5話 俺と症状図鑑と症状学習
部屋を案内してもらったが掃除もよく行き届いており、快適そうな部屋だったので俺としては満足だ。
いやぁ棚から牡丹餅な気分だな、フィリーダにとっちゃ不幸かもしれんが冤罪吹っ掛けた気味が悪いんだから仕方ないよね!
俺とヨーヨーは部屋に入って即ベッドダイブを決めた。
ふかふかベットの温もりが俺を包み込む。
あぁ、やっぱり風邪引いているときはベッド又は布団で寝るに限る。
俺は女将さんに夕飯になったら呼ぶようにお願いし、ヨーヨーを額に乗せてゆっくりと休眠することにした。
森を歩いたり、ゴブリンたちと対峙した疲れも出たのかすんなりと眠りにつくことが出来た。
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ゴフッ (ゴクゴク)
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『風邪を完治しました――これにより、"症状図鑑"に風邪の項目が載りました。"症状学習"により"風魔法"を習得しました。』
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「――きなさい!こら、ケン!起きなさい!」
……あの。
「何でフィリーダいるんだよ……?ここ俺の部屋だぞ?」
「女将さんに料理で手が離せないからアンタを起こせって頼まれたの!ノックしても反応ないし鍵も掛けてなかったから入ったの。」
「あらそう、そりゃありがとうな。」
しかし寝起きにそんな大声出さないでくれますかね、頭に響くんだよ。
大きく伸びをし、欠伸をかく。頭の上のヨーヨーも体をほぐすかのようにポヨンポヨン蠢いている。
うん?体が幾分か軽い気がするのは……気のせいじゃなさそうだ。
もしかしてと思いステータスを開いてみると、思っていた通り、状態異常の欄から風邪の項目が消えているじゃありませんか。
それに加えてスキルの欄に気になる物も……風魔法だって?
そんなの習得するようなことした覚えはないんだが、風邪が治ったら風魔法を覚えていた……これ絶対無関係なわけないよな。
ふむ、まだ確認していないスキル2つが関係しているんだろうな。
というわけで見てみようか
まずは症状図鑑から……
症状図鑑
自分が今まで体験し、完治した病気を記録する。接触感染と合わせることでうつす病気を症状図鑑に記録したものまで範囲を広げ、相手にうつすことが出来る。
また、記録した病気を再び発症したい時、このスキルを使用することで病気に罹ることが出来る
おおぅ、接触感染ありきのスキルだな……でも範囲を広げることが出来るのはいいな。戦略の幅が広がるというものだな。……まぁまだ2つしかないわけだけど。
じゃあ次は症状学習だな。
症状学習
完治した病気から新たなスキルを習得するスキル。スキル内容は病気にちなんだものとなる。
こっちは簡潔だが分かりやすいな。
俺が治った風邪は症状学習のおかげで風魔法へと変化を遂げたと……うん、でも風邪が風魔法は流石に駄洒落じゃないか?
だがまぁ両方使えそうなスキルでよかった。
うーむ、接触感染に症状図鑑に症状学習。
この3つのスキルが俺の強さの核となるのだろうけどさ……これ俺病気に罹ってないと成長しにくいってことだよな?一応死なないみたいだしさ。
我ながらある意味異常な存在だよ……
「ケン?何をそんなに考えているのか知らないけどご飯よ。さっさと降りなさいね?」
「あぁ、分かったよ。」
ま、考えても仕方ないか。これが俺の強さならそういう風に成長していくしかないんだし、前向きに考えよう。
夕飯は豪華とは言い切れなかったが、女将さんの手料理はとっても美味しかった。
風邪が治った直前のすきっ腹に最高のご褒美だよ……フィリーダや俺だけじゃなくてヨーヨーまで料理をくれるのは嬉しかった。
ヨーヨーも満足そうに料理を吸収していった。血だけがご飯じゃないんだな。
どうやら喀血症は食欲不振の症状は無いみたいで安心した。
さて、腹も膨れたことだし今日はさっさと寝よう。
起きたばっかりだが、それでも食ったら眠くなる。
明日は……冒険者登録しないとな