傷に見えても意識がはっきりしている人が多かった。

駆け回る事10分ほど。これで死にそうな人の治療は一通り済んだかな。

そう思ったところでさっきの看護兵が俺のところに詰め寄ってきた。


「あなた、いったい何をしたの?」

「何って、見ての通り、死なないように手当てをしたんだ。まだ完治には程遠いだろうから、後の治療は頼む」

「死なないようにって……人間の治癒士ってすごいわね。私ではもう無理だって見限っていた人まで一瞬で復活させてしまうんだから」

「いや、俺は治癒士ではないんだけど。って、それよりも、重傷患者はここだけか?」

「いいえ、もう一か所あるわ。でも……」

「何か問題があるのか?助かる命があるなら行ってやりたい。頼む、教えてくれ」

「・・・・・・分かったわ。誰か!!E地区に彼を連れて行って」


その声を受けてやってきた看護兵についていくと、さっきの場所より更にひどい状態の竜人ばかりが寝かされている場所にたどり着く。

くっ、既に手遅れな人が何人も居そうだな。それ以外にも片腕がもげて無くなっている者やナイフが腹に刺さりっぱなしな者もいる。

なるほど、もう無理だと判断されたのがこっちに運ばれてる訳か。

それでも、俺に出来ることは変わらない。片っ端から手当てを行っていく。


「うぅっ……頼む、殺してくれ」

「済まんな、俺は手当ては出来ても『介錯』スキルは持っていないんだ」


時々、痛みと絶望で、そんなことを言ってくる奴も居たが、恨むなら生命力の高い自分を恨んでくれ。

そうして1時間程駆けずり回った所で、助けられる奴は助けられたはずだ。全体の2割は間に合わなかった。

あと、流石に部位欠損までは手当てではどうにもならないようだ。

最後に回復魔法をMPが尽きるまでばら撒いてからゲイルの元まで戻った。


「おう、お疲れさん。しっかしすげえな。俺は回復系は苦手だから尊敬するぜ」

「ありがと。そういえば、ほかのドラゴン達はどこに行ったんだ?さっきの戦場にはゲイルしかいなかったけど」

「ああ、ここ以外にも何ヵ所か襲撃ポイントがあってな。みんなはそっちに向かったんだろう」

「なるほどね。というか、状況を教えてもらってもいいか?なんでコボルドとこんな戦争みたいなことをしてるのか、とか」

「ああそうだな。その説明も含めて、一度フレイ様に挨拶をしに行こう」


そういって洞窟のさらに奥へと向かうゲイル。歩きながら状況を説明してくれる。


「そもそもの発端は、フレアドラゴンのフレイ様が卵をお産みになったことだ。あ、フレイ様はこの山を統べるエルダー様の孫で、実力的にっても俺が10人束になっても話しにもならんくらいにお強いんだ。

で、ドラゴンの卵っていうのはな、孵るまでエネルギーの塊みたいなものでよ。他の魔物からすると最高のご馳走に見えるらしいんだ。例えば下位のクラスの魔物であれば、それを吸収することで、数段階クラスアップ出来るらしいぞ。

今回のコボルド達の目的もおそらくそこだ。噂では、以前奪われた卵を使ってクラスアップしたコボルドエンペラーが味を占めて、また狙ってきているんじゃないかって話だ。コボルドキングじゃ、これほどの数は従えていないはずだからな。

あと、こっちは未確認情報だけど、コボルドに混じって人間の姿も見かけたって噂もあるから、もしかしたら裏で糸を引いているやつがいるのかもしれないな」


なるほど。それであれだけの大軍を動員出来ていた訳だ。じゃあ、そのトップを討ち取ることが出来ればこの騒動も落ち着くのかもしれないな。

人間は、なんだろう。何が目当てか、によって変わりそうだな。ドラゴンのうろこが欲しいとかなら、お願いすれば1枚2枚もらえるかもしれないけど、卵を奪いに来たとか、ドラゴンの命を取りに来たって言われたら敵対するしかないだろうな。

どっちにしても、一度話が出来ればいいんだが。

手当て(治療)を1秒行った時の効果

・最大HPの1%を回復させる。

・軽度の状態異常を回復させる。

・自然回復力を向上させる。

・精神を安定させる。

など。


間違った次回予告:

フレアドラゴンの1撃に主人公は耐えられるのか!?

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