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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

インシデント三沢

作者: 太子

「インシデント三沢」

#

高校の授業が終わり家に帰る途中、前方から鼻くそをほじくりながら歩いてるやつが来た。そいつを見てると鼻くそを指先につけ、白目を向いてその鼻くそを食べた。まるでそのときだけ無意識のようだった。

なんやあいつは?そう思った。

#

家につくと、スクールバッグが玄関に投げ出してあった。妹のだ。すぐにあそびにいったらしい。両親は共働きで家にはいない。

鼻くそを食べてたあいつのことを思い出す。顔が思い出せない。

スマホが鳴る。着信画面を見ると、親友のたけじまからだった。


たけじま「なあ、カラオケ行かへん」

ワイ「ええで」

たけじま「準備終わったら、来てな」

ワイ「せやな」

#

家を出て、徒歩でたけじまの家に向かう。五分もしないで着くほど近所にある。前方から人が歩いてくる。

あれ?みたことある。さっきのやつや。

そいつはおれの顔をみてニヤニヤしながら鼻くそをほじっていた。


ワイ「なんやおまえ、何がうれしいんや!」

鼻くそ「いひひ、うぽー」

ワイ「ワケわからんなあ、さっきは鼻くそ食うてたし」

鼻くそ「おいしいね、鼻くそ。無限にあるしね」

ワイ「もうワイのこと見てニヤニヤすんな。不安になるやろ」

鼻くそ「せやなあ、だっておかしいねんなあ」

ワイ「何がや!もうええわ。ほなさいなら」


慌ててたけじまの家に急いだ。チラッと後ろを見るとあいつは鼻くそをほじりながらにやついたままだった。

#

たけじま「早いなあ」

ワイ「そんなもんやろ」


さっきあった鼻くそ野郎のことを話す。

たけじまの顔が少しずつ青ざめていく。


たけじま「あいつはな、中学俺と同じクラスやねん。話せば長くなるで。」

#

三沢ってやつなんや。あいつは。勉強もスポーツもそこそこできて、しかも努力するやつやった。あいつの父はな極真空手の先生でな、それはそれは厳しく教えられてきたそうな。普段も普通にいいやつでみんながいやがるような仕事も進んでやるやつやった。

ある日、事件は起きたんや。確か、中2のときやった。三沢のその父が突然死したんや。原因不明だが、自殺だと推定され未解決のまま終わった。その一週間後くらいに三沢の母が亡くなった。それは明らかに首吊り自殺やった。

その後一ヶ月くらい、三沢は学校に来うへんかった。そして、それはそれは変わり果てた姿で現れたんや。汚いボロボロの制服を着て、髪はボサボサに伸び、顔は傷だらけ、頬は痩せこけ、常に異臭を放つ、以前の姿からは考えられなかった。

元々は結構モテる感じのええ男やったんや。

すぐに周りは三沢を避けるようになった。あいつは授業中基本鼻くそをほじって食べていた。

俺な、勇気出して話しかけてんねん。なあ、元気?ってな。そしたらあいつは、ひっひん。ひっひん。とか言いよる。もうワケわからずそれ以上は話さんかった。それから二週間は学校に来たがそれから一切来なくなった。あいつは正直、栄養失調かなんかで死んだとおもっとうたが、生きてたんやな。

#

たけじまは少し涙目になっていた。詳しいことはわからないが、両親を亡くした気持ちはとても想像できるようなものではない。

#

カラオケ店から出ようとした時、すでに空は茜色に染まっていた。普段より赤いな、そんな気がした。帰り道、また三沢に出くわす。たけじまは咄嗟に三沢を呼び止める。

たけじま「おい、ワイのこと覚えとるか?」

三沢「たけちゃんやないけ、元気しとんのか?」

たけじま「・・・。」

#

たけじまの家に着いた。それからのたけじまは何かを深刻な顔で考えていた。


たけじま「なあ、人があんなに変わるのが信じられへんな」

ワイ「よーわからんけどなあ、あいつ」

たけじま「あいつの父さんが死ぬちょい前かな、その時から変だったな。授業中ボーッとしとって考え込んでる風やった」


たけじまは続ける。

その時もたけじまは三沢に声をかけた。あいつの目はやたらとクマが目立ち、眼光がギラついていた。

三沢は人ってどうすれば消えるのや、とかしゃべっていた。誰か消えてほしい人でもおるねんか?と聞くと、もうワイ限界やねんと言っていた。三沢はさらにたけじまに話し出した。

ワイは最近空手スランプやねん。もう勝てる気なんかせえへん。やめたいねん。でも、やめれないねん。たけじまはんはそんなん自分次第やろ言うかもしれへん。でもそれが通じる家庭環境じゃあらへんねん。

#

もしかして、三沢は父を殺したんじゃ、

たけじまは呟く。

そのまま、たけじまと別れた。

#

次の日の朝、登校中、三沢が包丁みたいな物をもって歩いてた。三沢はワイの顔をみた瞬間襲いかかる。。

三沢はワイの心臓辺りを目がけ、包丁を突き刺す。モロ刺さった感じがした。ちょうど心臓が痛い。もうあかん。ワイは頭が、視界が真っ白になる。その寸前、近くでたけじまらしき人が倒れてるのを見た。いや、他にも倒れてる人が大勢いる。


「人が消えるって楽しいね。」


三沢編→http://ncode.syosetu.com/n8405ec/


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