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全ての始まりへ 俺は...

5回連続優勝を果たした狩月猟(かりづきりょう)。日曜日に買い物をし、帰りの途中で勝負を挑まれ...

「うわ!やっべ!!遅刻だ...ん?そーいや、今日日曜日だったな〜」


部屋の中、1人で勝手に騒いでいた狩月猟(かりづきりょう)は昨日の大会のことを思い出す。


「おぉ、俺は5連覇したんだなぁ!!うんうん!!そーだ、今日はちと、買い物にでも行こっか」



「らっしゃっせ〜」


玩具のように同じセリフを言い続けること数年のこの店員はもう感情も感じられなかった。

今日を除いては


「こんにちは〜」

「おお!!猟くんじゃないか!!昨日は優勝おめでとう!」

「あ、安倍(あんばい)さん、ありがとです!!」


安倍(あんばい)さんと言われたこの店員は猟の隣の家のお兄さんだ。お兄さんと言わせられている。

黒の短髪でガタイがいい人だ。


「いや〜本当に凄かったな!さぁ、今日は何を買うんだ?チャンピオン!」

「えーと、それじゃあ...」


手のひらよりやや長い長方形の袋のようなもの...いわゆる、パックと呼ばれるカードがはいったものを10パックほど差し出した。


「お、流石チャンピオンだね!常にディプリヴィスの事を考えてるってわけかなー?」

「そんなんじゃないですよ〜」


そう、ディプリヴィスの、『トラップ』『魔法』『武器』『防具』といったものは、このようなカードからも手に入ることができる。

正確にはその素材となるものが手に入る。

そのカードを1度使えばその使ったプレイヤーにしか使えないものとなる。また、1枚に素材の個数が書かれており、その個数が0になれば『白紙のカード』になる。

その『白紙のカード』はリサイクルとして運営に渡せば『何か』が貰える。


「じゃあ、毎度あり〜」


安倍さんの言葉に笑顔で答えて猟は店を出た。

店を出てすぐには猟はパックを開けない。帰ってからのお楽しみってやつーー


「ねぇ、君、もしかして、チャンピオンの狩月猟さん?」


不意をつかれた猟は驚き、声のある方へ向く。そこには猟より身長が高い男性がサングラスをかけて立っていた。

たぶん、男性だ。声からして。


「はい、猟ですけど?」

「ならよかった〜、ぜひ、僕とディプリヴィスで戦ってくれるかな?」

「良いですよー?」

「本当に?じゃあ、早速はじめよっか!」


『ディスパラレル・リアリティ・ビジョン・システム リンク完了!』

「「ディプリヴィス」」


男性は真っ黒なロングコートを来ていて、変わった銃を装備していた。


「ん...(人の装備にどうこう言うわけじゃないけど、珍しい格好だな)」

「手加減せずに頼むよ?」

「ええ、じゃあ!」


猟は勢いをつけながらランスで突進した。その突進に対して男性は怯まず銃口が緑色に光っている銃で撃つ撃つ!

しかし、どれも猟には当たらない。猟はランスで敵のレーザーガンの軌道をずらしているためか?


いいや違う。まるで、わざとギリギリ当たらない所を狙っているみたいだ。

なぜ?

どれも全て俺の周りを囲むかのように?と言うことは、俺の動きを制限すること?俺を望んだ道へ進ませるため?...とにかく、俺自体にダメージを与えようとはしていないな。


ならば!!遠距離戦だ!


「行くぞ!『ランス・光線弾(ライトロード・バルカン)』」

「かかったな!!罠だよぉぉ!!」

「何!?」


今まで猟に当たって無かったレーザーたちが檻のように猟を囲み、そして、ゆっくりと回転し始めた。


「こ、これは!?」

「ふふふふ、ハッハッハッハ!!!『トラップ・吸収檻(ガレージ・チャージ)』!!」


猟はその言葉について理解出来なかった。なぜなら、そのトラップは今まで聞いたこともない完全オリジナルだったからだ。しかし、オリジナルのトラップは珍しくはない。一つ気になるのは...


「どんな...効果だ?」

「気づかない?今、君を...いや、君のデータを奪っているんだよぉぉぉぉおおお!!」

「...は?」


何を言っているのか分からない。そんなもの認められる筈がない...し、しかし。仮にもし、本当だとしたら......!!!!!!


「うわぁぁぁぁ!!!『ウェポン・解除』!!!『フルアーマード・解除』!!!『トラップ・解除』!!」


断末魔の叫びのように猟は武器、防具、トラップを次々と解除していった。


「ふん、賢明な判断だ。それで、武器、防具、トラップは守れたな?だが、しかし、ステータス、魔法、経験値は守れまい!!」

「嘘だ...俺のステータスがっ!!!俺の今までの努力が!!仲間たちとの思い出がっ!!!俺の命がぁあ!!」

「そうだよぉぉ!!ゲームデータはまさに!仲間との思い出、君自身の命!時間そのもの!!といっても命までは奪わないからなぁ?ハッハッハッハ!!!」


男性の高笑いはいつまでも響いた。いつまでも。



気が付けば、猟は倒れていた。いつの間にか終わっていた。リンク終了の声が聞こえないほど猟の心は壊れていたのだ...


「そんな...おかしい。人のデータをとれるなんて、そんなこと...!!運営の人に知らせなないと!!」


猟には1つの希望が見えた!運営なら何とかしてくれるかもしれない!そう思って猟は運営へ連絡をした。


「狩月ですけど!運営さんですか?」

「はい...あ!狩月くん?どうしたの?」

「それがですね!変な男性とディプリヴィスしたんですけど、僕のデータ、奪われました!!」

「人のデータを奪う!?明らかにおかしいよ!」

「はい!それで、ですね...あの、僕のデータってもどせるんですか?一応バックアップはしてるんですが?」

「ちょっと待って...確かに、狩月くんのレベルが1になっているね。魔法もない。んー、ちょっとバックアップできるか、してみるよ、少し時間かかるけど大丈夫?」

「はい。お願いします!」


電源が切れたのを確認して、猟は急いで家に戻るのだった。



気持ちの焦りが止まらなく、部屋の中を行ったり来たり、ウロウロとしている。ようやく、待っている人からの連絡がきた


「狩月です!どうですか?運営さん」

「それが...データが消えたのならバックアップ出来るんだけど...奪われたってことは向こうにあるってことだから...その、出来ないんだ。」

「え?」

「すまない。狩月くん。」

「そんな...じゃあ、もう、戻ってこない?」

「そうなるね。だけど、奪った奴を倒せれば何とかなるかもしれない。」

「本当ですか!!」

「うん、奪うなんて違反行為は絶対に許せない。だけど、倒したら何とかなるっていうそれも可能性の問題だし、実際奪った奴が誰だが検討もつかない。そんな状況でも、大丈夫かい?」

「えぇ、可能性がわずかでもあるのなら!」


絶対許さない。俺からデータを奪ったやつを倒して取り戻す!!


「わかった!なら運営側も全力で君をサポートするよ!...狩月くんはその...データを取り戻すためのデータはそのままでいくの?それとも...」

「新しく作ります。」

「わかった。なら、今の君のデータの素材カードを新しい君のデータに移しておくよ!」

「!?いいんですか?」

「本来はダメだけどこれは例外だね。なるべく早く犯人を見つけれるように僕はこれから調べるよ。じゃあ!」


運営さんのおかげで、俺の新しくするデータはスタートがよくなる。

普通なら消えたショックで引退かもしれない。

だが、俺はディプリヴィスを5回連続優勝した男だ!!ここで、諦めるわけにはいかない!!運営者と力を合わせて犯人を必ず捕まえる!データを奪い返す!!

...やっぱり、俺はこのゲームが好きなんだ!!この大好きなゲームを汚したやつを見逃す訳にはいかない!


「あ、新しいデータの名前...どーしょっかー」


同じ『狩月』でと思ったがそれだと、チャンピオンの名が...とかなりそうだな。うーん。そのまま英語にして、ハントムーン...


「俺は...『ハントム』だ!!」

ハントム誕生ですね。かつてのチャンピオンが再びスタートします。猟のデータを取り戻すことが出来るのか!?運営と手を組んで自分のデータを奪った人物を戦いながら探すストーリーになりそうですね。果たして、ハントムはかつての栄光を取り戻すことが出来るのか!?


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