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00.この時が運命の分かれ目だった

 会場は静寂に包まれていた。学ランやブレザー、様々な制服を見にまとった男子高校生達が机を並べている。今は落ち着いているこの空間も30秒後の開始の合図によって戦場と化す。

 その名も「全国高校生微分積分大会」。特に予選等がある訳でもなく、ネットで申し込みをすれば誰でも出場できるので、多分物好きしか居ない。


 内容はというと、難関大学の入試を軽く超えるような問題が10問。順位は時間より得点を優先する為、早さよりも正確さが求められる。

 最後の方の問題の難易度が桁違いで、過去に満点をとった人は一人も居ない為、普通はあまり時間を気にせずにじっくり解いて満点を狙うもの…………のはずだった。去年の大会までは。


 何と今年、ついに満点を取った者が現れたのだ。しかも異例の5分という速さで。今年の平均正解数は5問、平均タイムは1時間30分だったという。

 ぶっちぎりで解き終えて、更に全問正解してしまう、まるでコンピューターのような演算速度を誇る高校生…………それが、この僕だ。


 終了後、優勝した僕は賞状授与の為に、壇に上るように言われた。机を立った瞬間、強烈な眩暈に襲われた。

 きっと脳をフル回転した直後だからだろう。試験監督の女性に心配されてしまったものの「大丈夫です」と机に手をついて、フラフラの体を支えながら前へ歩いていった。


 だが壇に上る時、たった10センチ程の段差に躓いてしまった。バランスを崩した僕の視界の先には木製の大きな机の角が迫っていた。


 そして、僕はその場で崩れ落ちた。机の上の賞状を赤色に染めて。

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『学生服の少年少女は今日も前線で戦います』スピンオフ第1弾!!
『鍛冶屋を営む大男は今日も少しだけ働きます』
※「Chapter3-01.異世界では何の役にも立たない知識」までお読みになっている前提となっています。

彩雨カナエ Twitter @Rain_Nf3
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