表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/14

6話 俺と冒険者ギルドと筋肉ハゲ達磨

「こんにちはー」


約束通りやって来ました冒険者ギルド。

昨日はフィリーダに引きずられながら連れてこられたから中はよく見れなかったんだ。

当初はフィリーダにでも案内してもらおうかと思ったが、あいつ朝早くから出かけたって女将さんが言ってた……逃げやがったか?

しかしまぁごちゃごちゃしているな。どうやら食堂も兼ねているみたいで昼間っから酒を飲んでいる者もいる。

ん?心なしか視線が集まっている気が……あぁ見ない顔が来たから注目しているのか、納得。

確かブーシェさんが窓口の人に言ってくれてるって……ん?あれ、目の前に筋肉の壁が。


「おう坊主!何しに来た、見ない顔だな?」


うわ、筋肉ハゲ達磨だ。いや、冒険者みたいだな。いやぁ分かりやすい見た目で助かるよ筋肉ハゲ達磨。何で上半身裸なんだよ筋肉ハゲ達磨。

顔真っ赤だよ筋肉ハゲ達磨、酒臭いし飲んでるのか。


「冒険者登録しに来たんですよ。出来るんでしょう?」

「あぁ、出来るさ!でもなぁ、てめぇ見てぇなガキが冒険者になるなんて舐めてるとしか思えないんだよ!ンなひょろくせぇガキがよ!」


あーそれは認めるわ。俺体弱いためかガリガリな方なんだよな。おまけに顔色も悪くないからそんな奴が冒険者名乗っても信じられないかもしれないな。

でも俺はそれでも冒険者になりに来たんだよ。そうしないと……金が無くて死ぬ。

この筋肉ハゲ達磨、俺を通さないつもりだな。逸れようとしても体を傾け邪魔をしやがる。

これが大人のすることかよ!


「もしかしてスライム如き仲間にしただけで一丁前に冒険者気取りかぁ!?ンな雑魚連れてよ!」


ハゲ達磨の煽りにヨーヨーがズムズムと弾み始める。駄目だよ、ヨーヨー。多分お前が本気出したら殺れてしまいそう!


「別に誰が冒険者になってもいいじゃないですか。別に犯罪犯しているとかじゃないんですから。」

「いーや!俺が許さねぇ!そういう気分なんだよ!」


ヤな気分。


「オイオイ!ボウドン、新人いじめはやめてやれよぉ!」

「そうだぜぇ!ほら見ろよ!そいつの顔真っ青だ!ギャハハハハ!」

ハゲ達磨の近くのテーブルで食事をとっている数人の男も下品な笑い声を上げ始める。パーティーというやつか。まぁお似合いだな、ハゲ達磨に近い雰囲気を感じるし


うーん、俺煽り耐性高い方かと思ったがそろそろイライラしてきたぞ?もういいや、あいつは目の前で立ち塞がっているだけだし。

格好の獲物って奴だ。

俺は右手を突き出し、ハゲ達磨の腹に触れる。うわ、汗ギッショリで汚ねぇ。

押しているつもりだが、奴はびくともしない。まぁ冒険者だけあるか。いや、俺が単に貧弱説。


「ンん?オイ坊主!なんだぁ今のは?もしかして俺をどかせようとしたのか?そりゃ無理な話だ!ハハハハ!……ハ、ハ?」


笑っていたハゲ達磨は酒に酔ったその顔を段々と青く染めていく。

体はガタガタと震え始め、鼻からは一筋の鼻水が流れる


確かに力は及ばないようだな。最初から分かっていたことだけどさ。

だからスキルを使っちゃいました。接触感染をね。


「おやおや?どうしたんですか。」

「あ、あれ?寒いな……つつ、頭痛までしてきやがった!ぅ゛あ゛!喉がいでぇ!」

「オイ?ボウドンどうしたんだ?お前顔真っ青だぞ?」


ハゲ達磨の異変に気付いたのか奴の仲間が笑うのを止め、ハゲ達磨のもとに集まる。


「はg……じゃなかった。ボウドンさん、それは風邪ですね。上半身裸にしていたらそりゃ体冷やしますよ。」

「風邪だぁ!?馬鹿い゛うんじゃねぇ!俺は今まで風邪なんでいっがいもひいたごと無いんだぞ!」


馬鹿は風邪引かなかったのか、納得。


「しかしその症状はどう見ても風邪です。いや、風邪の苦しみはよく分かりますよ。俺も昨日まで風邪引いていましたから。」

「でめぇ!俺に何かしやがっだなぁ!触れた時だぁ!」


おっと、勘は良い様だな。ちょっと侮っていたな。反省反省……

まぁ別に接触感染は隠すようなスキルでは……あるな。これネタバレしたら意味無くなるな。触らせてくれなくなるもん。

うん、ちょっと強気に言ってしらばっくれよう!


「酷い言いがかりだな。俺は触れただけだぞ?それだけでお前を風邪にするなんてあほらしい話だな。」

「でめぇ!」


ハゲ達磨が拳を勢いよく振り下ろしてくる。これは直撃したら確実に痛いだけじゃすまない!

だから他力本願で悪いがお願いするぜ!


「ヨーヨー!死なない程度に頭冷やしてやれ!」


結果としてハゲ達磨の拳は俺に届かなかった。それどころか、奴は目を回して気絶した。いや、ハゲ達磨だけじゃないな。あいつのパーティーのメンバーもだ。

何が起こったかというとヨーヨーの氷魔法だ。

ゴブリンに襲われたとき同様のスキルの様だが、俺の言う通り殺さないよう、先端が丸い氷柱を奴らの頭の上に落とした。

文字通り頭を冷やしたという事で。


さて、気絶した奴らなんて無視して窓口に向かおうかね。

……あの、受付のお姉さん?俺目の前にいるのに何でそんなにぽかんとしてるんですかね?


「あの?」

「ふぁいっ!?」


大げさにびっくりして、完全に上の空だったのかよ、受付さん。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ